あんみつナイト@西荻窪ターニング 2003.08.19

豪華メンバーであんみつも楽しみなこのイベント、参加は2回目。
弾き語りのみというのも出演者の腕の見せ所である。
この日は超個人的な事で私自身の精神的バランスが崩れていた日なので、
余り人と話が出来る状態ではなかった。
こういう日だけに身体に優しいアコナイトはラッキーだったのかもしれない。
通常のテンションの高いライブでも楽しめない気分だったかもしれない。
浸れる方のライブで本当に良かった。

駅前で簡単にご飯を済ませてハコへ。ハコ前には弾き語りが実に久しぶりらしい大将がファンとの語らい。
それがリラックス出来る事なので有れば、回りと良い関係が築けているということなんだろう。
ライブ前のお約束(笑)無精髭な感じだったが、実はこのままご出演だったとは。
スリクォさんとは別モードで、という心積もりだったのかも。

アコースティックとは。聴く方も深いモードであるが、
ここは当然出演者の方々も非常に繊細な音作りをされるものなのかもしれない。
前に並んでいたお友達の後を追って、前方左側に座ってみた。
左側スピーカーの音が正面から来るので落ち着く。通常の音ほど左右のバランスが気にならない。
座るとSuper Smashさんの最後の曲だった。
曲の内容までは集中して聴き取れなかったが、声は民生声で真っ直ぐ通る質感。
聴き易い曲である気がした。
藍田真一さんは前日に各出演者の板に回っていて、何て丁寧な人なんだろう!と思っていたら
その通りの実直な透き通る声。
曲の内容は大変にかわいらしい恋愛ソングで、一所懸命歌っているのが分かる。
彼サイトのLINKにTAKUさんの名前が有ったのも頷ける。
FM802でだったか?のパワープレイ曲、というのに聞き覚えが有った。
何でだ?最近有線等どこかで耳に触れたのかな?
その時も、これと同じアコ1本だった。
アコで関西出身のこの方の音を聴く機会と言えば音穴以外考えられない。
でもDeSeOでだったかなあ〜?本当に聴いたのか確信が持てない。
しかし最後の曲の「この先10年 20年も」の歌詩で再確認。やっぱ聴いた事有った人だった!
知らない人と思っていたのに実は知っていた、というのは、まるで学校の中の出来事の様で、
「あー、あの時話したのはこの人だったんだ」と、後から気が付く瞬間みたいで面白かった。
記憶が悪い私にも思い出させてくれるとは、曲の潜在力ってすごいもんだね。
でもまだ渋谷なのか梅田なのか、どちらもなのかが結局思い出せなかった。

この日のお目当て1人目、加藤卓雄氏登場。
セッティングもすぐ終わってしまうから、気持ちの準備が大変だろうね。
そして普段のお前達も本日は一点集中で見る訳だから、
演る方見る方お互いに緊張しているのがすぐ分かってしまう(笑)。
ただし曲が始まると、緊張よりも新鮮さでぐっと気持ちが集中。
気持ちのそわそわはどこかに逃げて目より耳が動き始めた。
こんなにギターストローク強いんだ〜。
普段のライブのソリッドな弾き方はこれが基本だからかと、改めて思わされる。
ピックが充分弦に絡んでいる強い音質。カッティングのキレも良い。
力強いねえ。おまけにこの人はやはり強い声をしている。
ご自身言う所の「5×8(ゴッパー)声」(5×8という種類のマイクと相性が良いとのこと)が
上方からハコ全体に反響。今日のマイクはそれなのか分からんが・・・通りが良く前に出る声に圧倒される。
ソロ含め昔スリクォライブでやっていた「古い歌」と言われる曲群は、喉ごしが良く入りの良い歌詩だと思う。
頭の中に浮かぶ言葉の形は、(実際はともかくとして)漢字よりひらがながやや多い様な、
丸く優しい印象を与えてくれる。
ただ、約10年前にこの様な曲を歌っていたとは、もし当時に出会っていて実年齢を聞いたならば
「末恐ろしいヤツだ〜」と思わされたに違いない。
一言で言えばストレート。今よりも押しが強いのかも。
でもそれは押し付けがましいと言う事とは全く対極に在る。
たたみかける様な言葉の内容は、人に向けてであるのと同時に自分に対して歌っている様にも聞こえる。
「孤立したって自分が自分らしくなければ空しい。それを君は分かっているだろう?」
という内容に思えた「情熱、その強さ」という曲。
この曲を聴いた時に、言葉から
「ああ、やっぱりこの人が『ビリジアン』を書いたんだ」というのをエラく痛感した。
そして、曲調は声やギターの強さとは対照的に、全体的に暖かく優しい。
この組み合わせが面白いのかもしれない。
「悲しみはどこからか」「ぼくは歩き出す」なんかも全くその通りだ。
話の中では「昔を思い出すし、吉祥寺クレッシェンドでやっていた頃と錯覚する」という言葉が有った。
個人的に回想出来る話と言えば、最初にソロを聞いたのはウィリーズさん主催の新宿ロフトだったっけ。
曲数が多かったのも大きく違うが、今日はあの時より更に渋いんじゃないかなあ、と思った。
ひたすら「緊張する」を繰り返していたが、曲が始まると全くそういうことはこちらに感じさせない。
この日の彼の演奏を言葉にして語ることは本当に難しい。
言葉を越えてしまっていて、気持ちが覚えているだけでいいよ、と言っている。
彼には彼の回想が有り、見る側にはそれが現在なのである。不思議な巡り合わせだと思う。

