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第十七話「希望の光を求め」
作:Chierin



暗黒神ゼクトアは大きな黒い翼を羽ばたくと人間界へ向けて飛び立とうとしていた。

「おい!待て!!ゼクトア!!」

『おぉ、これはルナティ・・・待っていたのだよ・・・』
『どうだ?愛しい男の魂を喰らった我は愛しいか?・・・クククク』

「ふざけるな!!!!」
ルナティは、怒りに任せ無数の光の矢をゼクトア目掛け放った。が、全てかき消された。

「な、なに!?」

『ハハハハハハハッ!!我に通用するとでも思ってるいるのか!!』
『力の差を見せつけてやるとしようではないか!!』

上級暗黒魔法を唱え始めると、もの凄い魔力で辺り一面ひび割れ破片が浮き上がる。
ゼクトアの目の前には大きな漆黒の弓矢が現れ、矢はゼクトアの呪文で更に邪気がかけられ
黒く怪しい炎が高く燃えさかっている。
そして、黒い炎の矢はルナティ目掛け勢いよく飛んできた。

「うああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そのとてつもない威力にルナティは吹っ飛ばされ、怪我を負ってしまった。

『どうだ!わかったか!!身の程知らずめ!!』
『・・・さて、人間界に飛び立とうではないか』

「ぐぐううぅぅ・・・・」
「ま、まて・・・アイシャは・・・アイシャはどうしたんだ・・・!!」

『ぬ・・・アイシャ・・・?ああ、あのガキか・・・餓鬼共の餌だったんだがなぁ・・・』
『お前の愛しき子、肉にも成らなかったが喰らってやった』

「な・・・・!なんだとおおぉぉぉ!!!!」
怒りに震えるルナティは、渾身の力を込めて全ての力を絞り出すように、聖魔法をゼクトアに浴びせかけた。
だがやはり効果はなく、また黒い炎に包まれた矢が何本も飛んできた。

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
さっきよりも酷い怪我を負ってしまい、身動きも出来なくなってしまった。
その時、ルナティを包む暖かい光が現れた。

「な、なんだ?」

『ルナティ、無茶をしてはいけない。と申してもおぬしは聞かぬか』

「レイランス様!?」

『うむ・・・遠くからの援護で申し訳ないが、出来るだけの事はしよう』

「いえ!助かります!」

レイランスの援護によりルナティの怪我はすっかり良くなり、身動きが取れるようになった。
だが、ゼクトアは既に飛び立ち姿を消していた。

「くそっ・・・遅かったか・・・このままでは本当に世界が危ない・・・!」
「一体どうすれば・・・」

『・・・ゼクトア・・・ここまで力を付けてしまっては神の私でも・・・もう・・・』
『創造の女神メディーヌ様なら、この世の危機を救ってくれるやもしれぬが・・・』

「メディーヌ様?」

『うむ・・・だが、創造神・・・偉大な存在・・・我々でもお目にかけられない・・・』
『私が生まれる前の出来事が克明に記憶されたクリスタルを見て知ったことだが』
『メディーヌ様はその昔、機械都市として栄えていたこの地で、人間達の醜い争いに終止符を打つため』
『生き物達のいる地を全て消し去り再生したという』
『その後、また綺麗な大地が戻ると私が生まれ、天界国もまた生まれ変わったのだ』

「そんなことが・・・」
「だが・・・もし、メディーヌ様がいたのなら・・・再生のためにまた・・・」

『うむ、可能性はあるな』

「全てが消し去るということは、私もセルフィもレイランス様も・・?」

『そうだな・・・地上界も天上界も全て新しくなるということだな』
『だが、私が生まれてからは一度も全ての生まれ変わりは無かったからのう。断言はできんな』

「メディーヌ様にお会いすることは出来ないのでしょうか?」

『それは無理だ・・・私もお目にかけたこともないお方だからのう・・・』
『だが、メディーヌ様のいると伝えられている場所はあるが・・・』

「そ、それは、どこにあるのですか!?」

『うむ・・・この天上界よりもっと上の方にあると言われる、天樹界(てんじゅかい)だ』

「てんじゅかい?一体どういうところなのですか?」

『言い伝えには、名のごとく巨大な樹があり周りには湖が広がっていると言われている』
『実際のところ私も行ったことはないのでのう・・・普通では行ける所ではないのだがな・・・』

