Y:長い長い『番外編』を越えて、ようやく楽曲の世界に戻ってまいりました。
そんな記念すべき(?)第五回目のピエロ解体新書は『MAGNET HOLIC』でございます。
磁石なだけに、この曲は他の楽曲を引き寄せてしまってるらしいんですが...
その辺の話は後半戦でする事にいたしまして、まずは楽曲自体の印象を語っていこうと思います。
個人的にはライブでやってくれると嬉しい曲の一つで、例のキリト氏のパフォーマンスにみんな持っていかれそうな感がありますが(笑)、ドラムもすごく好きですし、聴いてると単純に楽しくなるような...そんな感じがします。
露雨さんは『MAGNET HOLIC』に対してどんな印象をお持ちですか?
L:私は曲を聴くと頭の中で色や映像を思い浮かべる事が多いのですが、この曲で思い浮かぶ色は白とシルバーです。
これは曲全体としての印象です。
歌詞から受ける印象は、ドラえもんとかで出てくるような透明の管のような道路が入り組んでいて、その脇に巨大なテレビ画面のようなものがあって、メタリックな外見の超高層ビルが立ち並ぶ……というような、近未来チックな感じがしました。
すごく明るい曲なので、正直な事を言うと最初聴いた時はなかなか馴染めなかったんですよね(苦笑)
今は大好きな曲の一つになってますが。
Y:随分明確な映像が浮かんでいるんですね、驚きました...。
僕にはこの詩に対して映像らしきものはほとんど見えてこないんですよ。
唯一見えているのはモニターと主人公の『意識体』ぐらいです。
僕の歌詞から受ける印象は、曲調のそれとは全然違っていて、すっごく閉鎖的な、現実には存在してない出来事への妄想...もしくは、本人が意識していない時(もしくは意識的)に、『ある決まった行動』をする事によってのみ発生する『感情』...。
その行動とは...モニターのスイッチを入れる事。
それがテレビなのかパソコンなのか携帯電話なのか...その辺は分からないんですが、スイッチを入れ、歌詞にも登場する『プラスとマイナスの配列』が変化する度に、主人公のみが知り得る特別な『映像』がそこには映し出されるのではないかと...。

以前、『VIRTUAL AGE』の対談の際、僕はこの曲の名前を出したのですが、その理由は上記で言った主人公の『感情』と観ている『映像』が、とても近いものではないかと考えたからなんです。
ただ、『VIRTUAL AGE』の主人公は、当時の僕の勝手な妄想で快楽殺人者あつかいですが(苦笑)、『MAGNET HOLIC』の主人公に対してはそんなぶっそうな見解は持っていません。
“HOLIC”っという言葉に騙されそうになるのですが、観ている映像がどんなものだったとしても、何かもっとこう...上手い言葉が見つからないのですが、感情としてはとても純粋なもの...なんではないかと思っています。
L:そういう意味だったわけですね。
『VIRTUAL AGE』の時、私はこの2曲は黒と白くらい印象が違うといいました。
今も曲を聴いて思い浮かべる色としては黒と白なのですが、ただあれ以降私の中で『MAGNET HOLIC』に対する考え方が若干変わったんですよ。
私はこの曲を聴いて、何故かずっと主人公がモニターの中にいてそこからモニターを見てるキミを見てるんだと思ってたんです。
でも、モニターの中の人が外の人を認識するなんてあり得ないですよね、普通。
――見えるはずないものを認識している主人公、見えているのに認識できないキミ――
そんな奇妙なすれ違いをこの曲に感じていたんですが、状況的に変だという事にやっと気付きまして、2人を逆にした上で別の考えも出してみたりしたんですけど……。
主人公の思いが現時点で一方的に見えるのと、相手との関わり方が間接的であるのが災いしてか、あまりいいイメージが浮かばないのです(苦笑)
Y:なるほど...。その話の続きを早く聞きたいところではありますが(笑)
僕もまだ自分の見解を詳しく話してないので、まずは僕の方の続きから言いたいと思います。
主人公はモニターに映し出された君の姿を見つけ、惹かれました。
想い焦がれる日々の中で、主人公は次第に『君と自分』とのつながりを求めるようになりました。
やがて、主人公は一つの答えをはじき出します。それは『前世』。
“こんなにも強く心が惹かれるのは、前世でもすぐそばで生きていたからだろう...今はまだ、君は自分の存在には気づいていない。でも再会すればきっと思い出すハズ...再会したあかつきには、お互いが知らない記憶を語り合おう...積もり積もった話を...”
モニターに映し出される映像を観ながら、主人公はこんな感情を抱いていたのではないかと。
話が前後してしまって申し訳ないんですが、『VIRTUAL AGE』対談時に、“より確かな言葉を使ってMAGNET HOLICに移行している”っと言ったのは、映像を観ている時の主人公の感情...『VIRTUAL AGE』では語られなかった主人公の内情が、似たような世界観を持つと(僕には)思われるこの曲で明かされた気がしたからなのです。
―愛情から発生した主人公の一方的な、病的とも言える妄想―
これが僕の『MAGNET HOLIC』の見解、でした...。
先ほど露雨さんが“考え方が若干変わってきた”と話していてびっくりしたのですが、実は、僕もある事をきっかけに変えざるえない状況になったんです。
“感情としてはとても純粋なもの”と前に言いましたが、当初は主人公に対してこのような肯定的な印象はありませんでした、一切。
L:私は闇人さんとは逆に、前の方がこの主人公に対して肯定的だったかもしれません。
だからと言って、今は否定的なのかというとまたそれも違うのですが……。