続くは主催者マコちゃん。圧倒的にアコースティックで聴く機会の方が今の所多い。ミツ.ちゃんもそうだ。
女性ボーカリストは場の空気をふっと軽くしてくれる。特にマコちゃんの声はそうかもしれない。
ご本人とお話してみると、サバけているというより、まるで綿素材の様な肌触りの良さを常に感じる。
細やかさから来るものなのかな。
軽やかな歌声が響いてくる。MCでまだギターを弾き始めて1年半しか経っていないというのに驚かされた。
私がマコちゃんを初めて聴いたのは今から半年は前のはず。
とすると1回目は1年経つか経たないか位だったんだろう。
大学生の頃同じサークルの女の子の上達に驚いた事が有った。
私より背も手も小さかったのにピアノも上手かったしアコギも懸命に身に付けて行った。そんな事を思い出す。
優しげに始まる「冬のにおい」で気持ちが落ち着いて行った。
私が好きな曲には、私が好きな「色彩」が出て来る事が多い。
「恋をしよう夏にしよう」は今ならではの曲。
「黄色が好きな私のカバン緑になったの ブルーが好きなあなたのせいかな」
このフレーズが印象的でこの人を覚えたんだ。
それぞれの心の中を色で表しているみたい。北出身のマコちゃん=ひまわりといった構図が浮かぶ。
関わりあうことのひっかかり具合、その中でも幸せな部分を歌っている曲だ。
それ以上に暗い気持ちを吹き飛ばしてくれたのが「HAPPY LUCKY SUNNY DAY」だ。
浮き沈む女の子の気持ちもちょっとしたことで弾む。3−2を軽快に弾きこなす逞しさがいい。
今日欲しかったのはまさにこんな曲。だって悲しかったんだもん。ちょっとしたことで沈むね。
でもそうだそうだ。持ち直すのもちょっとしたことでいいんだよ。
首回りが開いた黒いロングドレスが長身に似合ってきれいですよー。マコちゃん。
気迫を感じたのはやはりこの歌「嘘をつく日々になれないで」
ここまでも、言葉に合わせて演奏のテンポを変える演出に気持ちの入り込みを感じていたんだけど、
アルペジオが始まった瞬間に1年半でこんなに安定したピッキングが出来る事にもはっとしたが、
搾り出す様に歌う声が前に迫って来た。「あなたの隣で ただの女でいたいの」
普段姉御肌的キャラクターのこの人がこんなに赤裸々に歌うと返って実に女っぽい。
声の表情とギター1本の力を気力が後押しする。かといって溺れてはいない。
実にバランスが良い熱情ぶりだった。お誕生日おめでとう。

