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LSD=リゼルギン酸ジエチルアミド;THC=テトラヒドロカナビノール
0=効果なし:+=わずかな効果〜++++=顕著な効果
薬物使用と依存
大麻(マリファナ)類への依存
大麻は慢性ないしは定期的使用は精神依存を引き起こすが、身体依存は引き起こさない。 多幸感を惹起して不安を低下させるあらゆる薬物は依存を惹起することがあり、 大麻もその例外ではない。しかし、大量使用されたり、やめられないという訴えが起きる ことはまれである。
大麻は社会的、精神的な機能不全の形跡なしで、ときに使用できることがある。多くの使 用者に依存という言葉はおそらく当てはまらないであろう。この薬をやめても離脱症候群 は全く発生しないが、多量使用者は薬をやめたときに睡眠が中断されたり神経質になると 報告されている。
大麻の使用は広がっている。1979年から1991年にかけて使用率が減少したことが調査によ って示されたが、1995年までに12〜17歳の若者における使用増加が示されている。最近は 使用率が安定してきた可能性がある。
大麻を試したことのある米国人6500万から7000万人中、約2〜3%は毎日またはほぼ毎日使 用している。毎日使用している人全てが嗜癖とは限らない。
大麻の使用は薬物問題ではあるが(使用率の上昇やその使用をコントロールするための助 けを求めている人数の増加が示すように)、その毒物学的意味は不明である。職場での検 査結果が陽性であった人は、治療法を探してその後に強制的検査を受けるようにしばしば 命令されるので、薬をやめるのに役立つ治療またはカウンセリングを探している使用者の 数は誇張されている可能性がある。
米国では、大麻は乾燥させた植物の花と葉から作られた煙草の形か、その植物をプレスし た樹脂のハシッシュとして通常扱われている。
Δ-9-テトラヒドロカンナビノールの合成型であるドロナビノール(マリファナの主要活 性成分)は、癌の化学療法に伴う悪心や嘔吐を治療するためやAIDS患者における食欲を増 加させるために使用されている。このタイプは街頭ではみられない。
症状と兆候
吸われた大麻は夢幻様状態(dreamy state)をうむが、その状態では観念がばらばらになり 不安定となり、自由に流動するようである。時間や色や空間の知覚が歪められる場合があ る。
通常、快適感や弛緩("ハイ")の感覚が生じる。これらの作用は吸入後2〜3時間持続する。
持続性や残存性の作用があるという納得できる証拠はない。頻脈、結膜充血、そして口渇 が一様に発生する。心理的作用の多くは薬を使用している背景に関係があるようだ。特に 初めて使用した人の場合、パニック反応が起こるが、この薬が社会でありふれたものにな るにつれ、このような反応は例外的になってきた。
コミュニケーション能力と運動能力が低下し、深部感覚やトラッキングが障害され、さら に一定の状況ではタイミングの感覚が変容して危険になる(例;車の運転、重機類の操作)。
精神分裂病様症状が、抗精神病薬(例;クロルプロマジン)で治療を受けている患者におい てさえ、マリファナによって悪化する場合がある。
食欲はしばしば増加する。マリファナを批判する人々は有害作用に関する数多くの科学的 データを引き合いに出すが、重篤な生物学的影響があるとする主張の大部分は、比較的大 量の使用者、免疫学的、生殖機能についての積極的な研究においても、ほとんど立証され ていない。
しかしマリファナの多量使用者は肺の症状(急性気管支炎、喘鳴、咳、そして粘液分泌過 多のエピソード)を発生し、さらに肺機能が障害されることがある。これは大きな気道変 化を起こすが、その意義は不明である。常用者でさえ、閉塞性気道疾患を発生することは ない。
マリファナしか吸っていない人においては肺癌は報告されていないが、これはおそらく煙 草を吸っているときに比較して吸引される煙の量が少ないためであろう。しかし、気管支 組織の生検はときに前癌性変化を示しているので、癌が発生することはある。
数件の症例対照コントロール検査では、長期多量使用者の小数サンプルにおいて認知機能 低下が一部の検査で同定された;この所見は確証待ちである。
新生児における検査では、母親の大麻使用を原因とする胎児へ及ぼす害の証拠は発見され ていない。胎児体重の減少が報告されてはいるが、全要因(例;母親の飲酒や喫煙)を考 慮に入れると、胎児体重への作用は消失する。
Δ-9-テトラヒドロカンナビノールは母乳中に分泌される。母乳を与えられる乳児にとって 有害であることは証明されていないが、母乳を与えている母親は妊婦と同様に大麻の使用 を避けることが勧められる。
カンナビノイドの代謝物は残存するので、1回の使用後の尿検査は数日間に渡って、常用者 の場合は薬をやめてから数週間に渡って陽性のままである。不活性代謝産物を識別する検査 は薬を使用したことを証明するだけで機能不全を証明するものではない;マリファナ喫煙者 は、尿検査を受ける時点では薬物の作用を受けていないことがある。
検査は極度の少量を検出することはできるが、使用のパターンを判別する上ではほとんど価 値がない。
ほかに次のような記述もある。
血液疾患と腫瘍
癌治療の原則
副作用の管理
悪心と嘔吐
ドロナビノール:Δ-9-テトラヒドロカナビノール(THC)は、化学療法による悪心や嘔吐の うち、従来の制吐治療に反応が鈍かった患者の治療に認められている。THCはマリファナの 主要な精神活性物質である。その制吐作用のメカニズムは不明であるが、カナビノイドは前 脳のオピオイドレセプターに結合し、間接的に嘔吐中枢を抑制するようである。この薬物は 経口生物学的利用態が不定で、プラチナをベースとした化学療法レジメンでの悪心や嘔吐に 対しては効果がなく、重大な副作用(例、眠気、起立性低血圧、口腔乾燥、気分変動、視覚 および時間感覚の変容)がある。
産婦人科疾患
ハイリスク妊娠
妊娠女性総数の約14%が、ある程度マリファナを使用している。
Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(マリファナの主要有効成分)は胎盤を通過できるため、 胎芽を損傷する可能性がある。しかし、マリファナ使用によって先天異常、発達遅滞、また は出生後の神経行動障害のリスクが上昇することを実証した、ヒトについての研究はほとん どない。
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