本名はアラン・スチュアート・コグニスバーグ。
1935年12月1日日曜日、ニューヨークブロンクス生まれブルックリン育ち。

■はじめに

ウディ・アレンの映画の舞台はほとんどが都市である。
というよりニューヨークである。

大都会の便利さの中でしか生きていけない中年が主人公というものが多いのである。ドストエフスキーの『白夜』を思わせる設定だ。彼の映画には様々な俳優や女優が出演するが、やはり本人が主演の作品が一番面白い。『Bullets Over the Broadway (邦題忘れた)』など本人が出ていなくても面白いという例外はあるが。


■性格

作品を通して見るウディ・アレンは都会生まれの都会育ち、小さい頃から映画が大好きで、妻とはいつも小さなトラブルが絶えず、また仕事にも悩みがあり、精神科医から離れられないが、教養のある中年である。『スターダストメモリー』で自作自演をしたからといって映画の中の登場人物が自分にそっくりでなきゃならない理由はないといっていたが、全く異なる人物というわけでもないだろう。
特に映画が大好き、という部分は彼のほぼ全作品から読み取ることができる。
グルーチョ好き好き 例えば『アニーホール』以降の作品にはベルイマンの影響というか模倣(本人も認めている)が見られるし、『スターダストメモリー』はフェリーニへのオマージュのようだし、『カイロの紫のバラ』はよくバスター・キートンの『探偵学入門』を意識したのではないかといわれている。これは映画そのものへのオマージュであると思うが。
『ボギー!俺も男だ』ではいたるところに『カサブランカ』への愛情が表れている。映画好きな人はこういうのがタマラナイということが多いが、そろそろウディ・アレンも自身がオマージュの対象になってもいい頃だと思う。が、ウディ・アレンはなかなかフォロワーが生まれない監督でもあり、世代交代という言葉とはまだまだ縁がなさそうであるというのが実状である。


■後継者

先に述べたようにフォロワーがいないというのも彼の特徴の一つであるといえる。原因はおそらく、彼のハリウッド嫌いと彼自身が多才であるということであろう。これは推測だが、彼の作風を継いでいきたいと思った人がいても、ハリウッドと違ってウディ・アレンはいつも同じスタッフで仕事をするから学べないのではないだろうか。
さらに彼はモトモトがコメディライターであり、さらにはコメディアンになり、映画監督になった。
これらの豊富な経験から生み出される彼の作品は、独自の作風を持っている。また、其の作品になれている彼のファンは多少似ている作品があっても、ポスト・ウディ・アレンにはなれない、彼の足元にも及ばない、と思ってしまうのではないだろうか。たとえそれがかなったとしても、彼のように一定以上のレベルの作品を、毎年必ず作り上げるというところまでは真似できないだろう。


■出演俳優

出演俳優もちょっと癖がある人ばかりがそろっている。ダイアン・キートン、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト、ジュディ・デイビスなどが常連である。其の殆どは個人的にも交友があるようで、特にダイアン・キートンとの友情は有名だ。ミア・ファローとは結婚していたのかな?2人のダイアン、そして名前は忘れたが『誘惑のアフロディーテ』の人はアカデミー賞もとっていることから女優の使い方がうまいということもいえるだろう。


■アカデミー賞

アカデミー賞といえばウディ・アレンはアカデミー賞が嫌いだ。
『アニー・ホール』で作品賞をとったときにニューヨークのパブで趣味のクラリネットを披露していたというのは有名な話だ。

映画は賞をとるために作るものではないというのが彼の主張で賞自体を否定しているのだが、なぜかノミネートの数は多く、脚本賞や助演女優賞など、その数は30を超えている。特に脚本賞は90年代に入ってからほぼ毎年ノミネートを受けた。見事受賞したのもいくつかあるが、彼がアカデミー賞会場に姿をあらわしたことは未だかつて一度もない。


マンハッタン ■音楽

先ほど少し触れたように彼は自身クラリネットを人前で演奏するほどジャズが好きだ。それもかなりうまいらしく、毎週月曜日にはニューヨークのパブで演奏しているという。いつか生で見たい。
彼の作品のなかでもジャズはふんだんに使われており、雰囲気作りの重要なファクターとなっている。
ジャズはジャズでも彼が好きなのは10〜20年代のものらしい。サントラが毎回素敵。



■テーマ

ウディ・アレンの作品のテーマはさまざまで、「夫婦の危機」「憂鬱」などがあるが、つまるところ「関係」の映画という事ができるだろう。今の時代に自らを確立させた独身の人間がロマンスを持つということの難しさ、そしてそういう人間同士の「関係」の映画である。『アニー・ホール』の冒頭では、主人公アルビーに扮するウディ・アレンがグルーチョ・マルクスのものとして1つのジョークを紹介する。

  「私みたいなヤツを会員にするようなクラブには、絶対に入りたいとは思わない」

ウディ・アレン扮するアルビーは、このジョークが「大人になってからの僕の人生における女性関係の鍵となるジョーク」なのだと説明する。このジョークはウディ・アレンの映画そのものといってもいい。「私みたいなヤツ」を相手にする人々との「関係」をテーマとしているのだ。

冒頭で述べた「白夜」と重なるというのは、主人公が都会でしか生きられないという点。
猪鬟の主人公は自然の力に圧倒されてしまうので都会でしか生きることができないといっているが、彼の作品の主人公にも似たような傾向がある。


