この話は空っぽです。
かいたひと 柳家 松乃介
空っぽ
例えば、花瓶。
花の生けていない花瓶に水が沢山。
これではお洒落なバケツになってしまう。
灰皿もそう、灰が無ければ意味も無く窪んだ小物入れ。
鉛筆の入ってない筆箱。
誰も座らない公園のベンチ。
木目の無い切り株。
哀しみの無い物語。
赤くない夕暮れ。
在る物が無ければそれはそれの意味を失う。
道端に、街に、左の角を曲がった所の交差点に溢れてる。
でも、何故だか・・。
普段ならそこに或る筈の物が無いと、違和感や不安感を感じます。
つくづく、感じますよね、こう言う時。
ここには当たり前が陳列してるって事を。
それが要らない物と感じる事も多いでしょう。
それが面白いと感じられたら・・まあ、それはそれで良いんでしょうけど。
・・そう、良く考えてみたらそんな物、当然なのかも知れません。
気付かないだけで、道端に街に右の角を曲がった所の交差点に。
偶々そうなのか、そう造られたのか、
どっちにしろこの世界を彩る演出・・なのかも判りませんね。
もしそうだとしても、こんな間抜けな話、在りませんよね。
あとがき
今回のテーマは『2つ、或いは複数の中の1つ』です。
1ピース抜けたパズルとか、答えの無い質問、
世の中には一つ抜けたらそれで無くなってしまうものだらけの様です。
でもその抜けた何かの無いそれ、って言うのも味がある気がしますです。
私の作品は大抵地味ですが、ここまでシュール・リアリズムな作品になるとは・・です。
こんな感じです。