真っ直ぐな道。
その線をなぞるように一台の車が走る。
車には一人の女性と一人の少女。
女性には銀から生まれたような美しさ。それは精緻な人形のようにも見える。
少女には若さ独特のあどけなさ。その瞳には希望の光が宿っている。
どこまでも続きそうな整備された道はある個所で2手に分かれる。
「シェリーさん。どちらにいきます?」
シェリーと呼ばれた少女は答えた。
「右・・・かな?」
「じゃあ左にしましょう。」
車は左へと進路を変えた。
「何でそうなるのよ。」
少女の声には怒気が含まれている。
「何となくです」
女性はどことなく楽しそうだ。
車はのんびりと走りつづけた。
しばらく行くと、威圧的で巨大な壁が現れる。
それは国を守る城壁であり、人を囲む牢獄。
線と壁に接点に入国管理事務所が設置されており、2人を乗せた車は
そこで止まった。
「こんにちは旅人さん。入国なさるおつもりですね?」
柔和な笑顔が印象的な女性の役人が尋ねた。
「ええ、このまま真っ直ぐいこうと思っています。入国許可を下ろしていただけ
ますか?」
「武器はお持ちですか?この国では武器の所持を認められていないんです。」
女性は無骨な刃物(一般に刀と呼ばれる物)と、リヴォルバー式の銃器を一丁出し
た。
「この二つだけです。」
役人はしっかりとその二つを受け取った。
「出国の際はお返ししますのでご了承ください。それと、男性に関する物をお持
ちですか?」
「・・・・・・?」
二人は質問の意図がわからず、顔を見合わせる。
「男物の衣類や、恋人の写真のような物もここで没収する決まりなんです。」
銀髪の旅人は連れに視線を向ける。
「何か持ってますか?」
少女は首を横に振った。
「私は持ってないわよ。ルシアは?」
ルシアと呼ばれた女性も首を横に振った。
「そのような物は持ってません。」
「そうですか、じゃあこれにサインしてください。」
壮年の女性が机の中から一枚の紙切れを取り出す。銀髪の女性は滑らかに筆を走
らせた。
「入国を許可します。」
車はゆっくりと動き出した。
「ねぇ、入国するのってこんなに簡単でいいの?」
「国によってまちまちですね。ある国は審査に1週間ほどかかりましたけど、
あ
る国では審査すらなかったです。しかし・・・・」
「しかし?」
「男の物を没収する国は初めてですね。」
「ふーん」
車は無事に城壁を通り抜けた。
威圧的な壁とは裏腹に壁の中の国は大変メルヘンチックだった。
建物にはピンクや黄色など明るい色が多く取り入れられ、
道には色とりどりの花が植えられてい
る。国民の表情は明るく活気がある。
第一印象は素晴らしい国だ。
しかし2人の旅人は違和感を感じずにはいられなかった。
「随分と女性が多いのね。」
「そうですね、人が多いのに女性しかいません。それに準じて、女性向のお店が
多いみたいですし・・・。」
最初に出た場所はアーケード街らしく、多くの商店が隣接していた。
「この国の男の人は買い物をしないのかな?」
「そういう文化なのかもしれませんね。詮索するのは後にして、とりあえず今日
はどこか泊まる所を探しましょう。」
2人は手ごろなホテルに泊まり、その日の疲れを癒した。
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