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第7話「返事」
作:Chierin


「ただいまより本船はコーラル港へ向けて出港いたします」
汽笛を高らかに鳴らし、タイタニア号はコーラルへ向けて出港した。

杏は甲板へ行くと大きな深呼吸をした。
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜気持ちいい風だぁ〜」
「遊くん、どうしてるかなぁ〜今なにしてるんだろう〜・・・」

なんだかんだ杏は気になっているようだ。
気がつくと向こうの方に船着き場が見えてきた。

「本船はコーラル港へ到着いたしました」

杏は、コーラルへ着くとすぐに遊の働くペットショップへと向かった。

「わぁ〜ここかなぁ〜ペットショップ〜可愛いお店だ〜♪」
「まだ午前中なのかぁ〜、仕事中だからまだ声かけないでおこうかな」

杏は外から中の様子を覗いてみることにした。
すると、遊がせっせとペットの世話をする様子が見えた。
優しい目でペットを見る遊に杏はちょっとドキっとした。

「ぐ〜〜きゅるるるるるるる〜」
「うぅ・・・お腹空いたぁ〜・・・どこかで食べてくるかなぁ」

とりあえず街を探索することにした。
色々と歩き回っていると、食べ物屋らしきところに辿り着いた。

「パブ・ドルフィン?可愛い名前だなぁ〜フフ♪入ってみよう〜」

中へはいるとお昼時なのか満席の状態だった。だがそんな中、焦げ臭い匂いが漂ってきた。
「うはぁ〜人いっぱいだなぁ〜どうしよう〜ご飯」
「んん??なんだぁ〜この匂い・・・」

杏はコッソリと厨房の方に行ってみた。
厨房にはコックが足りないのか大忙しのようだ。大きな鍋がグツグツ煮立っている。
もう一つの鍋から黒い煙がもんもんと出ていた。

「ひゃ〜コックさんいないのかな??仕方ない〜私がなんとかしよう〜」
「うはぁ〜焦げ付いちゃってる。これカレーかな」

杏は手際よくカレーの材料を切り、材料を炒めササッとカレーを作り終えた。
「よぉ〜し、あとはちょっと煮込むだけだ〜♪」

「おぉ!?そこにいるのは誰だい??」
忙しそうに動き回る一人のコックが杏に気づくと声をかけてきた。

「あ、ごめんなさい!あまりに焦げ臭いんで作り直しちゃいました!!」

「え?あ!忙しさのあまりにカレーの鍋の火が付けっぱなしになってたか!!」
コックは慌てて杏の目の前にある鍋を覗いた。

「おぉ?これは・・・君が作ったのかい?」
コックは出来上がったばかりのカレーを味見してみた。

「まだまだ見習いなんで大した物じゃないですけど〜」

「いやいやいや!これはウマイ!!スパイスの調合が程よい感じだ」
「これなら子供からお年寄りまでいけるかもしいれない!」
「こ〜んな美味しいカレー作れる君をここで雇いたいんだが、どうだい?」

「ええええええ〜〜!そ、そんな・・・」
「ファンブルグの食料品店で働いてますし〜・・・」

「お?そこってナポンってところじゃないかい?」

「知ってるんですか?」

「うんうん。僕もそこで昔働いていたんだよ」
「僕から頼んでおいていいかな?君をここで雇いたいって」

「でも、私ここの住人じゃないですよ?それに・・・」

すると、そこに遊が客としてやってきた。
「いらっしゃいませ〜!」
ウエイトレスはカウンターの方へ案内した。

遊は今日のおすすめに書いてあったカレーライスを注文していた。

「おっと、早速カレーライスの注文入ったよ〜!」
「じゃ〜君のこれ運んでもらおうかな。よろしくね」

いつのまにお手伝いすることになってしまった。
遊が来ていることにまだ気づいていない杏はカレーライスを運んでいった。

「お待たせしましたぁ〜カレーライスです〜」

「あ、どうもぉ〜・・・・あれ??杏ちゃん???」

「あれれ〜?遊くん〜?」

「ど、どうしたの?仕事は??」

「いやぁ〜実は〜・・・」
杏はパブへ来てからの事を遊に話した。

「そっかぁ〜・・・じゃぁこのカレーは杏ちゃんお手製なんだね」
「美味しいはずだ〜」
もぐもぐ食べながらニッコリと笑顔を見せた。

杏は顔を真っ赤にさせながら「あ、ありがとう」とお礼を言うとサッサと厨房へ消えていった。
肝心のコーラルへ来た理由を言えてないままだ。
それから杏は夕方までパブ・ドルフィンの厨房で働いていた。