「行けないのですか??」

『行けなくはないが、全力でかからんとおぬしも生きて帰れぬぞ』
『天樹界に行くということは、容易な事ではないのだ』
『もし、天樹界まで行けたとしても、中に入れるものは限られていると言われている』

「・・・・・・・」

『おぬしに言わなくともわかるであろう。この星を創り上げた偉大な神に近づくということが・・・』
『創造神に近い存在ではないと近づくことも見ることも出来ない。それほどまでに偉大なのだよ』

「ですが・・・・!!」

『うむ・・・そうだのう・・・よし・・・』
『私も一緒について行ってやるかのう』

「え!それでは!!メディーヌ様のいる天樹界へ行けるのですね!」

『私もおぬしも全力で向かわないとだがな・・・』
『十分準備をし、向かうとしよう』

「はい!」


ルナティは、すぐさま天界へ戻り、準備を済ませレイランスの元に向かった。
レイランスはというと、精神統一をしていた。
天と地を司る神だとしても、本気でかからないと天樹界へ続く扉は開かないのだ。
その光景にルナティも気が引き締まった。
ルナティの身体が光り翼を生やすと、レイランスの気が最高潮になり鍵となる術を唱えた。
すると目の前に青白く燃え上がる炎に包まれた大きな扉が現れた。

「これが、あの天樹界に通じる扉ですか?」

「うむ。通じているが、天樹界まではかなり遠い」
「気を緩めるなルナティよ。天樹界を守る守護神達がいつ襲いかかってくかわからぬからな」

「はい!」


その頃、下界では恐ろしい妖気に包まれた暗黒神ゼクトアが暴れまわっていた。
逃げ惑う人を捕まえては喰らい、邪魔だと思うもの全てを破壊していた。

大都市ベルヘルツでは、大聖堂に上級魔法が唱えられる魔術師や聖魔術師の光の使者が集められ
大聖堂全体をガード魔法で守っていた。
その中で生き残った人々は、怯えながら過ごしていた。
そんな状況の中、ロディはアイシャを心配して探し回っていた。
連れ去られてしまったことはルナティから知らされていたのだが、出来る限りのことをと思い探していた。
だが、世界はゼクトアに支配されたのも同然。動き回ろうものならすぐさま破壊の矢が飛んでくる。
ロディはとっさに転移魔法で大聖堂へ移った。

壁に手をつき息を切らし考え込んだ。
「はぁはぁはぁ・・・」
「やはり、私の力では探し出すのは無理なのだろうか・・・」
するとどこからか声が聞こえてきた。

『ロディさん・・・』

「!?」
「誰です??」

『僕です・・・セルフィです・・・』

「セルフィ様!?どこへいらっしゃるのですか!?」
周りを見渡したがどこにも姿がない。

『今僕はゼクトアの中に居ます・・・意識を失わないようこらえてますが・・・』

「ゼクトアの中ですって!?喰われてしまったと!?」

『ごめん・・なさい・・もう長くはない・・・アイシャはここに居る・・・僕たちが守ってる』

「たち?ルナティ様もいるのですか!?」

『いない・・・いつまでもルナティのそばに居たかったけど・・・僕は・・・全てをこの世界を・・』
『守らねば・・・・・・・・・・』
そう言うと、声が聞こえなくなった。

「セルフィ様!?声が聞こえなくなってしまった・・・」
「ルナティ様も行方がわからないまま・・・一体如何したらよいのか」
ロディは頭を抱え、その場に立ち尽くしていた。



世界は地響きを立てゼクトアによって破壊されていく、このままでは全て壊され食い荒らされ絶望の世界となってしまう。
そうならない為にルナティは、希望の光を求め神と共に天樹界へ向かい始めた。
この先、ルナティ達を何が待ち受けているのか。そして本当に世界を救えるのだろうか・・・


第十七話「希望の光を求め」終わり

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