今回あまぁ〜い挿絵入ってるんで覚悟しておいてください(ぁ


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第十三話「愛しい人」
作:chierin


あれから一ヶ月、セルフィは眠りについてしまった。
原因は、慣れない身体で一気に力を使ってしまったためらしい。
現在は、傷も癒え意識が戻るのを待つのみになったのだが・・・

「セルフィ・・・一体どうすれば意識が戻るのだ・・・」
「すまぬな・・・私が不甲斐ないばっかりに」

「ルナティ、自分をせめてはいかんぞ」

「・・・レイランス様」

「セルフィの意識はまだ戻らぬか・・・」
「あの時、おぬし達のおかげで私は術から逃れられたんだが」
「すまぬな、セルフィの意識を戻すことは、私にも出来ないようだ・・・」
「神でありながら、出来ぬのはもどかしいのう」

「・・・・・一体どうすれば」

「目を覚まさなすぎるにも長すぎる」
「生きたいという生命力が足りんということなのだろうか・・・」

「・・・私があいつの生きる力になれないだろうか」

「うむ・・・癒しの女神ティアなら何か知ってるかもしれん」

「はい、行ってみます」

ルナティは早速女神ティアがいる神殿へ、急いで走っていった。


「はぁはぁはぁはぁ・・・ティア様!」

「ルナティさん・・・レイランス様からお伺いしておりますよ」
「セルフィさんを助けたいのですね」
「他人の心に入ることは、とても大変なことなのです・・が・・・」
「・・・何を言っても、あなたはやり遂げる方でしたね」

「では、意識を戻せる方法はあるんですね?」

「ええ、あります」
「あなたにどれ程セルフィさんを想う気持ちが強いかによってですが・・・」

「私は、セルフィのことをとても大切に想ってます・・・」
「こうなってわかったんです。いつも私を助けてくれてたんじゃないかと」
「あいつが居なければ、今の私は無いにも等しいでしょう・・・」
「光を知らないまま、ずっと闇の底で苦しんでいたかもしれない」
「だから、今度は私が助けなければ!」

「そうです、その気持ちを忘れずにいてください」
「では、セルフィさんが眠る所へ向かいましょう」

女神とルナティはセルフィの眠る場所へ急いで向かった。
着くと、早速女神ティアはルナティの額に手を当て、静かに呪文を唱え始めた。

「ルナティさん・・・準備が調いました」
「あなたは今心が軽くなった感じがすると思います」
「その状態の時にキスをすると、相手の心の中へ入り込むことが出来ます」
「心の中に入ってセルフィさんを呼び起こしてみてください・・・うまくすれば・・・」
「あと、己の記憶も呼び起こさせる場合もあるので注意してください」

「はい・・・」

『なんか、照れるな・・・・・』
『行くよ・・・セルフィ・・・んっ・・・』


唇に触れた瞬間、身体から心が離れる感覚・・・というより身体が軽くなったように思えた。
周りはとても眩い光に包まれ、目の前は渦のようにグルグル巻いて、吸い込まれるように飛んでいる。
その渦は何色にも変化し、とても不思議な光景だ。

「セルフィ・・・何処に居るんだ・・・」

そして、周りが暗くなり何も見えなくなってしまった。ここがなんなのかもわからない。
数分か数時間か数日か時間のすすみ具合もわからない暗い闇の中から微かに声が聞こえてきた。

『・・・ル・・・・・ナ・・・ティ・・・・』

「!?」
「何処だ?セルフィか?」

『僕・・・いつも君に頼ってばかりで・・・助けてもらってばかりで・・頼りないよね・・』

「頼りないなんて、そんなことない!お前が居てくれたから今の私があるんだ!!」

『・・うぅ・・・愛する人と・・・・引き離したりして・・ごめんよ・・・』
『僕はどこかで・・・嫉妬してたのかもしれない・・・・』
『僕は・・・君を・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・』

セルフィの声が急に聞こえなくなった。

「セルフィ?どうしたんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「私は・・・お前と初めてあった頃はラクア様のことだけを想い」
「周りのことなど考えもしてなかった・・・」
「だが、お前と出会って話すようになり、色々なことを教わり、人々と接するようになって」
「世界が変わった・・・人々を心から想えるようになり・・・それに・・・」
「それに・・・心からセルフィ・・お前を・・・」