次に続く方々の演奏が、私にとってはこの日のアタリだったようだ。
ワタナベさんはスリクォとの対バンで同じくここターニングで見た事が有ったけど、
紹介されているのはドラムのしげぞさん。
ドラムの人が演奏を仕切る・・・???
パーカスと歌なのか?と思いきや、こじんまりとはしつつもフルセット揃っている。
そのギターがめちゃめちゃ上手い。
単なるカッティングだけではなくて微細なアクセントやアップダウン・和音のテクニック。
しかもギター以外の音がする!???幼少時エレクトーンを習っていたので同じ音だと分かったんだけど・・・
あの、足鍵盤を今持ってる人は珍しいんじゃないの?しかもドラムの人がだよ?
確かにドラムは両手両足のバランスで作り上げる楽器だから
4つのパートに別々の運動をさせる事が出来るんだろうけど、こりゃー一朝一夕で出来ることじゃないだろう。
この人、職人。恐るべき宅録派なんじゃないの?すげーなー。
そんなバックの巧みさとワタナベ氏ののびのびした太い声質の歌が魅了した。
ボーカリストたるもの、声だけで充分楽器なんだな。
更に驚きはYMOメドレー。HPで予告していたという前フリで期待させるが一体何を?
と、まあドラマティックな「ライディーン」ですか。
この曲に歌詩を載せてくるとはねえ。男の人が歌うのは聴いた事無いよ。
これは私もコピーしたんだなあ昔。しげぞさんのアレンジが実に原曲に忠実なんだ!特にベース。
キーボードでコピるだけでもかなり難しい、1フレーズ毎に変わる和音。
しかも足ベースだもんねえ。リズムボックスに合わせてだから間違ったらやり直しも効かない。
それが微塵もつまづかず、引き続き「テクノポリス」かよー。うひゃー。
歌詩は英語だからはっきり分かんないんだけど、相手が居てその人への気持ちを歌っているものの様だ。
若干エロティックなのかもしれない。(良く分からないけどそんな気が・・・)
ギター1本でこの和音出すのは相当原曲聴いて無いとアレンジ出来ないだろうなあ。
この人打ち込みも出来るのかなあ〜。あー。恐ろしい(笑)静かな興奮でゾクゾクしました。
でもって「中国女」よ。吉田美奈子・矢野顕子といった、この曲に詩を付けた
歴代女性ボーカリストの声がオーバーラップする。
いやあ〜、こんなにムーディな曲になるとはねー。
ふと見るとトクロウさんがドリンクカウンターで見入っていた。そりゃそうだろうなあ。
その後に続く歌はワタナベさんの声に似合うファンキーな曲。ワイルドに飛ばしてくれる。
今迄の出演者の方々とはまた違った雰囲気だ。アコでこんなスピード感を出せる人は少ないかもしれない。
更に最後はバラードで歌い上げる「ひまわり」。この曲は良かったなあ。
自分がこうなりたいと目指すものが有って、と同時にあなたが側に居てほしいという歌。
この人には声からして恋愛の歌が似合うんだけど、その内容が、表層のときめきよりはもっと奥深い、
魂の結びつきを求める様なアプローチなのが好きだな。
「2人で大きな花になろう」という様な締めくくりなんだけど、
マイナーとメジャーを行ったり来たりするスローバラードが染みたね。
大きな声では言えないんだけど、歌詩がはっきり分かる分だけバンドよりも良いなあと思っちゃった。