キリト氏のアルバム『FINALE』についてのインタビューかラジレポだかを前に読んだ時、このアルバムの曲に出てくるそれぞれの主人公は繋がりがあるんだと、キリト氏がハッキリとそう言ってたかどうかは覚えていませんが、私はそう思ったんですよね。
生まれ変わりによる直接な繋がり、または別次元での同一存在としての繋がりなど、それは曲によって様々なのではと思いますが、『MAGNET HOLIC』の主人公には明確に千年前の過去、つまり『前世』にあたる直接な繋がりとして『ラストレター』があるのではないかと思ったんです。
“あの時代よりいくらか出来ることが増えている”
この歌詞から千年前は制限があったのかと考えて、そうすると『ラストレター』の世界が浮かんできたんです。
あの時代は出来ることというか、出来なくてもやらなければいけないことが決まっていた時代で、いくつもの選択肢がない時だったと思うんですよね。
そんな時代に別れてしまった2人が、千年先の未来で出会う始まりの曲。
だから曲のイメージも白というのがあったんだろうと自分では思っています。

ただ、あくまでコレは『前世』を重視した場合はの見解で、『現在』を重視した場合はまた別の見解、実は闇人さんの見解とわりと近い考えが浮かんでるんで すけど。
Y:僕は一曲目が一番古くて、二曲目三曲目と順に新しい時代になるのだとばかり考えていたので、対談前に露雨さんからその話を聞いた時、なんで『ラストレター』なんだろう?って思ってました。
確かに千年先が『MAGNET HOLIC』であるなら、時間の問題は解決しますよね...うん。
露雨さんが『FINALE』の話をしてくれて良かったです。
この曲は壮大なコンセプトアルバムに収録されているのですから、他の曲も当然無視は出来ないわけで...。
“その見解を軸とするなら、MAGNET HOLICの先は一体何の曲になるんだ!?”とか考え出したら止まらなくなってしまいましたよ...(笑)
アルバム『FINALE』の解体もしたいですねえ〜並べ替えてみたい!(出ましたいつもの病気)
『クリア・スカイ』のプロモでは太平洋戦争が始まった『1941年』っというキーワードが出てきます。
時代背景としては『ラストレター』とかぶりますし、気なるところです。

