チェンメ




どれくらいの時間がたったのだろう?
多分、数分の時間なのだろうが、俺にはすごく長い時間のように思われた
いつまでこの状態が続くのか?
見当もつかない。
相手は小型ナイフを構えている
こっちは小太刀だ。
小太刀と言っても刃は潰してあるのだが...

さて、いつまでこの状態が続くのかわからないから、何故このようになったのか?
少し説明しておこうか。

そう、あれは昨日のことだった...

「タ.タッタッタタラタ〜ン♪」
「お、メールか誰からだろう?」

『kill.you@****.ne.jp』

「誰だ?これ。知らないな。なんて書いてあんだろ?」

『このメールが廻ってきたお前には悪いな。
 お前に恨みはないが、このメールを誰でもいい。1人に転送しなければ
 明日、お前を殺しに行く
 何故だ?と聞きたいだろう。
 よし、答えてあげようじゃ無いか
 実はな、先週俺の弟が殺されてしまったんだよ
 ただ、単に殺されたんじゃない
 弟はひき逃げされて、苦しんでいるのに
 まわりのやつらは、救急車すら呼ばなかったんだ
 どうだ?ひどいだろ?
 それで、俺は人を信じれなくなった
 だから、こうしてメールをまわしはじめたというわけさ
 どうだ?わかったか?
 明日までに1人だ。1人に転送すれば、お前の命は助けてやる
 もし、転送しないと......ホントに殺すからな
 でも、大丈夫、殺しに行く前にワンコしてあげるからよ
 せいぜい逃げまわりな』

「なんだ、またチェンメか。ったく、よくこんなもん思いつくよなぁ。
 ほんと迷惑だぜ。チェンメ禁止法でも適用してやろうか。ったく。
 まぁ、いいや、転送しないでおこっと。おもしれぇじゃねぇの。
 殺しにくるっていうなら殺しにきてみろってんだ。ハハハ。
 ま、どうせ殺しにきたって、俺にはこの太刀と小太刀があるからな。
 返り打ちにしてやるさ。アハハハハハハ」
それでも少し不安だった
「そうだ、少し素振りでもしとくか。」
「セイッ!セイッ!」
ちょっと張り切り過ぎてしまったんだろう
『ガッ』
ちょっと鈍い音と共に部屋の中で振りかざしていた刀は、壁におもいっきりぶちあたった
「あっちゃぁ〜しまった....やっぱ部屋でやるもんじゃないな。やめよやめよ」

こうして、俺はチェンメを転送しなかった。
どうせ、いつものことだ。そう思っていたからだ。
まぁ、少しは不安だったが。
知らないやつからメールが送られるのも不思議ではなかった
俺はネット上でかなり携帯アドレスを公開していたからだ
そこから知らないやつが送ってくるのも毎度のことだった

と、まぁ、そんなこんなで今日がきた
学校から帰って俺が部屋にいると携帯がなったんだ
『タタッ〜♪』
ワンコだった。
「非通知でワンコ?!誰だよったく。」
俺は昨日のメールなどすっかり忘れてしまっていたのだが、
そのワンコが俺の記憶を呼び戻したのだった
「まさか...本当に殺しに来るとか?まさか.....ねぇ。」
俺は少し恐怖にかられたが、それでも平静を保っていた
「まぁ、とりあえず刀の用意だけはしておくか。」 
今思い出すとあの時少し手は震えていたかもしれないな

それから1時間後.....

『ピーンポーン』
チャイムが鳴った
「誰だろ?....もしかして....」
俺はいざという時のために刀と小太刀を抱えて玄関へ降りたんだ
まず、チェーンロックをかけて、小太刀をもってドアを開けた
「どなたですか?」
俺はとりあえず、ていねいにたずねた。
『......』
返事はなかった
「あの〜どなたですか?」
俺はもう一度たずねた
『.......』
返事はまたしてもなかった。
仕方が無いから俺は、小太刀を刀に持ち替えてゆっくりとチェーンロックをはずし、ドアを開けた
ドアのすぐ前に門があるのだが、男がひとり。
歳は20代前半ぐらいだろうか...男が立っていた
「はい。あの〜なんでしょうか?」
俺は刀を背に隠しながら、しかしそれでいて、すぐに抜けるように持ちながらたずねた。