トリを飾りますは、枕本トクロウトリオ。PLUGで1度見たきりですが、大変に癒される音質。
トリオを始めてからのトクロウさん、めっきりリズム感が戻って来たのが嬉しい。
この人は太陽の塔の中でも1・2を争う勘の持ち主。でなければ「お察しください」みたいな曲は出てこない。
それでいて言葉にも長けている。和洋折衷、文武両道?そんな言葉が浮かんで来る人だ。
今更こんなことを言うのも何だけど、デビュー前から初期にかけての太陽の塔はこの人の色が強かった様だ。
色気の今富・男気の北山。激情の井垣・本能の石塚は今も健在。そしてバランスの中本。
バランスと言ってもこの人のバランスは、保つ為ではなくて崩していこうとする所にも力が入っている。
そんな彼に絡む2人の温厚そうなアーティスト順平さんとWANさん。難しいけど形になれば大変に面白い音楽。
まだまだトクロウさんの変幻ぶりに追いついていこうとする状態だけれど、
そんな「現場で出来上がる音」も楽しみなのである。今日はどんなファイティングを見せるのでしょうか。
激しいイントロにマコちゃんが「出たー出たー!」と言ってるのがおかしい。
そこへゆったりとしたチェロが重なり、ジャズスタイルに近いドラムが弾みをつける。ワクワクする。
「チャーリーブラウン」はソロでやる時は好きな時に好きな様に拍を取っていたが、
このスタイルではコードの展開がきっちりきっちり流れていくのが歯切れ良い。
ドラムのおかず(フィル)が入るだけでこんなに元気になるとは。
「プリーズフリーズ」のゆったりした世界。WANさんの手腕の見せ所だ。トクロウさんの穏やかな声が優しい。
ボーカリストとして、幾らでもこの人より上手く力強い人はいるだろうけど、
声の穏やかさと詩がマッチする瞬間を聴かせられるのはこの人の強味なのかもしれない。
「あなたが気にしてた ミルクを買わなけりゃ」というフレーズが好きだ。
エンディングの余韻をトクロウさんが仕切りつつ、次の曲にはチェロのスラー。
ああ。固唾を飲みました。遂にこの曲を聴く事になろうとは。
アンリミには何度もこういう思いをさせられて来た(笑)んだけど。
「雨宿りの木」ですね。ソロで聴いた時も有ったけど、ソロは別物として受け止められる。
アンサンブルで聴かされるのが1番胸に来るのだ。そして作った本人が歌うのだ。本来の姿を曲が取り戻す瞬間。
やはり弾んでるなあ。このリズム感だバンドで表現していたのは。ちっとも変わらないね。
トクロウさんの曲の中でも最も最速だと思っている。
実際のテンポということではなくて、地平線に沿って走る映像が浮かんで来るのだ。
これなんだなあ〜。取り戻したね。ゆったりするというよりは、流石にこの時だけは固まって聴いていた。
「曲を大事に育てる」のは、反響を返す客の力も大きいのかもしれないが、
やはりアーティストさん本人に主導権が有る。
好きだったり思い入れが有ったりする曲を様々な形で聴かせ続けてくれることは、
聴く立場にとっての喜びであり幸せだと再確認する。
そして過去に置き去りだった時間が再度現在になり、後押ししてくれる。今日聴けて良かったなあ。
こんなコンディションだったから尚更助けられた。これも様々な今日の演者さん達の力だね。タイミングだもの。
「慣れてきた」はダイナミックさを更に増している。とにかく全体にシャッフルだ。
順平さんがストイックに曲を支援する。若干のタイミングのずれは気にせず。慣れていってほしいものです。
「明日は君の手の中に」何度も歌詩を変えて作られた非常に意味深い曲だが、
「今までしてきた事が今後のあなたの役に立てるのか」という問い掛けを自分に課す姿勢は
歌い手として珍しいと思う。
聴く人の先々を見守り続け更に自分も試されていこうという心象は、真摯な思いに満ちている気がする。
アンコールは勿論「ローズマリー」だったけど、大変に嬉しそうだ。若干かからない不安が有った?
「誕生日を祝うメンタリティは無いけど今日は許す」、って!
これにはちょっと笑ったけどトリオの音は最高にほぐしてくれた。

ライブ後、マコちゃんが皆と談笑。「今日は気合い入ってたねー」「だってリハから皆なすごいんだもの!」
こういう謙虚な所が素敵ですよアナタは。呼んだ人の力の大きさも有ると思うよ。
時間が無くなり急ぎ帰る瞬間、緊張感からほどけた大将が軽く声を掛けてくれたので一瞬話す。
バンドと違って弾き語りは発声の方法が違うから、それだけが少し大変だったとのこと。
久々に実の有るお話が聞けた。やるべきことをきちんとイメージ出来ているのは流石だなあと思う。

それにしても、各アーティストさんそれぞれが全く違った個性で。
青い炎が揺れる様なバトルで本当に楽しめた良いライブだった。
あんみつはどこをとってもおいしかったですよ。あんこもフルーツも蜜もね。

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