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第十二話「ふたりの力」
作:chierin



催眠状態から目が覚めると目の前に見知らぬ男が立っていた。

「!?」

ルナティは驚き即座に戦闘態勢に入ろうとしていた。

「ルナティ、僕だよセルフィだよ」

「え?!」
「お前・・・セルフィ・・・?ってその身体はいったい??」

「うん、レイランス様に頼んでこうしてもらったのさ」
「どう?かっこいい?ふふ」

そう言いながら、セルフィはベットに座りルナティをジッと見つめた。



「あぁ・・そ、そうか・・・」

いつも冷静なルナティが少し戸惑っていた。

「それより、レイランス様のお陰で封印は解けたということなのか??」

「う〜ん・・・解けたって訳じゃないかな」
「肉体を貰って動きが自由になったけど、僕本来の力は封印されたまま」
「だから、あれから僕はレイランス様の指導の元、修行したのさ」
「ある程度力はついたよ。ふふ」

「修行か・・・」
「負けてはおれぬな、私も力を付けねばいかん」
「早速、女神様のところへ行くとしよう・・・」

ルナティの言葉を聞いてセルフィは思った。

『ルナティ・・・そんなに焦らなくてもいい・・・』
『僕が君を守るよ・・・』
『あぁ・・・苦しい・・・どうしてこんなに苦しいのだろう?』


二人は、再度神殿へと向かった。
すると、神殿から妙な気が感じられた。

「ん?なんだ?この気配は・・・どこかで感じたことのある・・」
「・・・・!?はっ!?まさか!!」

「どうした?ルナティ!?」

ルナティは、急いで神殿の中へ走って行った。
セルフィも後を追って行った。

すると中では、二人の女神とラクアが戦っていた。

「ラクア様!?なぜここに!?」

ラクアは、術をゆるめず冷酷な目つきでルナティを睨んだ。

「おぉ・・・ルナティ・・・やっと来たか・・・クククッ」
「お前の夢には入りやすくてのう・・・精神のみだが天界これたのだよ」
「この私なら精神だけでもお前らを殺すことなど容易いものだしのう・・・クククッ」

「くっ・・・なんてことだ・・・私のせいでこんなことに・・・!」

「ルナティ!悔やんでも仕方ないよ!!この状況どうにかしないと!!」

「あぁ・・・だが、今の私では到底適わない・・・」

「ルナティ!僕がラクアを引きつけるから!女神様のお力でどうにか!」

「えぇ!?お前だけで大丈夫なのか!?」

「まかせくれ!僕だって力を付けたんだから!!」

セルフィはそう言いながらラクアの所へ飛び込んでいった。

「ハッハッハッハ!セルフィ?だと?笑わせてくれるわ!」
「お前に私が倒せるはずなどないだろう!クククククッ」

「やってみなければわからないだろう!!」

「ふん!時間の無駄だ!!すぐに終わらせてくれよう!!」

ラクアは、上級暗黒魔法を唱え始めた。
それを見ていたルナティは、背筋がゾっとした。

『あ・・・あれは・・・!危険だ危険すぎる!!』
『あんな物がこの天界に放たれたら、暗闇に落ちる!!』

すると、脳裏に直接問い掛ける声が聞こえてきた。

『ルナティ・・・早く女神の力を・・・』

『レイランス様!?今どこにいらっしゃるのですか!?』

『すまぬな・・・私としたことが、ゼクトアの術にはまってしまい』
『身動きが取れなくなってしまったのだ』
『ただ、あやつも本来の力は発揮できぬのか、それ以上のことは出来ぬようだ』
『私もとっさに抵抗したのでな、完全には掛かってないようだ』

『そうでしたか・・・今助けに行きます!!』

『私はよい!セルフィが引きつけている間に、早く女神の所へ向かうのだ!』
『そうしないと、セルフィも天界も危ういのだぞ!!』

『は、はい!!』

ルナティは、心で女神に呼びかけた。

『ティア様!ヨーキ様!どうか私に力を・・・!!』

『ルナティさん、私はティアです。時間がありません、私からいきましょう』
『少し衝撃が強いかもしれませんが我慢してくださいね』

『はい!構いません!!』

『では、まいりますよ・・・』

女神ティアは、両手を胸にかざし青白い光を発しながら綺麗な青いクリスタルを出した。
そのクリスタルに祝福のキスをし、フッと息をかけると
ルナティめがけ勢いよくクリスタルが飛んでいった。
クリスタルは見事にルナティの額に当たり吸い込まれていった。
ルナティをすごい衝撃が襲う。

『くうぅぅ!!!このくらい・・・!』

すると、ルナティの中に清らかな水が流れるような、そんな感覚がした。

『おぉ・・・なんて味わったことのない感覚なのだろう・・・』

『よし!では今度はあたし、ヨーキの番だね!!』
『ひとつ言っておく、あたし達がお前に力を与えてしまうと一定時間力が戻るまで』
『身動きが取れなくなってしまうんだ、だからお前に全て託すつもりでいくぞ!』

『はい!お願いします!』

戦いの女神であるヨーキは、右手を地にかざすと赤いオーラにまとわれた大剣が現れた。
それを手に取って頭上にかざし、渾身の力を振り絞りルナティめがけ衝撃波を放った。
燃えるように赤いオーラをまとった衝撃波は、ルナティの額に当たる直前
赤く綺麗なクリスタルに変わり吸い込まれていった。

『ぐぐぐぐぐ・・・!!これは凄い・・・凄い衝撃だ!!』
『熱い!なんて熱さだ!!』

凄い衝撃と共にルナティの身体の中に炎のように熱い力が漲ってきた。

『清らかな光と熱い光が私の中を駆けめぐるようだ!!』
『これならラクア様の上級魔法も防げるかもしれん!』

「ぐあぁぁぁぁ!!!」

悲鳴と共にセルフィは吹き飛ばされた。

「ふん!お前のような奴にこうも邪魔されては虫唾が走る!!」
「・・・ようし、準備は整った・・・クククッ」
「ルナティよ・・・お前に放ってやろうこの矢を!!」

ラクアのその一言で黒いオーラをまとった無数の矢がルナティめがけて飛んできた。
そう、この魔術は魔族だった頃ルナティが人間に対してしたものと同じだったのだ。
ルナティの放った時とは比べ物にならないほどの力がかかっているようだ。

その無数の矢をルナティは聖魔法で防ぎ、渾身の力を振り絞り跳ね返そうと頑張った。
だが、想像以上の力で押されルナティだけの力では耐え切れなくなってきた。
すると、傷を負っているはずのセルフィがルナティを後ろから包み込むように抱きしめた。



「ん!?セルフィ!?」

「僕も君の力になりたいんだ・・・!」
「僅かながらレイランス様のお力を授かっている・・・だから!」

「わかった!ありがとうセルフィ!!」

セルフィは、ルナティが支えてる両手に自らの両手で支え始めた。
全ての力を振り絞りセルフィとルナティは一体になった。
そして、大きな爆発と共に、目の前の矢は消滅しラクアも消え去った。

脱力感に襲われその場に座り込むルナティ。
と、後ろに居たセルフィは言葉も発しずルナティの背にもたれ掛かってきた。

「セルフィ?大丈夫か??」

「・・・・・・・・・・・」

「おい!?しっかりしろ!!」



「セルフィーーーーー!!!!!!」



第十二話「ふたりの力」終わり

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