ボギー、俺も男だ ■前期の作品

彼の作品群は前・後期に分けることができる。といってもその分かれ目は明確ではないが、前期と中期の境が『アニーホール』中期と後期の境が『マンハッタン殺人ミステリー』だと思っている。もっともこれは私が勝手に区切っただけなので、反論のある人もいるかもしれないが。
前期の作品の特徴としてはくだらない笑いが多いということが挙げられる。私は大好きだが、多くのウディ・アレンのファンは嫌いなようだ。
代表的な作品は『泥棒野郎』や『スリーパー』。まだこの辺の作品はコメディアン色が強く、テロップの形なども確立されていない。私と笑うところが近い人は十分笑えるだろう。


アニー・ホール ■中期の作品

『アニーホール』以降、『マンハッタン殺人ミステリー』以前の作品がここに分類される。バカな笑いは少しお休みし、作家としての面が強く表れだした頃ということができるでしょうか。テロップの形が普遍のものになったのもこの頃からである。
『アニーホール』で成功したウディはその後様々な作風に挑戦していった。それ故外れた作品が多いのも事実だが、これらの挑戦により彼の作風は広がり、徐々にいい作品が増えていったと思う。メタファーが多いのも中期の特徴である。メタファー。暗喩のことである。彼の作品ではよく出てくる。それがもっとも顕著な作品が『重罪と軽罪』であると思われる。どんなことをあらわすメタファーなのか。自分で見て考えてほしい。

中期の代表的な作品はやはり『アニーホール』。私のベストは『マンハッタン』。総じて中期の作品は前期の作品にはない重々しさがあるので、初めて見る人にはお勧めできない。興味があったらどうぞ。


■後期〜現在の作品

中期の作品群で試行錯誤していた彼は『マンハッタン殺人ミステリー』以降、何かが吹っ切れたかのように作風が軽くなり、本来の持ち味である笑いが軽妙とか洒脱といった形容詞が似合うものに変わってきた。使われる音楽にも幅がでてきて、バカなだけでもない、重いだけでもない、なんともいいがたい面白さを手に入れたという感じ。老いてますます盛んtがぴったりだ。 こんな絵しか見つからん
代表作は『ブロードウェイと銃弾』冒頭で思い出せなかったのはこれ。私のベストも同じく『ブロードウェイと銃弾』だが、『マンハッタン殺人ミステリー』も捨てがたい。この二本はある意味完成されたエンターテイメントであるといっても過言ではないだろう。初心者はここから入るべし。

筆者註:この項は『誘惑のアフロディーテ』あたりに書いたものですが、以降、既に6本も公開されているので前期とか中期とか、言葉的には全く当てはまりません。ごめんなさい。


■終わりに

なんか順番が適当な説明になってしまっが、私が彼の映画をいかに好きかということはわかったと思う。
興味の湧いた方は下記をご参考にぜひ見てみてください。


■監督作品

1. Take the Money and Run ('69)
 「泥棒野郎」

2. Banana ('71)  「ウディ・アレンのバナナ」

3. Everything You Always Wanted to Know About Sex
  (But Were Afraid to Ask) ('72)
 「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせに
   ちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」

4. Sleeper ('73)
 「スリーパー」

5. Love and Death ('75)
 「愛と死」

6. Annie Hall ('77)
 「アニー・ホール」

7. Interiors ('78)
 「インテリア」
8. Manhattan ('79)
 「マンハッタン」

9. Stardust Memories ('80)
 「スターダスト・メモリー」

10.A Midsummer Night's Sex Comedy ('82)
 「サマー・ナイト」

11.Zelig ('83)
 「カメレオンマン」

12.Broadway Danny Rose ('84)
 「ブロードウェイのダニー・ローズ」

13.The Purple Rose of Cairo ('85)
 「カイロの紫のバラ」

14. Hannah and Her Sisters ('86)
 「ハンナとその姉妹」

15. Radio Days ('87)
 「ラジオ・デイズ」

16. September ('87)
 「セプテンバー」

17. Another Woman ('88)
 「私の中のもうひとりの私」

18. New York Stories -Seg.3"Oedipus Wrecks" ('89)
 「ニューヨーク・ストーリー」(第三話「エディプス・コンプレックス」)

19. Crimes and Misdemeanors ('89)
 「ウディ・アレンの重罪と軽罪」

20. Alice ('90)
 「アリス」

21. Shadows and Fog ('92)
 「ウディ・アレンの影と霧」

22. Husbands and Wives ('92)
 「夫たち、妻たち」

23. Manhattan Murder Mystery ('93)
 「マンハッタン殺人ミステリー」

24. Bullets over Broadway ('94)
 「ブロードウェイと銃弾」

25. Mighty Aphrodite ('95)
 「誘惑のアフロディーテ」

26. Everyone Says I Love You ('96)
 「世界中がアイ・ラヴ・ユー」

27.Deconstucting Harry ('97)
 「地球は女で回ってる」

28.Celebrity ('98)
 「セレブリティ」

29.Sweet And Lowdown ('99)
 「ギター弾きの恋」

30.Small Time Croocks ('00)
 「おいしい生活」

■出演もしくは脚本作品

1.What's New, Pussycat? ('65)
 「何かいいことないか子猫チャン」

2.What's Up,Tiger Lily? ('66)
 「どうしたの、タイガー・リリー」

3.Casino Royale ('67)
 「007/カジノ・ロワイヤル」

4.Don't Drink the Water ('69)

5.Play It Again, Sam ('72)
 「ボギー!俺も男だ」

6.The Front('76)
 「ザ・フロント」

7.King Lear ('87)
 「ゴダールのリア王」

8.Scenes From a Mall ('91)
 「結婚記念日」

9.The Sunshine Boys ('95)
 「サンシャイン・ボーイズ」

10.Wild Man Blues ('97)
  「ワイルド・マン・ブルース」

11.ANTZ('98)
  「アンツ」



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