第四話「運命の日」
作:chierin
血は騒ぐ・・・私の血は騒ぐ・・・薄汚れた地を排除する為に・・
どんなにこの時を待ったのだろう・・・
私は変化する力を手に入れ、人間を捻り潰す力を授かった。
クククククク・・・・・
滅ぼしの日が近づきにつれ、ルナティは冷静さを失いつつあった。
そして滅ぼしの前日の晩・・・・
ルナティは眠りについていた。
「ルナティ・・・ルナティ・・・・・」
「誰だ?・・私を呼ぶのは・・」
「僕だよ・・・覚えてないの?・・・僕だって・・・」
「いつも君の側にいたよ・・今も・・・・」
姿は見えない物体がルナティに優しい口調で話し掛ける。
それはとても忘れている何かを思い出す感じがした。
「やめろ!私はお前など知らん!!」
「ルナティ・・・・僕は・・・」
「!!」
「ルナ・・・ルナティ・・・・ルナティ!!」
「はっ!!」
呼びかける声にルナティは目を覚ました。
「ラクア様・・なんでしょうか・・・」
「大丈夫か?うなされていたぞ」
「ん・・・お前・・・精神に乱れがあるな・・・」
「・・・今日はお前が一番望んでいた日ではないか・・」
「よし・・もっと深い眠りに着き、備えるが良い」
ラクアはそう言うとルナティの額に指をあて、スリープの呪文を唱えた。
ルナティは深い深い眠りに着き・・・そして運命の夜が明けた・・・・
魔界はその昔ある人間によって暗黒神ゼクトアが封じ込められた世界。
ゼクトアはまた人間界支配の為、自分の分身となるラクア様を生み出し・・・
人間の荒れ狂う魂を集め、欲望と絶望の狭間の世界魔界が出来た。
人間界と魔界の扉の封印をした人間が何千年も前に死に、ゼクトアの
力が徐々に強まり、今その扉の封印が破られようとしていた。
魔界と人間界を結んでいる見えない扉は魔界の空の中心部にあり、とても高いところにある。
魔力を強めたルナティ、魔王ラクアが共に魔界と人間界を結んでいる扉の前に
浮遊しながら封印を解く呪文を唱え始める・・・。
二人の魔力は壮大で魔界全体が振動するほどのものであった。
荒れ狂う空、雷(いかずち)と共に二人の目の前に眩い光の扉が姿を現した。
「ルナティ、これで人間界とここは繋がった・・・」
「さぁ・・行くぞ・・・」
「はい・・・」
二人は眩く光る扉に飛び込んだ。
眩い光の中を二人は駆け抜けていった。
そしてその向こうには、荒れ狂った空が広がる人間界だった・・・。
「さて・・私は暗黒神ゼクトアの復活の儀式を始めるとするか・・・」
「ルナティ・・・お前は、人間界にその力を見せ付けるがいい・・ふはっはっはっは!!」
「はい!ラクア様!!」
ルナティは身体中のエネルギーを額に込め、変身をとげた。
そして人間達が集まる所を探し始めた。
〜人間界〜
「え〜ん!ママ〜」
「はいはい、どうしたの? あらあら転んじゃったの?」
「うえ〜〜ん、痛いよぉ・・ぐすん」
「ほたほら泣かないの。男の子でしょ!」
「ぐすぐす・・うん・・」
「ママ・・・今日もお空が真っ黒だね・・・怖いよぉ」
「そうね・・いつになったら戦争が終わるのかしらね・・・」
「もう・・・何百年も続くっていうのに・・・何も変わらないなんてね」
「あぁ!ママ!!」
「なに?どうしたの?」
「お空の向こうから何かが向かってくるよ!」
「え?!」
「戦闘機??いや違うわ・・・人間????」
「ふふふふふ・・・ここがいいな・・・」
「ここは人間の集落か・・」
ルナティは人間の集まるところを見つけ出し、呪文を唱え始めた。
地響きと共に暴風がざわめく。
「あぁ!!なんか様子が変だわ!!」
「この子を安全な場所に行かせなければ!!」
母親は自分の子供を連れ、近くの小屋に逃げ込んだ。
「いったい何が起ろうとしてるの?!」
「はぁ!!お前たちのような薄汚い人間を排除してくれるわぁぁ!!!」
ルナティの気迫と共に暗黒魔法が放たれた!
無数の漆黒の矢が人間達に突き刺さっていった。
「な!なんだ!?この矢は!!」
「ん?でも痛くないぞ!?」
「ふっふっふっふっふ・・・死ね」
その一言と共に、漆黒の矢が餓鬼へと変化した!
「餓鬼どもよ、その薄汚い人間達を食い尽くすがいい!!」
「ぐあぁぁぁ!!なんなんだこれは!!助けてくれぇぇ」
「死にたくないーー!!!」
集落中に苦しむ人々の声が響き渡る。
「ふははははは!!死ね死ね!苦しめ!!」
「やめてーーーーー!!!」
「ん!?」
「こんな酷いことするのやめて!!」
「ん・・・まだ生き残りがいたのか・・・ふふ」
「はぁぁ!!この矢でお前も食われるがいい!!!」
「あぁぁ!!いやぁぁーーーーーーー」
「ふっはっはっはっはっはっは!!」
「これでここは終わりか・・・呆気ないな」
「えーーん!!ママーーー!ママーー!」
「ん?なんだ??まだいたのか・・・」
「しょうがない、こんなチビには上級魔法じゃなくとも倒せるな」
《やめろ!!》
「ん??」
《やめるんだ、ルナティ・・・君はそんな子じゃない・・・》
「なんだ??頭の中に響く声は??」
《僕は君をずっと見守ってきた。見守ることしか出来なかった・・・》
《だが今なら僕が君を助けることが出来るかもしれない》
「お前は誰なんだ!!」
《僕はセルフィ・・・ずっと君の事を知っているよ》
「ぬあぁぁ!!私の頭の中で喋るな!」
《僕はすぐそこに居るよ・・・ほら・・目の前にいるじゃないか・・・》
「なに!?」
眩い光の火の玉が目の前に現れた。
《今は実体がないが、封印が解ければもしかしたら・・・》
「封印?・・・ふふ・・・お前などこうしてやるわ!!」
ルナティは上級魔法を唱えセルフィに浴びせ掛けた。
《僕は精神体。魔法は通用しないよ。》
「なに!!・・・お前など構っている暇などない!」
そう言い残すとルナティは一瞬にして姿を消した。
《ルナティ・・・思い出してくれ・・僕を・・この僕のことを》
第四話終わり
(またまたまた感想お待ちしております^^)
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