全文章 柳家 松乃介
 
 
ACT V
 
海辺を走る確率
 
 
 「君はいつもそう言う事を言うな、何が解っているんだい?」
 「ええ、解ってるわ、マイク・・貴方こそ仕事はどうしたの?」
 「辞めたと、この間月が昇る前に言ったじゃないか、しっかりしてくれよ、キャス。」
 「ええ・・そうね。」
 「これで映画スターでもカウボーイもやり放題だ、素敵だろ?」
 「ええ・・そうね。」
 平行に続くベットの上での無抑揚の話し声、
 影が差す・・薄明かりだからか薄い影がタイルを滑る、
 丁度二人の間に居る子供の寝息が均等になると二人は同時に溜息を付いてから、
 そこをそっと離れた、
 マイクはリビングに移動する、
 蓋を捻り、
 水をコップに注ぎ飲み干していく、
 喉にそれを流す際目を泳がせるのは落ち着きが無いのか、
 只の気味の悪い癖なのか・・良く解らない、
 それがキャスとの倦怠の要因かは計る術が無いし、
 多分違うだろう・・。
 キャスはと言うと同じ場所だった、
 只喉に流すそれは水と違うだけでリキュールの匂いのする液体だった、
 カンを持ち上げる際には邪魔な横髪を耳に掛けてからする、
 中途半端に長いのか短いのかと言う髪型で、
 訝しげな顔をして勢い良く角度を上げて傾けていく・・。
 
 夜はその間だった。
 
 レバーを引く、
 めまぐるしく早く回るそれを凝視しているのか、
 それとも只目線の先にそれが偶々ぐるぐると回っているのかもしれない、
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 真ん中のボタンを押す、
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 7
 BAR
 林檎
 
 「出会った頃の貴方は文学少年だった、いつも小難しい本を見ていたのは・・覚えているわ。」
 「いつから痴呆症になったんだい?それとも昨日寝た男の話かい?悪いが人違いだよ。」
 「違わない、もし私が違っていたなら貴方の役柄だったのかしら?」
 「・・・・・・。」
 広めのリビング、
 ソファに向かい合って座る二人はどことなく仕草が似ていたし、
 何となくだが同じ事を言っている様に見えた。
 マイクは自慢の愛車の鍵をじゃらじゃらと弄くっていた、
 革のキーホルダーが捲れていた、
 新聞も読まずに二人の間のテーブルに置かれたままだった。
 それを遠いのに目で追う、
 キャスは目が良い、
 手に取って読まずにその文字を追っていく、
 もう五回も読んでいた、
 キャスにとっては見飽きた記事だ。
 
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 「又パパの勝ちだね、つまんない。」
 「ははっ、経験の差さ。」
 「手加減してあげなさいよ、ねえケリィ。」
 「・・・・・・。」
 片手にはカード、
 カーテンは開けられたままで、
 丁度良い日の光で家を照らす。
 ケリィはお人形とカードとで遊びに忙しい、
 広いテーブルの上はお気に入りのオモチャだらけ。
 ラジオに耳を傾けて、カードゲームの結果に浮かれるマイクはそれを意味も無く手に取っていた。
 空きの無いテーブルの隅、
 積み木の横に置いてあるコーヒーカップを片付けようと立ち上がる、
 面倒そうな顔付きでついでにマイクのそれも手に取った、
 キャスは飲み足りないのか自分だけ継ぎ足していた。
 
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 「あら、今日は何処に行くの?」
 「ちょっと・・ね、昼には帰って来るよ。」
 「そう、行ってらっしゃい。」
 軽く抱擁した後、
 ばたっとドアを強く引き閉めた。
 
 
 自動ドアが開いたのに暫く立ち尽くしていた、
 派手なライトと乗り気なジャズで徐々にマイクの期待感を煽る、
 席に着く、
 じゃらじゃらとコインがすれる音が辺りに響く、
 横の席ではのんびりと老人がボタンを押している、
 マイクの顔が少しにやけた。
 
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 「ケリィのパパ、恰好良いね。」
 「でしょう、私のパパもママも恰好良いの。」
 子供達がこっそり後ろを見るのに軽く手を上げてマイクとキャスは応える。
 黒板には作文と内容、
 てんで駄目で意味の解らない文、
 年の割にはきっちりと書かれた文、
 様々だ。
 マイクは最近付け始めた新しい時計で、
 何度もそれをちらっと見ていた、
 前に時計があるのにそうしているのは、
 そんなに腕時計が好きなのか、
 前の時計が見えないのかは解らない。
 横で顔を傾けて耳打ちをする、
 何で時間気にしているの?
 と、
 キャスの方は教室を見回したりと他の者と同じ。
 「時間だ、行って来る。」
 「行って来る?何処に?」
 「ちょっと・・夕方には帰って来るよ。」
 言い終わると余程急ぐのか教室を駆け出した。
 
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 レバーを・・引かない、
 それは動きはしない、
 只じっとコインを待っている、
 左のボタンを押さない、
 真ん中のボタンも押さない、
 右のボタンも押さない、
 動かないまま・・示すのは、
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 「キャス、今から食事に行かないか?ケリィも一緒に・・。」
 「え?もう食事の支度してたのに。」
 「もう良いよ、今日はホテルに泊まって旅行に行こう、準備は要らない、行く先で買えば良いから。」
 「・・・・・・。」
 「それに服も買ってやる、ケリィの欲しがってたゲームだって買ってやる、行かないか?」
 「・・ケリィ、降りてらっしゃい。」
 ケリィが暫くして降りて来る、
 もう御飯が出来たのかな、
 元気に階段を3段程飛び降りて。
 電気を消して、
 リビングの火を止めて、
 ケリィの部屋のドアは開いたままで、
 鍵を閉めて、
 エンジンを付けたままの愛車に乗る際、
 二人が顔を合わせた。
 「さあ、行くぞ。」
 「ええ。」
 ばたんっ。
 
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 E
 N
 D
 
 
 
 後書き
 
 さっぱり解らない話ナンバーワンです。(笑)
 映画的な表現を目指しました。
 いつもとは違う書き方です。
 只、無意味に長いです、演出の一環です。(謎)
 でわ、この辺で・・。
 
 
 
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