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番外編「光と闇」
作:Chierin

とても緑あふれるのどかな時代。神は、監視の為に神の子を人間界に送り込んだ。
その子は、約300年後に生まれるセルフィの先祖ルークだ。
神の子ルークは、人々の生活に溶け込み人々のために尽くした。
人間の娘と結ばれ、子を授かり代々神の教えを子に伝ええてきた。
ルークの子が10歳になった時、強大な敵が出現した。
それは、暗黒神ゼクトアと名乗った。魔界から魔物を引きつれやってきた。
ルークは街の者や家族を避難させ、一人ゼクトアに立ち向かっていった。

神から授かった力をこの時初めて使ったのだ。
だが、ゼクトアの魔力はあまりにも強く、ルークの力では太刀打ちできなかった。
神の子はズタズタになりながら天に祈った。
すると天より眩い光の帯が現れ、ルークを暖かい光が包み込んだ。
神の光が大きな剣を生み出し、新たな力でルークはゼクトアを叩き切った。
だが完全に倒すことが出来ず、ルークは全ての力を使いゼクトアを石にし封印を成し遂げた。
力を全て使い果たしてしまい、ルークはその場に倒れこみ天へ召された。
残されたルークの子は、父の勇士を代々伝えることを誓い、神より力を受け継いだ。
そして、約300年後・・・あの緑あふれた時代とは打って変わり
何十年も戦いが続く真っ只中に高らかな産声を上げてセルフィは生まれた。
神の子の力を受け継ぐ子は全て男の子と決まっている。
その中でセルフィは完璧に力を受け継ぎ、正義感が強く15歳を過ぎると教会へ勤めることに。

人々の評判は良く、教会には毎日セルフィの話を聞きに人々があふれていた。
その中に、一段と綺麗な女性が物悲しそうに座り込んでいた・・・
「あの・・・どうかなさいましたか?」
「あ、いえ・・・あの・・・」
その女性は、涙ぐみながら今まであった出来事を事細かにセルフィに話した。
今の戦争で夫を亡くし、一人娘をこの戦いの中で育てていけるか途方にくれていたのである。
女性の後ろには、怯えるようにしがみ付いて、こちらを見ようとしない女の子がいた。
「ごめんなさい・・・この子、昔男に乱暴にあいそうになったことがあって」
「それ以来、男性恐怖症なんです」
セルフィは、嘘偽りのない瞳で女の子を見つめ「僕が君を守る」とつぶやいた。
すると、見ようともしなかった女の子が母親の後ろからチラっとこちらを覗くようになった。

「ねぇ・・ほんとう?私のこと守ってくれる?」
「うん、守ってあげるよ」
「だから、毎日ここへ通いなさい。そしたら僕が君にまじないをかけてあげるから」
「まじない?」
「うん、悪いものから君を守るまじないだよ」
「わかった!私、毎日ここに来る!」
それから毎日、母親と女の子は教会へ来るようになった。
だが、ある日いつも来る時間に女の子一人しか来なかった。
「ひとりで、どうしたんだい?お母さんは?」
「・・・・うぐ・・えっぐ・・・うえ〜〜〜ん」
女の子はたちまち泣き出してしまった。
なんと、母親は昨晩出かけると言い残し、それ以降帰ってこないらしい。
家の近くには母親の衣服だけが散乱していたという。
何があったのか、この子なりに察したのだろう・・・。
それから女の子は親戚の家で世話になるようになった。
どんな時でも教会にセルフィのまじないを受けにやってきていた。

そんな女の子をセルフィは妹のように可愛がっていたが、日に日に綺麗になるにつれ
愛しさが芽生えてきていた。
セルフィが18歳になる年、突然教会に魔物が現れた。
雑魚だったため難なく倒せたが、外へ出てみると多くの人間たちが殺されていた。
怒りに震えたセルフィは、全ての魔物たちを全力で倒しにかかった。
気力を使い果たし、その場に倒れこんでしまった。
その光景を待っていたかのように、黒い霧が発生するとセルフィを包み込み消えた。
セルフィが目を覚ますと、そこは不気味な雰囲気漂う城の中だった。
「ん・・・・くっ・・・なんだ、この邪気漂う場所はっ・・・」
僅かにしか気力も残っておらず、よろつきながら立ち上がった。
『クックックック・・・あの憎き者の子孫か・・・』
姿は見えないが、声だけが聞こえてきた。
「だ、だれだ!?」
『この魔界城の主、暗黒神ゼクトアだ。知らぬとは言わせないぞ?グッハッハッハッハ』
「ゼクトアだと!?僕のご先祖様が封印したという暗黒神!?」
『その通りだ・・・この我を動けないよう石にし封印した憎きルーク!』
『だが、動けはしないが残された魔力で魔物を操り、お前を誘き出したわけだ』
「どういうことだ!?」
『お前・・・これだけは知らぬようだな・・・』
ゼクトアは弱りきったセルフィの身体を操り、中に浮かせると
黒い霧と共にその恐ろしい姿が目の前に出現した。
身体は石になっており壁に半分埋まっている状態だった。
腕だけは動くのか、ギシギシと音と立てセルフィの首につかみ掛かってきた。
『お前のこの中にある魂が欲しいのだよ・・・』
『これを喰らえば・・・我の封印が解けるのだ!!!』
「!!!!」
セルフィは最後の気力を振り絞り、自らの魂に念を送った。
ゼクトアはセルフィの体から光り輝く魂を取り出すと、それを口の中へ放り込んだ。
意識が徐々に薄れていく中、守るべき者を守れなかった悔しさが胸を突く。
《ごめんよ・・・愛しい君を守れなくなってしまうね・・・》
《あぁ・・・僕はどんな姿になろうと君を守る・・・》
セルフィの強い念により、魂は分裂し一つは喰われ、もう一つの凄く小さな魂の欠片は
逃れるようにその場を去った。
その小さな魂のセルフィは本来の力を失い、記憶をも失いさ迷い続けた・・・
ゼクトアは、完璧な魂ではないものを喰らい封印を解くことが出来なかった。
その事がわかるとラクアを生み出し、ラクアは魔界の王となる。ゼクトアの意のままに動いていた。
だが、そのラクアも愛を知ったとき、ゼクトアのコントロールもきかなくなり
ラクア自らの意思で動くようになった。
そしてここから全てが始まったのだ・・・・・・
番外編「光と闇」終わり
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