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第二話「試練」
作:chierin
私が魔族となってもう100年・・・早いものだ
だが魔族の中では、まだひよっこ同然。
魔族は不老不死、ここに来てから世話になっているアーヴェイ様の
年齢は2500歳、ラクア様は7000年以上は生きているらしい。
私にはとうていとどかぬが・・・。
今日は魔族へとなって丁度100年・・・
人間が魔族になって100年経つと力が衰え、体が朽ち果てていくという。
それを避ける為、ディリック城の地下には、暗黒の扉というものがある。
そこで扉の封印を解き、暗黒神ゼクトア様を呼び出すというのだ。
呼び出し何が待ち受けているのかは、自分自身で確かめなければいけないらしい。
暗黒神ゼクトア様は、ラクア様の作り出したお方だという。
そして私は暗黒神ゼクトア様に会いに暗黒の扉へ向かっていた・・・
どういう試練かは今の私にはまだわからない・・
私は考えるのをやめ無心になり、城の地下へ続く階段へ入ろうとした
そこで誰かが私を呼び止めた。
「ルナティ・・・」
振り向くとそこにはラクア様がいた。
「ラクア様」
「どういたしましたか?」
「ん・・・・・・・・・」
「ルナティ・・・もう100年か・・・」
「はい、今から向かうところでした。」
「少しずつ体の力が抜けているのを感じます・・・」
「一刻も早くこの肉体の滅びを止めなければいけないので」
「それでは、行ってまいります。」
「待て、ルナティ」
呼び止めたラクア、振り向くルナティを抱き寄せた。
「ラクア様?」
「どうなされたのですか!?」
「いや・・・くれぐれも気を付けろ。」
「お前なら大丈夫だとおもうがな・・」
「??」
私は訳もわからず、ラクア様と別れ地下へと行った。
城の地下は寒々とした空気が流れ、居心地の悪い空間で
不安を感じつつルナティは暗黒の扉の前に立つ。
ルナティは封印を解く呪文を唱え始めた。
呪文を読み終わると同時に固く閉ざされた扉は低く鈍い音をたて
開きはじめた・・・。
ルナティは暗黒神ゼクトアの元へゆっくりと歩きはじめる。
扉の向こうは、周りが見えないほどの霧が立ち込め不穏な空気が流れる。
少しずつ少しずつルナティを包み込む・・
「感覚的にはとても広い空間のようだが・・」
「これでは身動きが取れんな・・・」
「・・・いったい何が起きるのだ?」
「・・・?!」
急にルナティの体が金縛りになってしまった!
少し混乱したが冷静に心を落ち着かせ、心で暗黒神ゼクトアに語りかけた。
「暗黒神ゼクトア様・・・我はルナティ100年を経てここへ参りました・・・。」
「肉体は滅びを感じつあります。」
「お答えを下さい・・ゼクトア様・・・」
霧で真っ白だった空間が一瞬にして浮かび上がった。
そこはとてつもない広い空間で、巨体で背中に大きな羽を生やし、恐ろしい顔をした
暗黒神ゼクトアが壁に半身埋め込まれた状態で石化していた。
「暗黒神ゼクトア様!?」
「・・・これが暗黒神ゼクトア様だというのだろうか」
その時、ルナティの心にオドロオドロしい声が聞こえてきた・・・
「我は暗黒神ゼクトア・・・魔族界を生み出した者だ・・・」
「お前はルナティ・・不完全な魔族の肉体を持った人間・・・・」
「我は生み出し・・・滅ぼす暗黒神ゼクトア・・・」
「肉体を・・・欲する者・・・我の身体の一部を授けよう」
「・・・だが・・・この・・地獄を抜けれ・・たら・・・だ・がな」
「!!」
暗黒神の声が無くなった瞬間、青黒い光と共にルナティの身体が浮き上がり
暗黒神ゼクトアの身体に吸い込まれていった。
内部は方向の区別がつかない程、暗闇に包まれていた。
「ここは何処だ?」
「身体は動くようになったが・・・」
「ん?」「なんだ?向こうから凄まじい気配を感じるが??」
暗闇の向こうに妖しく光る物体が凄まじい速度で襲い掛かってきた!
「!!!」
「ぐあぁぁぁぁぁーーー!!」
ルナティの身体に凄まじい痛みが走った!
それは恐ろしいほどの群れをなした悪魔だった!!
悪魔の肉体は半透明でルナティの身体を通り抜けるたびに力を
奪っていく。
「はぁはぁはぁ・・・・・・」
「いったい何が起きているんだ・・・?」
現時点のルナティの力では太刀打ちが出来なく
肉体はじょじょに滅びへと向かってきていた。
ルナティは、いつものように心を落ち着かせ考えた。
『そう・・・私は一回死んでいるのではないか・・』
『恐れる事など何も無いのだ・・・ふふふ』
そう心の中で思うとルナティは目を閉じ両腕を広げ、襲い狂う悪魔に
その身を許した・・・
ルナティの身体は、悪魔によって力を奪われ、朽ち果てていき意識がじょじょに
失われてきた・・・
『我が名はルナティ・・・どんなに朽ち果てようとも・・・ラクア様を
お守り致します・・・・』
『ラクア様愛しております・・・』ルナティは意識を失った。
そこは暗く寒々しい空間、さまよう魂・・いつかの私を見ているようだ・・・
私は、またここでさまよい続けるのだろうか・・・
このまま現世に転生したとしても・・・繰り返されるだけだ・・・
・・・ラクア様・・・・逢いたい・・・
「・・・・・・・・・」
「ル・・・ナ・・・・」
「!?]
気を失ったルナティが目を覚ます。
「・・・・んん」
「ルナティ・・」
「気が付いたか・・・」
気が付くと、そこにはルナティを優しく包み込むラクアの姿があった。
「ラクア様?・・・ここは!?」
「ここは暗黒の扉の前だ」
「私は悪魔に力を吸い取られ朽ち果て、暗闇をさまよっていたはずですが・・・」
「何故このような場所に・・?」
ラクアはルナティの頬に手をあてこう言った
「ふふふ・・・お前は暗黒神ゼクトアに気に入られたようだ」
「お前は前より魔力が強くなったようにみえる・・・」
「暗黒神ゼクトアは気に入らない限り、完全な肉体を与えることなどないのだ」
ラクアを見つめルナティはこう言った
「完全なる魔族の肉体を手に入れられ、私は自信を持ち貴方をお守りする事が出来ます。」
「どんな事が有ろうとも私は貴方をお守り致します・・・」
すっとラクアがルナティを抱き寄せる・・・
「私の側に居ろ・・・これは命令だ」
「どんな時も居ろ・・・寝ている時も・・・」
「はい、ラクア様・・・」
私達はお互いも求めるようになり、愛し合うようになった・・・
ラクア様にはとても安心できる何かがあるように感じた・・
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