戻る
第十九話「真実の光」
作:Chierin
セルフィの神聖魔法は、もう終わりに差し掛かろうとしていた。
『・・光の使者・・たち・・よ・・我の・・・源と・・なり・力を・・・』
セルフィは少し一呼吸を加えた。
そして最後の言葉を発する。その声だけルナティの心に響いた。

『授けたまえ!!』
「セルフィーーーー!!!!!!」
「うああああぁぁぁぁ」
正気を失ったルナティは目の前にある大きな扉に両手をかけ、頑丈な扉を開けるために
今覚えている上級魔法を唱え始め、必死に中に居るであろう創造神メディーヌに訴えかけた。
「この扉早く開けろ!!メディーヌ!!お前の力でセルフィを助けてくれよ!!!」
「やめろ、やめるんだルナティ」
レイランスが止めようがルナティの勢いは止まらない。
顔色を変えないレイランスだが、今回ばかりは険しい顔つきで呪文を唱えると
ルナティに目掛け動きを止める魔法を放った。
「ぐ・・・ぐぐぐ・・・レイランス様!?」
「ここでお主の魔法を放てば、恐らく扉に弾かれお主自身も生きてはおれぬぞ」
「この扉は見ている限り、魔力などで開くような代物ではない」
「で・・では!どうすればいいのですか!!!」
「う・・・うむ・・・」
『ぐっはっはっはっは!!!!ルナティよ、聞こえるか!!』
『我の中の魂は完全に飲み込まれたぞ!!』
「な、なに!?ゼ、ゼクトアの中のセルフィが飲み込まれた!!??」
「い、一体どういうことだ!!」
「確実に神聖魔法は唱え終わったはずだぞ・・・」
「じゃなきゃ・・・あいつのやったことが無駄になるじゃないか!!!」
『ふっ・・・ぎりぎりのところで飲み込んでやったのだ』
『どうだ、楽しかったか?最後のお別れは出来たか?ぐはははははは!!』
なんと、ゼクトアはセルフィの思惑に気付いていながら、
ぎりぎりまで気づかないふりをしていたようだ。
どこまでも汚い心のゼクトアにルナティは怒り震え上がっていた。
「セルフィが身を捨ててまで・・・全てを掛けてまで・・・お前を!!!!」
『クックックックックッ・・・この完全な我に適うヤツなどおらん!!』
『この世はもう闇に覆われつつある。もう手の内にあるも同然だ!!』
「闇の力が強すぎてセルフィの力が足りなかったのだろうか・・・」
レイランスは険しい顔つきで考え込んでいた。
「セルフィ・・・私・・・・お前を・・守れなかった・・・」
「苦しい・・今まで生きてきた中で一番苦しい・・・うっうう・・うっ・・」
「くそっ・・!ゼクトア・・お前を許さない・・!!!」
・・・・がくっ
その間、怒り震えていたルナティの動きがピタリと止まり、
両手を扉についたまま固まってしまった。
気を失ったのだろうか・・・
・・・・・・
数分経ったが、一向にルナティの様子が変わることがない。
「ルナティ・・・?おかしい・・・私の術はもう解けているはずなのだが・・・」
レイランスの術はとっくに解けていた。
本当に何もかも止まってしまったかのようにルナティが動かない。
レイランスはしばらく様子を見ることにした。
・・・・・・
数分後、大きな扉が急に脈を打つようにドクンドクンと音を立て始めた。
それはルナティの意志を感じ取り動いているかのようだ。
扉は次第に強い音で脈を打ち、ルナティの両手が飲み込まれていく。
この状況に何か意味する物があるかもしれないという思いでレイランスは見ていた。
『ふっはっはっはっは!!!ルナティよ!!お前が何をしようと我には適わない!!』
『この世に邪悪な心が無くならない限り、我は滅びぬであろう!!クッハッハッハッハ!!!』
『お前も我の一部になりに来い!!歓迎してやるぞ!ハッハッハッハ!!』
トクン・・・トクン・・・トクン・・・
ルナティの意識はとても暗い暗闇に居た。
『ここはどこだ?私は一体・・・』
『ルナティ・・・僕はここだよ・・・ほら、ラクアもいるよ』
『セルフィ・・・ラクア様・・・?』
『あぁ、俺も居るぞルナティ。俺はセルフィの一部だからな』
二人合わせて言葉を発した。
『ほら、ルナティ目覚めないとダメだ』
『ほら、ルナティ目覚めないとダメだよ』
『呼んでいるだろう?全ての自然や生き物の意志が聞こえるだろう?』
『今を逃してはダメだ。早く・・・!!』
ルナティは全ての機能が停止したように立ち尽くし、扉に両手が捕らわれた状態だった。
次の瞬間、扉の脈を打つ音と同じ動きをルナティがし始めた。
ドクンドクンと体を震わせ、ルナティの髪の色が赤から白色に変わり、瞳を白く輝かせ
背中から白く大きな翼をバサっと生やした。
変化したルナティは、眩い光を体から放つと目の前の大きな扉が吹き飛んでしまった。
「ルナティ・・・?お主・・・まるで・・・」
そう、その姿はまるで語り伝えられている創造神メディーヌの姿そのものだった。
肌は透き通るように白く、髪も透き通るように綺麗な白で長く、瞳は輝く白。
全てが当てはまるその姿・・・
「神レイランスよ、私は覚醒した」

「メディーヌ様・・・」
第十九話「真実の光」終わり
戻る
Copyright (C) 2008 kaito, All rights reserved.