◇◆永遠・・◆◇
机の上の手紙を見続けて、もう何時間この状態でいるのだろう?
昨日の晩から書き始めた手紙、やっと書き終わった時には朝日がのぼっていた。
それから何時間・・・
薬のビンを手にした時に、携帯電話が鳴った。
着信 ”剛”
何がそうさせたか、わからないけど無性に気になって俺は車の中からに電話した。
「もしもし、俺」
「どうしたの?こんな時間に。」
「昨日病院に行くって言ってたろ。どうだった?」
「大丈夫!ただの風邪だって。薬もらって帰ってきた。」
「そうか〜なら良かった。あっ、今寝てた?」
「ううん。今ちょうど剛のこと考えてたんだぁ。色々とねっ。」
「色々って何だよっ!」
「色々って色々だよ。」
「まぁいいや。ちゃんと薬飲んで寝とけよ〜」
「はぁ〜い!」
「あれっ?今日は何だか聞き分けがいいなぁ(笑)」
「え〜いつもだよ。い・つ・も。」
「嘘つけっ!じゃ〜な。」
「うん。あっ、剛!」
「どうした?」
「いつもありがとねっ。私世界で1番剛のことが好きだよ。このこと忘れないでね。」
「・・・・」
「じゃぁね。」
いつもより聞き分けがいい。まして最後のあの言葉。
俺は、何か心の奥でひっかかるものを持ったまま家路についた。
しばらく、ベットに横になってはみるものの、さっきのの言葉が気になって眠れない。
胸騒ぎがした俺は車での家へと急いだ。
合鍵で部屋に入った俺はベットに寝ているを見て安心した。
・・・が、机の上にある手紙を見つけた。”剛へ”
ベットをもう1度よく見ると、足元に空の薬ビンが転がっていた。
「っ!!起きろよ!」
何度となく呼びかけてはみるが返事はない。息はかすかだがあるようだ。
騒然となった俺は、急いで救急車を呼び病院へとを運んだ。
「・・・・ん」
目がさめた私は、ここがどこなのかわからなかった。
気がついたのはここがどこかの病院であることと、横では剛が眠ってること。
「・・・剛」
「うん?・・・あっ気がついた?」
「・・・ここは?」
「病院。見つけたのが早かったから助かったって。」
「・・・・」
「何でこんなことしたんだよっ!!」
「あのまま死なせてくれたら良かったのに。」
言ったと同時に剛に頬を殴られた。
「何言ってるんだっ!お前の命ってそんなものなのか!」
あの剛が、目に涙を溜めている。
「・・・あの日病院で看護婦さんが話してるの聞いちゃったんだもん。」
「何を?」
「・・・私の命もって後1年なんだって。もうなおらないんだって!!それだったら、今死んでも一緒でしょ!!」
「俺がいるだろ。」
そう言って私を抱きしめてくれた。
「俺がいるだろ。一緒に病気と闘おう!いつまでも側についててやるから。俺が守ってみせるから!」
「・・・死にたくない!本当はもっと生きたい!いつまでも剛といたいの!」
泣きじゃくる私を剛はいつまでも抱きしめてくれた。
「がんばろ、2人で!これは、ナシ!」
一晩中悩んで書いた手紙を剛は目の前で破った。
「うん。」
=1年後=
コンサートリハの休憩時間に俺の携帯が鳴った。
「もしもし、○×病院ですが。森田さんですね?」
「はい。」
「さんが危篤状態です。すぐに来ていただけますか?」
「・・・」
電話を切った俺は、今の言葉がすぐに理解できなかった。
「剛!お前、真っ青だぞ。どうした?」
坂本くんが俺の状態に気がついてくれた。
「・・・が、が危篤状態だって。」
「何!?お前すぐ行けよ。こっちのことはいいから。おい!井ノ原〜タクシー呼んで!剛、行くぞ。出口までついてってやるから。」
「う、うん。」
「○×病院までお願いします。金はこれで。」
坂本くんが用意してくれた。
「剛、何かあったら連絡くれよな。じゃ。」
俺はタクシーの中で、手を合わせて祈った。
〜!死ぬなよ!〜
「っ!!」
病室に駆け込んだ俺は叫んだ。
「・・・ご、剛?し・ごと中じゃ・・」
「もう何も話さなくていいから!」
俺はの手を握りしめた。
「・・・剛、・・い、今までありがとう・・・」
そう言っては瞼を閉じた。その瞼からは一筋の涙が流れた。
「?・・・!!目をあけてくれよ!っ!!」
「ご臨終です。」
先生の言葉が病室に響いた。
「森田さん、これ。さんから預かってたんですけど。」
俺は、看護婦さんから手紙を手渡された。
病院の屋上で俺は手紙を読んだ。
”親愛なる剛へ
この手紙は破らずに読んでくれてるかな?(笑)あの日、悪魔にささやかれた私を剛は殴ってくれたよね。
一緒に生きようって言ってくれたよね。泣きじゃくる私を一晩抱きしめてくれたよね。うれしかった。
剛と一緒に過ごせて本当に楽しかった。
私、今なら死ぬのは怖くないよ。
いつまでも剛の心の中で生き続けられるから。
これからも私は、森田剛のファンだからね。
今度のコンサートは行けそうにないなぁ。
絶対成功させてね。天から見守っているからね。
たくさんの人たちに愛を与え続けて下さい。
たくさんの思い出ありがとう。そして、たくさんの愛をありがとう。
永遠に・・・さようなら
”
「・・・」
俺は泣いていた。
でもいつまでも泣いてちゃいけない。が望んでいるならば、笑って見送ってやろう。
空に誓い、俺は病院を出て仕事場へとむかった。