泣いた...ただひたすら....
なぜなのだろう?もう涙は忘れたはずなのに....
そうあれは今年の夏の終わりにさかのぼる...
「りゅうちゃ〜ん!!!待ってよ〜!!」
俺の後方で声がする。そうあの声は俺の彼女の声だ
俺の名は柳。彼女は莢(さや)って名だ。
俺達はこの夏に入る前につき合いだした仲だった
「ちゃんつけんなって言ってんだろ!?」
「いいの!りゅうちゃんはりゅうちゃん!!」
「はいはい...わかりましたよ」
俺はしぶしぶと答えた。
そんな俺の態度でも莢は満面の笑みを浮かべる。
俺はこの笑顔が好きだった....
「んでさ、今日は何処行くの?」
「そうだなぁ、う〜ん...まぁ適当に」
「ハハッ、まったくぅりゅうちゃんはいっつもそうなんだからぁ」
俺はデートコースってもんが苦手でいつもこんな感じだ
でも莢はそれでも俺に笑顔をくれる。
この笑顔がコイツが大好きだった....なのに...
ある秋の日だった。もう周りは紅葉でうめつくされ、夏の暑さなど消えていた。
その日、俺は何ともなしに街をぶらついていた。
「あぁ〜暇だなぁ。金はねぇし、莢は用事あるっていうしさ。あぁ、退屈」
そんな愚痴をこぼしながら歩いていた俺の足がふと止まった。
「あれって....莢じゃねぇかな?」
「間違いねぇ、莢だ!アイツ何してんだ?こんなとこで。」
「確か今日は親と買い物のはずじゃぁ?」
そう、俺の視線の先には誰かと待ち合わせてるような
妙に時計を気にしている莢の姿があった。
すると、知らない男が莢に近付いていった。
「誰だよアイツは見た事ねぇな...あ!莢と歩いてく!一体どうなってんだよ!?」
俺は訳がわからないまま2人を見失ってしまった...
次の日、俺は莢を問いつめた。
「おい莢!昨日の男は誰だよ!!!なぁ!聞いてんのか?莢!」
俺は、必死だった。真実を確かめたかった。
しかし、莢は...
「うるさいなぁりゅうちゃん...昨日のって...あれは何でもないよぉ、
あの人はそんなんじゃ...」
「何だよそれは!いいよ!もういい!!」
俺は真実を確かめたかったはずなのに、
確かめないままそう言い放ち、俺は去った...
あのケンカの後の夜、俺は久しぶりに泣いた、涙が枯れるまで泣いた。
自分の愚かさにふがいなさに。俺は一晩泣き明かした朝、涙を封印した。
涙というよりも感情そのものを...
それから会わないまま冬が来た....
俺には新しい彼女ができていた。しかし、前のように笑う事も泣く事もできなかった。
ただ、会話と愛想笑い。それだけだった。
そんなある日俺は悲しい知らせを聞いた。
莢が交通事故で亡くなったというしらせだった。
俺の脳裏にあの日の出来事が甦った。
通夜、葬式と迷ったが出る事にした。
そこで俺は莢の友達からあの日の事実を聞いてしまった。
あの日、あの男は莢の言ったとおり、何でもなかった。
莢の言葉も真実だった。あの男は莢の従兄弟。
あの後、家族連れ立っての買い物だったそうだ。
本当だったのだ....
泣いた....ただひたすら...
俺は莢を信じてやれなかった。その自責の念だけが俺に涙を思い出させた
あれだけ愛してやまなかった彼女を俺はどうして信じてやれなかったのだろう
彼女は俺に愛情をくれた。今は皮肉にも涙をくれた。
悲しみの贈り物
送り主はもういない....
それは俺にとって.........だったのだろうか。
感想
小説館が寂しかったので書いてみました。
ただ、ありきたりな話しですね(苦笑)
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