「ん〜〜〜!疲れたぁ〜ファンブルグのナポンより労働量が違う〜!」

「疲れたかい?そろそろお客も減ったし、上がっていいよ」
「それと、僕のわがままで働いてくれたから、はいこれ」
コックは杏に茶色い封筒を渡した。

封筒を開くと今日働いた分にしては多めのお金が入っていた。
「ええ?これ、なんですか?」

「実はね、ナポンにいる店長に話してみたんだよ。そしたら君をここで働かせていいって」
「だから、雇う分の契約料?みたいなもんさ。足りないかい?」

「い、いえいえいえいえいえいえ!!!十分なくらいですよ!」
「こ、こんな私でいいんですかね??」

「そりゃ十分な程の腕してるよ。自信持ちなさい!」
「そしてもっとここで色々な味覚えるといいよ」

「お〜〜〜!そうですね!わかりました!頑張らせていただきます!!」

早速、ファンブルグにいる親や姉達にしばらくコーラルにいることを知らせた。
夜になり、杏は店で用意された部屋で休んでいた。

するとお店の人が杏を呼びに来た。
「トントントン・・・杏さん、ご友人の方がいらしてるんですが降りてきてくださいますか?」

「あ、はい〜すぐ行きます〜」

下へ降りると、そこには遊が待っていた。
「杏ちゃんお疲れ様〜疲れてるかな?疲れてるなら明日にするけど」

「え?大丈夫だよぉ〜」
遊は、杏の言葉を聞くと手を引いて店を出た。

「お、おお?何処か行くの??」
杏は急な事に動揺し赤面している。

遊が立ち止まると、そこは海岸だった。
二人は座り込んで海を眺めていた。辺りはだいぶ暗くなり、寒々しい。
そんな時、遊がそっと側へ寄り添いつけていた長いマフラーを杏にもかけてあげた。

「わっ!ありがとう・・・暖かい・・・」
「あ、あの・・・遊くん・・・」

「ん?」
遊も恥ずかしいのか顔を下に向けたまま返事をした。

間近に遊を感じながら照れくさそうに話し始めた。
「わ、私ね・・・コーラルに来た理由まだ言ってなかったよね・・・」
「あの・・・お鍋パーティの後のことずっと気になってたの」
「ちゃんと返事しなきゃいけなかったのに、遊くんいつの間にいなくなってて・・・」

「あ、ごめんよ。言わなきゃいけないのに、なかなか言い出せなかったんだ」
「なのに、気持ちが先走っちゃってあんな事を・・・」

「ううん。いいの。私それで気づいたの・・・」
「遊くんとお話ししたくても出来ない時間がもどかしくって寂しくって・・・」
「私が作った料理をいつも美味しそうに食べてくれた遊くんの顔が忘れられなくって・・・」
「あぁ〜ん、もう!何が言いたいんだろう私!!」

と、次の瞬間・・・

「チュッ・・・」

「あ・・・・ごめんよ・・・あまりに可愛かったんでつい・・・」

「ひゃっ!照れちゃうよもう〜!!」
顔から火が出るんじゃないかというくらい顔が真っ赤になっている。

「い、嫌だったかな?だったら本当にごめん!」

「・・・・嫌じゃないよぉ・・・私も好きだもん・・・」
「だってそれを言いにここに来たんだもん・・・」
うつむき加減でもじもじしながら言った。

「え?じゃぁ、俺のために来てくれてたんだ・・・嬉しいよ、ありがとう」

「うん、えへへ・・・照れちゃうなぁ〜」

「あはは、そだね」
「あ、もう日が暮れたし寒いから帰ろうか」
二人は赤面しながら照れくさそうに手を繋ぎ家へ帰っていった。

つづぅ〜〜〜く♪

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