戻る
第十話「光の試練」
作 chierin
《さぁ、ルナティ。レイランス様が現れるよ。気を引き締めてね》
『あぁ、わかってるよ』
そこへ神レイランスが音も無くスーっと現れた。
「よくきたルナティ、歓迎するぞ」
「はい、レイランス様・・・お目にかかれて光栄です」
ルナティは片膝を付き一礼をし、さがった。
「もう察していると思うが、この儀式の間でおぬしの事を試させてもらおうと思っている」
「よろしいな?」
「はい。覚悟は出来ています」
「うむ・・・」
「以前魔族だったおぬしに・・・今、光の意思が感じられるか試させてもらうとしよう」
神レイランスが話し終わると同時に
目の前が真っ暗になった。神の試練が始まったのだろうか。
ルナティは冷静に周りの気配を感じられるよう心を静かにした。
ふと、何かの気配に気づく。
「そこに居るのは誰だ?」
目の前に酔っ払いの汚い親父が突っ立っていた。
「・・・・・ぐへへへ」
「お・・お前可愛いなぁ・・・なぁ〜こっち来いよ」
「・・・・・」
「なに、黙ってんだ!俺の言うこと聞け!コラァ!!」
「こうするんだよ!うへへへ」
ルナティは腰に手を回されてしまった。
だが、何をされてもルナティは冷静さを保とうとしていた。
が、次の瞬間ルナティにベタベタしていた男性がすごい衝撃と共に吹き飛ばされた!
男性は傷を負ったがなんとか生きていた。
衝撃波を飛ばしてきた方向をルナティはとっさに見た。
「!!」
「ラクア様!!」
ラクアはルナティのほうへ瞬間的に移動し、深いキスをした。
ルナティは抵抗するどころか、ラクアに魅了されてしまい冷静さを失いかけていた。
「ルナティ・・・お前に逢いたかった・・・」
「私もですラクア様・・・」
試練というものを忘れるほど深みにはまりかけていた。
ラクアは、その冷たい瞳で吹き飛ばされた男性の方向を指差しこう言う。
「ルナティ・・・そこの薄汚い人間を焼いてしまえ」
「え・・・・あ・・・・・・ですが・・・」
「なんだ?どうしたというのだ?」
「お前もあの薄汚い人間たちを恨んでいたではないか」
「人間など己の欲望の為なら、同じ人間を殺す部族だからのう」
ルナティの脳裏に魔族になる前の人間に殺された時の事が浮かんだ。
とても残虐で見てはいられないほどのものだった。
今までにあった全ての辛い出来事が走馬灯のようにはしる。
ルナティは胸が苦しくなり、悶え苦しんだ。
苦しむ中、飛ばされた男性の前に突然ロディやアイシャが現れ一生懸命手当てを始めた。
「おじさん!大丈夫?アイシャが頑張って治すね!!」
癒しの踊りで男性の傷を治そうと一生懸命踊るアイシャ。
「す・・・すまねぇお嬢ちゃん・・ぐ・・」
「喋ってはいけませんよ!傷にさわりますから!私も癒しの魔法を・・・」
ロディは男性に手をかざし、唱えようとしていた。
そこへ、威嚇(いかく)するかのようにラクアの衝撃波が飛んできた!
ロディは殺気の気配を即座に察知し、魔法で盾を作りガードしていた。
「ふん・・・おもしろうないのう」
「なぁ、ルナティよ・・・あの薄汚い人間どもを一掃したいんだが」
「手伝ってくれるかのう?ルナティよ・・・フフフ」
「ラクア様・・・」
ルナティはラクアにぎゅっと抱きつき、小声で何かの呪文を唱え始めた。
「やはり、私の命令に従ってくれるようだな・・・さすが私のルナティだ」
「・・・・・・・・」
「ラクア様・・・私はあなたを愛しています・・・」
「けど、人間界へ降りてわかったんです。人間の暖かさに触れて欲しかった温もりが」
「この世界にはあるんです!」
「アイシャ・・・まるで自分の子のようにとても大事な存在です」
「私にとって大切な人々をこの手で消すことなどできません!」
ルナティは、泣きながらラクアへの想いを必死に押さえていた。

「・・・だ・・だから・・・ラクア様・・・うぅ・・・」
「どんなに大切なラクア様だとしても、人々を傷つけることは許せません!」
「ふん!どいつもこいつも面白くないのう!!」
「私がこの手で全てを焼き払ってくれよう!」
ラクアは手をかざし、炎の呪文を唱え始めた。
ルナティも心の苦しみに耐えながら、光の呪文を唱え始めた。
先にラクアが炎を放った!
「受け取ってみろ!ルナティ!!」
「私は負けない!!もうあの頃の私ではない!」
ルナティも光の光線をラクア目掛けて放った!
無我夢中だった、初めて光の術を成功させたことにも気付かずに。
すると周りが眩い光に包まれ、とても心地よい暖かさに包まれた。
何分、何時間たったのか、フッと気がつくとそこは元の儀式の間だった。
ルナティは、驚いて回りを見渡した。
そして見上げてみると、そこには神レイランスの姿があった。
ルナティは、神のふところに居たことに気付き、すぐさま退こうと力を入れた。
すると神レイランスはルナティの頭の中に直接話してきた。
『行かなくてもよい・・・』

『十分、おぬしの光の意思が強く感じられた・・・』
『試練の辛さを乗り越えたお前を誇りに思う』
『だが、今の試練でおぬしには、思い出したくない事も思い出させてしまった』
『私の光でおぬしを癒せるかわからぬが、もう少しこうしておいてくれ・・・すまぬな』
『レイランス様・・・』
気のせいだろうか・・・レイランスの面影がラクア様に似てるようなそんな気がした。
そして、セルフィは心の中で思っていた。
《・・・・・・・・・・》
《神様もお認めになったようだ・・・》
《僕以上の力が君には秘められてるようだね》
《そして・・・僕の記憶を早く取り戻したい・・・》
《けどそれにはたぶん本体を見つけないといけないな・・・》
《心当たりはある・・・その時が来たら試してみるとするか・・・》
第十話「光の試練」終わり
戻る
Copyright (C) 2008 kaito, All rights reserved.