あと、ここからは余談として聞いて欲しいんですが、僕の友人の知り合いに当時2〜3才になる息子を持つお母さんがいて、自分の子供からこんな話を聞いたそうです。
『僕がまだ生まれる前に“自分のお母さんになる人をこのテレビに映ってる人の中から選びなさい”って言われたの。お母さんを選んだのは、いつも泣いてばかりいたから僕がそばにいてあげようと思ったんだ。』
そのお母さんは子供が急にそんな事を言い出してとても驚いたらしいのですが、確かに子供を産むまでの自分はいつもイライラして、泣いたりする事も多かったと思い出したそうです。
今から3年程前の話なのでうる憶えなんですが、僕はこの話を聞いた瞬間『それはMAGNET HOLICだ!』っと思ってしまいました。
それまで子供が親を選んで生まれてくるって話は聞いた事があったんですが、まさかそんなに詳しく憶えている子供がいるなんて...当時すっごいショックを受けました。

実はこの重大な証言をずっと忘れてたんですよ。
この対談を始めてから思い出してしまったわけで...(苦笑)
生命の誕生に関する事をけして汚してはいけないと思うと、単に一方的な妄想だとは言い切れず...
この事がきっかけで、自分の見解に大いなる矛盾を抱えている事と相成りました(苦笑)
L:『FINALE』の曲順は『ラストレター』と『MAGNET HOLIC』の繋がりしか考えてなくて、他の曲との繋がりに関しては全然なんですけど。
ただ、私はこの2曲の繋がりがあったとしても、主人公とキミの繋がりが過去と重なるものなのかどうか疑問に思ってきたところもあるんですけどね。
『キミ』という存在が生身の人間なのかどうか怪しく思えてきてしまったんで。

『FINALE』の曲全体の考察はやってみる価値あり、と思います。
だがしかし、それは『FINALE』だけに収まるのか?
ここから派生していると思われる曲もある気がしますし、それまで深追いしはじめるとなると……終われますかね(苦笑)

それにしても、前世の記憶を持つ子供の話はよく耳にしますが、自分が親を選んだなんて言う子の話は初めて聞きました。
もし、本当にそういう事実があるのだとしたら、いろんな意味でショックですね。
まぁ、幼い子供は夢と現実を混同するのがよくある事らしいので、その可能性がないとも言い切れませんが。
……個人的にはそう思いたいです。
Y:生身の人間ではないかもと...う〜ん今回は露雨さん勿体ぶりますね(苦笑)
でも『MAGNET HOLIC』解体ですからね、今回。でもでも...続きが聞きたい(涙)
ピエロの楽曲はアルバムを越えて繋がっている可能性大なので、『FINALE』だけじゃ納まり切らないでしょうね。
なので...今度お会いした時に『朝まで討論』しましょうか(笑)
子供の件ですが、僕は例えば“神がどうこう”言われるよりは、自分の子供に選ばれたいなと思いました...はい。

そろそろ終わりに向かいたいのですが。
今回の見解は多々矛盾を抱えつつも、もともと前世&輪廻転生推進派なんで、現時点での『MAGNET HOLIC』の主人公の想いがたとえ妄想であっても、この先はどうなるか解らないと...本当のトコは思っております実は(笑)
L:勿体ぶるというか、あまり話したくなくなってきたというか……。
色々と考えていたら、その結果少し妄想が行き過ぎたかなぁと反省していたり(苦笑)
なので、ここで打ち切りと言う事で……。
ただ、私もどちらかと言うと前世とか輪廻転生は信じてるほうなので、この曲の2人の繋がりが本物だったらいいなとは思っています。

『朝まで討論』については、機会があればやってみたいですね。
かなり頭のイタイ事態になりそうですが(笑)
Y:そうですか...ではまた別の機会にお聞き出来たらって事で(笑)
え〜、今回は言いたい事がいっぱいあり過ぎて...
『何から伝えれば良いのか』状態でした(笑)
しかし...こんな事はピエ解において滅多になりません!有り得ません!!
なので充分に楽しませていただきました。露雨さんありがとうございました。
L:私もいつも以上に考えがまとまりきってないからか、思っている事を全部言おうとするとものすごく長くなってしまって困ってました。
そのためブツ切り、その挙げ句打ち切りというような形にしてしまってすみません(苦笑)
なんか、今回は個人的には消化不良な感じがします。
自業自得なんですが(笑)
では、また次回という事で。ありがとうございました。

【20030417】