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第二十一話「復活の時」
作:Chierin
空は一面に黒い雲に覆われ激しい雷雨。
世界はゼクトアによって破壊されていく・・・
人々の心もゼクトアにより蝕まれ絶望という暗闇しか無かった。
嘗てのルナティのように闇の心を持つ人間が生まれていく・・・
トクン・・・
トクン・・・
トクン・・・トクン・・・ドクンッ
「なぬ?これは一体・・・!私の中のルナティが殻を破ろうとしている!」
「!?」
驚くレイランスをよそにメディーヌの目は開いたまま、微動だにしなくなった。
メディーヌの目の色がルナティの鮮やかな赤に変わると、その場に倒れ込んだ。
だが肌の色や白く長い髪はメディーヌそのままに、目の色だけがルナティだった。
レイランスは抱きかかえ問い掛けた。
「ルナ、ルナティなのか!?」
「う・・・うううん・・・」
「私は・・・ルナティ?・・なの・・?」
意識が朦朧としているのか、自分が誰なのかハッキリしていないようだ。
だが、メディーヌのような圧倒的な魔力は感じられず、力は弱まっているが
魔力はルナティそのものだと感じた。
「まさしくお主はルナティだ。」
「よく戻ってきた。」
レイランスはそう言うと優しく抱きしめ、気を送り込み体力を回復させた。
「暖かい・・・この暖かさ・・・どこかで感じたわ」
ルナティがレイランスのほうを見た瞬間、セルフィの顔が浮かび上がり
ぼんやりしていた記憶が一気に波のように押し寄せてきた。
瞳からは大粒の涙がこぼれ落ち、レイランスにもたれ掛かった。
「レイランス様・・・セルフィは、もういないのですか?」
「ルナティよ。お主は何か忘れてはおらぬか?」
「????」
「今私の顔を見て全てを思い出したようだが・・・」
「それは私の魂がセルフィと同じであったから・・・セルフィは私の分身なのだよ。」
「それがどういうことがわかるか?」
「ええ?もしかして・・・レイランス様が生きていると言うことは・・・」
「うむ。セルフィも生きているということになる。」
「だが・・・恐らく身体はもう無くなっているだろう・・・」
「魂だけが生きているのを感じられる」
「では、どうすれば助けられるのですか!?」
「私の中に再びセルフィの魂を戻せば助かる」
「だが、私の力が強ければセルフィの心は消えるだろう・・・」
「ってことは・・・セルフィの力が強ければレイランス様は・・」
「そういうことになるな」
「わ、私には判断しかねます・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「もう世界がこうなった以上、お主達に委ねるしか手がないのかもしれぬな」
目をつぶるレイランスは脳裏に浮かぶ崩れゆく下界を見つめ
静かに息を吸うと集中をし始め、セルフィの魂とコンタクトを取り始めた。
魂のあるところは暗闇で光が一切無い寂しい場所だった。
ゼクトアの腹の中にある深い闇だ。普通の人間だとすぐその闇に飲み込まれ
モンスターとなり生み出される。
だが、その闇をも近づけさせない光り輝くオーブが宙を浮いていた。
その存在をレイランスは感じ取り、全力でその光にコンタクトを取る。
何も反応が返ってこない。
ゼクトアの闇の力によって、阻まれてしまっているのかもしれない。
「ゼクトアの腹の中にある闇に眠る光り輝くオーブを取り出さねば」
「合わさることが出来ぬ・・・」
「取り出すとなると・・・ゼクトアの中に入らなくては・・・」
「・・・私が行ってきます!!」
「ルナティ。お主の強さであっても、あの闇に飲み込まれるかもしれん」
「ですが!どうすることもできないのでは!」
「お主に行かせるわけにはいかないのだ・・・」
「私が直接行き、ゼクトアに飲み込まれ腹の中で眠るセルフィに触れよう」
「でも、それでは万が一そのまま闇に飲み込まれてしまったら!!」
「いいのだ・・・その時はメディーヌ様・・・この世界をお願いします・・・」
その言葉にルナティの中に眠るメディーヌが答えるかのように、ルナティの瞳が光った。
それを見るとレイランスは、スーっと姿を消した。
「レイランス様!!」
心配そうに見つめ、祈ることしかできないルナティ。切ない思いだ。
その頃、レイランスは瞬間移動の術で暗黒神ゼクトアの近くまで来ていた。
足下は瓦礫や死体の山。そこは絶望の闇に支配されてしまった世界。
その闇を振り払うように光を放ち立ち向かっていった。
第二十一話「復活の時」終わり
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