男は、ぽつりと一言つぶやいた
『こんばんは。約束通りお前を殺しにきた』
男は言うがはやいか、手がはやいかでジャンパーの内側から小型ナイフをとりだし、俺に斬り掛かってきた
俺は、刀を抜く間もなく、鞘から半身だした状態でその攻撃を受け止めた。
男は一度後ろへひいた
俺はその隙に刀を鞘から抜いた。しかしそこで俺は大きなことに気がついた
(しまった、刀にヒビがはいってる....昨日ぶつけたからなぁ。今の衝撃で多分....)
男もそれに気付いたようだ
男はニヤニヤ笑っている
(ちっ、これじゃぁ無理だ、やられる前に小太刀を抜こう)
俺は、もっていた刀を側にほうり出して、背中の服の中に隠しておいた小太刀をとりだし、抜いた
(ここじゃ、俺が不利だ。道へでよう。そうすれば誰かが警察を呼んでくれるかもしれない。よしっ)
俺は、小太刀を振りかざし、男を後ずさりさせて、なんとか道へ出ることに成功した

ここからはよく覚えていない...
ただ、むこうがくり出してくる攻撃をなんとかしのいでいたことだけは覚えている
そして、現在の状態に至る

沈黙の時間が流れる
しかし、決して集中の糸は途切れてはいない
むしろ、はりつめた状態が続いている
俺はおもいきって口を開いた
「オィ、お前は何で俺を殺しにきた?」
一言一言に注意しながら俺はやつの一挙一動を逃すまいと構えた
『...........』
男は答えない
俺はもう一度きいた
「なぜだ?」
男はようやく重い口を開いた
『メールに書いてあったとおりだ』
俺は言葉が続けれない。いや、続けたらすかさず、男の突きでやられる。
(やつは、小型ナイフ。俺は小太刀。長さ的にはこっちのほうが長い。
 いっそ、攻撃するか?それともカウンターを狙うか?
 突きならば、やつを貫ける。他ならば骨を折るぐらいだ。
 いくら正当防衛とはいえ、殺したくは無い。なら.....)

陽はもう沈みかけているようだ
オレンジ色の光が俺と男を覆っている
しかし、人が通らない。いつもなら.....まぁいい。

俺は攻撃にでた
右足を踏み込む、それと同時に剣先を寝かせ、相手の腹をめがけて、斬り抜く

『キーン』
金属のぶつかる音がした
俺の胴は男に防がれた
力の押し合いが続く....

男の剣先は地を向いているためすぐには攻撃に移れない
俺はそう考えた

ジリジリ....押し合いは続く
右足を外に開くと同時に相手のナイフにあわせて小太刀を滑らせ柄で相手の刃を跳ね上げ
外に開いた右足をそのまま軸にして後ろでふんばっていた左足を踏み出しがら空きになった胴を斬り抜いた

刃がついていたら間違い無くここで、男は死んでいただろう
しかし、刃は潰してある。といっても、鉄の固まりだ。
男はうずくまり、腹を抑えてうなっている。

(勝った...)
俺はそう思った。
しかし、まだ油断はならない。
俺はあえて、小太刀を振りかざし、勢いよく男の背中に振りおろした
『グァッ....』
決定打となったのだろう...男は動かない
死んではいないが、気絶したのだろう

俺は、警察と救急車を呼んだ
こんなやつでも死なせたくないらしい

間もなく警察と救急車が到着した
『キミかね?通報してくれたのは?』
「はい。そうです。」
『しかし、残酷なことだ。よくやってくれた』
俺は意味がわからなかった。
よくやったとほめられるのはいいが、残酷という意味がわからない
「あの...残酷ってどういうことでしょう?」
『何?知らないのかね?そこの角をまがって御覧なさい』
俺は言われた通りにした。そこで驚愕の光景を目にした
あたりは、血痕が飛び交っていた
「な....」
どうりで人が通らない訳だ。みな、先にやられていたのだ
「あ、あのここで殺された人達は、何処に?」
『ん?おぃおぃ、勝手に殺してやるな。みんな生きとるよ。今、全員病院で治療を受けとるさ。
 まぁ、急所は、外れていたからな。命に別状はないだろうよ』
なんだか、その言葉を聞いて俺はほっとした。
男は気絶したまま、警察へと連行されていった
俺の刀も一応押収された

「しっかし、まさかあのチェンメからなぁ.....」
頭をかきながら俺も事情聴取のためにパトカーへと乗る足を進めていた
ふと、空を見上げた
夕焼けの空が、オレンジ色に染まり血に染まった街をうつしているようだった



「そういやぁ、なんで住所知ってんだろ?......」




最近ですね、結構チェンメがまわってくるもんで。 恋愛系とかそういうのならいいんですけど。
殺人とかとなると怖いもんでですね。 まぁ、ついつい止めてしまうんですが。
もし、本当にこんな話しがあったとすれば、 恐ろしい世の中です。ハイ。
みなさんも殺人チェンメには気をつけて下さい(笑)



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