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第十一話「光の身体」
作:chierin
あれから私はレイランス様と共に光の神殿へと向かった。
光の神殿とは、神の領域にあるとても神聖な場所である。特別な者しか通すことが無いという。
神殿の奥へ進んでいくと大きな広間に着き、そこにはとても美しい2人の女性が立っていた。
2人一斉に声を発した。

「レイランス様、お待ちしておりました」
「うむ、女神ティア、ヨーキ待たせてすまぬな」
「ルナティ、おぬしに癒しの女神ティアと戦いの女神ヨーキの力を分け与えようと思っておる」
「それと、気になっておったのだが、おぬしの身体(中)に違う光の意思が感じられるのだが」
「どういうことか訳を申してくれぬか?」
ルナティはセルフィの存在やこれまでの経緯を話した。
「うむ、私もおぬしの行動は全て熟知しておったが・・・」
「セルフィとやらの存在については初めて知った。どうも小さい光の波動のようだ」
「ルナティ、おぬしに力を与える前にセルフィと話してみたいのだが、よろしいか?」
「はい。では私の身体を貸して話させてみます」
『セルフィ、いけるか?』
《うん、僕は大丈夫だよ》
『では、私は催眠状態に入る。私の身体を自由に使ってくれ』
《うん、でも負担かかるだろうからそんなに時間かけないね》
ルナティはその場に座り、自らに術をかけ眠りに着いた。
「ん・・・」
「なんて久々の感覚だろう・・・」
セルフィは久々に手を動かす感覚を味わって喜びを得ていた。
「セルフィとやらか?」
「あ!レイランス様!申し遅れました!セルフィと申します!」
我に返ったセルフィは一礼をした。
「ふむ、セルフィよ、おぬしの光の波動は私に似ているように感じ取れるのだが」
「はい、僕もそう感じていました。一体どうしてでしょう?」
「おそらくだが、何千年も前に一度私の光の意志を持つ人間を生み出したことがあったのだが」
「その理由は、邪悪な者から人間界を守るためにといところだろうか」
「その魂の破片がおぬしなのではないだろうか・・・」
「ルナティの身体を借り私の元へ再び戻ってくるとは、不思議なことよのう」
「ですが、レイランス様、魂の破片のため全ての記憶も無く帰る身体もないのです」
「早く記憶を取り戻し身体を手に入れ、ルナティの力になってやりたいのです!」
「ふむ、おぬしのもうひとつの魂の波動はどうしても感じ取れぬ」
「もう、消滅してしまったのだろうか・・・」
「そうですか・・・」
「記憶は戻らぬが、おぬしは身体が必要なのだろう」
「ならば、私がおぬしの意思を実体化させ、身体を与えるとしよう」
「これで、よろしいか?」
「ルナティの光は僕が抜けても大丈夫でしょうか・・・」
「おぬしの光がきっかけでルナティの光は目覚めた。こういうことだと思うが?」
「おぬしの存在は十分ルナティの中で大きい。自信を持て」
「はい・・・!!」
神レイランスは、ルナティの胸の辺りに手を当てセルフィの魂の欠片を取り出した。
魂の欠片に左手をかざすと、右手のほうから人型の白い塊が表れ始めた。人の形になっていく。
神レイランスが身体全体に力を入れると人型が大きな光に包まれ
そこへ魂の欠片が埋め込まれた。
すると、広間全体が眩い光に包まれ、次の瞬間中心から光が消えていった。
・・・・・・・・・・・
それから半日が経った・・・
ルナティは、相当疲れていたのか眠り続けていた。
心配そうにセルフィは覗き込む。
「もうずいぶん寝ているけど、大丈夫かな・・・」
「今までのことで、だいぶ疲れがたまっていたのだろう」
「あ、レイランス様」
「今までルナティの中にいたので、安心感はあったのですが」
「ルナティの身体を離れ自らの身体を持ち、これから彼女を守れるか」
「正直不安です・・・僕には本来の力もないので・・・」
「うむ、おぬしに守れるほどの力がほしいと言うことだな」
「肉弾戦、魔法戦どちらともこなせるよう私が直々に指導してやろう」
「ですが、あまり時間はありません・・・」
「わかっておる」
「この神の領域にはな、時間を司る場所があるのだ・・・例えば、1日を1年や1日を5年などな」
「その場所でおぬしを特訓しようではないか」
「まぁ、その分年はとる、それでもよいなら私について来い」
「すこしでも、ルナティに近づけるなら・・・」
「頑張ります!!」
「うむ、では参ろうか」
かくしてセルフィは、神レイランスと共に時間を司る場所に修行へと入っていったのである。
その頃、ルナティはまたも夢にうなされていた。
「・・・・・・・うぅん・・・」
「う・・・うぅ・・・ラクア様・・・・」
「フフフ、ルナティ、また見つけたぞ・・・」
「何処にいてもお前が私を想う限り、私はお前の中に入れるのだよ・・・クククッ」
ラクアはルナティの首を絞めこう言う。
「どんなに力を付けようが私にかなうはずがないのだ!」
「う・・・ぐぐ・・・ぐぁ・・・・・!」
「ククク・・・もがき苦しめ!!クハハハハ!!!」
ルナティは苦しみの最中、心の中で光の術を唱え始めた。
『ぐぐぐ・・・ラクア様・・・・本当のあなたを取り戻すまでは私は諦めません!!』
意識がもうろうとする中、ルナティは力を振り絞り術を放った。
すると、ラクアの影は消え去り苦しみから解放された。
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・どんなに、苦しかろうと私は乗り越えてみせる」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・!」
「ルナティ!!」
「な、なんだ!?」
問い掛けに驚き、ルナティは飛び起きた。
と、そこには修行を終えたセルフィの姿があった。
「おはよう、ルナティ」

第十一話「光の身体」終わり
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