かいたひと 柳家 松乃介
 
 
兆す哀しみ
 
 
 厚い壁に塞がれて見えないのに、皆見える振りして笑ってる。
 自分もそう・・だってそうしないと要けないって昔教えられた。
 泣きも笑いもせず只じっと待てば良い。
 そうすれば呆れて誰も目を向けなくなる。
 忘れよう、全部忘れよう。
 何も考えなければ次第に忘れて行く筈だから。
 帰りたい、狭い壁の中時折聞こえる嗚咽の中で。
 その内この壁が開けるなんて思いもしないから。
 だから捨てて欲しい。
 一つづつ、確実に消えていく方が良い。
 判り切ってる結末、最初から知っている。
 体に穴が開けば良い。
 其処にものを詰めて必死に穴を隠そうとする自分が浮かぶ。
 いつか昔に在った事なのだろうか。
 良く見れば穴が開いているかも知れない。
 探してみると穴が開いていない方が可笑しい程にあるから。
 一人芝居何かしていないから・・と言い張ってみよう。
 きっと皆頷く。
 もう構っても貰えない。
 役に立たないものには当然過ぎるよね。
 もしこの話を聞いてるなら、笑って欲しい。
 本当にこれだけだから、何もないから。
 ねえ、聞いてるの?
 
 
 
 あとがき
 
 先ず・・潜在的な人の心理を誇張して描いた作品です。
 健気に他人の気を引こうと色々して、それでいて自虐的な主人公に書いてて哀しくなります。
 こんな感じです。
 
 
 
 文章一覧に戻る