『ルナティ・・・そこにいるのはルナティか?」

「え?この声は・・・・・」

声のする方向を見てみると、そこには居るはずのないラクアの姿があった。

「え・・あ・・・ぁ・・・ラクア様どうしてここに・・・」

『何を言っているんだルナティよ・・・ここはお前の部屋ではないか』
『こっちへ来いルナティ、よく顔を見せてくれ・・・』

自然と身体がラクアの元へ吸い込まれるように引き寄せられる。

「あ・・・ラクア様・・・・・」

『いつ見ても、お前は綺麗だ・・・』


何もかもが昔に戻ってしまったのか、身も心も魅せられ目が正気じゃない。
魔族だった自分を誇りに思っていたあの頃、人間を恨んでいたあの時・・・
急にあの頃の時間が戻った感覚に襲われた。
だが、その時

『・・・・ルナティ』

ルナティの背後にセルフィが現れ、そっと抱き付いた。
その瞬間、ラクアに魅せられていたルナティは目を覚ました。

「うぅ・・・セ・・・セルフィ!?」
「あぁ・・・なんだ・・この感覚は・・・心がスーっと晴れる感覚は・・」

『なんなのだ!お前は!私のルナティに手を出すでない!!!』

「ラクア様・・・」

ルナティは悲しそう目つきでラクアをじっと見つめた。

「ラクア様・・・私は・・・昔のあなたが大好きでした・・・」
「けど、今のあなたは私にとって敵なのです・・・」

『敵などと・・・何を言っておるのだ、私とお前は魔族だ』
『そうであろう?』

「いえ、私はもう魔族ではありません。光の使いとして生まれ変わりました」
「そう・・このセルフィと共に生きていこうと決めたのです」

「あなたの事はとても大切に想っていました・・・でももう前とは違う感情ではないかと苦しかった」
「気づいてしまったのです・・・この1ヶ月間でわかったのです・・・」
「私は・・・私は、セルフィのことを愛しているということを」
「彼の心、身体、存在全てを愛していることに気づいたのです・・・」

そう言うと、目の前にいたラクアが突然姿を消した。

「??」
「ラクア様?これはいったい??」
「あれ?セルフィ??」

後ろにいたはずのセルフィもいつの間にいなくなり、気が付くと目の前に立っていた。

『僕も・・・君を・・・・・・・・愛してるよ』
『ずっと言えなかった・・・きっと・・君を想って心の底で押さえてたんだ・・・』

目の前で苦しそうな顔つきをするセルフィを見てルナティは、居ても立っても居られず抱き付いた。

「ごめん・・・私のせいだな・・・苦しめてすまなかった・・・」
「これからは、隠さないでいい、私も隠さずお前を想う」

『ルナティ・・・ありがとう・・・』


セルフィの言葉を聞くと急に目の前が真っ白になり、引き戻される感覚に襲われた。



「・・・・はっ!!」
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・!ここは?戻ってきたのか??」

ベットに横たわっていたルナティは勢いよく起き、周囲を見渡した。

「セルフィ?どこだ??」

「やだなぁ・・よく見てよ、ここに居るじゃないか・・・ふふ」

よく見ると隣に笑顔のセルフィが佇んでいた。

「あ・・あぁ!セルフィー!!」

ルナティは泣きそうになりながらセルフィに抱き付いた。

「ごめんね。僕が弱いばかりに、君に辛い思いさせてしまって・・・」

「あ・・・そうか・・・・あの時出てきたラクア様は、私の記憶そのものだったんだな・・」
「だが、今回でわかった・・・・」
「私の心に必要なのは、ラクア様ではない」
「セルフィ、お前が必要なのだと・・・気づかされたよ」

「僕、頼りないよ?それでいいの?」

「何言ってるんだ、十分頼れるさ」
「私は何度お前に助けられたか、頼れるパートナーであり」
「私の心を癒してくれる掛け替えのない存在だ・・・」

「ありがとう、ルナティ・・・」




第十三話「愛しい人」終わり

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