以前とある米軍基地内のマクドナルドでバイトをした事がありました。
お客さんはアメリカ人が殆どですからもちろんお店では英語を使うことが多かったのですが
仕事を続けている内にファーストフードのお店ではホテルで使うような尊敬語や難しい言いまわしをするより
むしろ簡潔で短い単語を使う言いまわしの方ががお客さんから喜ばれている事に気付きました。
簡単な英語の方が忙しいお店の中では重宝するのです!
ある日、「仕事で使っている英語って簡単でわかり易くて子供に英語を教えるのに
最適かもしれない」と思うようになりました。 だって子供はハンバーガーが大好きだし
お店屋さんごっこも大好きだもの。玩具屋に行くと必ずハンバーガーショップの玩具あるくらいだし。
当時小学6年生だった翔太の部屋に友達のやっくんとあっくんが遊びに来ていた時
試しにハンバーガー屋さんごっこをやらせてみました。 もちろん英語を使ってです。
そうしたらとても喜んで「次は俺が客をやる」「俺が店員をやる」と奪い合いになるほど夢中に
なりました。 彼らは「初めて『英語』を使ってある状況を体験した」事にとても満足していました。
英会話教室では歌を歌ったり童話を読んだりしますが本格的にお店がしているのと同じように
何かを体験させてくれたりはしませんでした。
最初、1つのハンバーガーを買う、ハンバーガーを渡す、お礼を言うくらいの3つのパターンで
喜んでいた翔太たちも段々物足りなくなってきたようです。
A or B  紅茶の時はレモンかミルクか、ナゲットの時はバーべQかマスタードか
ポテトやドリンクはラージかスモールか選択させてみたらお店やさんごっこに幅が出てきました。
とうとう普通の計算で物足りなくなったのでお得な「バリューセット」を売ることになりました。
計算は商品は全て1ドルにしましたが5品買うと5ドルでなく4ドル75セントになる設定にしました。
計算が複雑になり注文する方も揃える方も複雑になってきた。
そして最後に 「What kind of 〜」を覚えさせました。
彼らは「What kind of 〜」がどんな単語の集まりでどういう意味なのか文法的に把握していなかった
のですが とにかく「ホヮット カインド オブ」の後に選びたいものをくっつけると「選択する事が出来るのだな」という事だけ理解しました。 「What kind of sports, what kind of subject, what kind of movie.....」
いろいろな選択に使えるのだな、という事を理解しただけでもめっけものです。
お店屋さんごっこの場合は「What kind of toy」(お子様セットのおもちゃ)「What kind of drink」(バリューセットの飲み物)を選択させる事にしました。
こういう遊びを何度か繰り返していたある日新聞のかたすみに小さな記事を見つけました。
それにはこういう事が書いてあったんです。

    「川崎市の公立小学校でお母さんたちが総合学習で英語を教えるプロジェクトを
     作った。近くのアメリカ人を呼んで いろいろな体験的英会話を教えている」

というものでした。
写真を見て「あっ」と思いました。 子供がマクドナルドの帽子を被り外人の先生相手に
ハンバーガーを販売している風景でした。
「これならやってるじゃん。」と思いやっくんとあっくんのお母さんに相談してみた所
「面白いじゃない、お手伝いするからやってみようよ」と協力を申し出てくれました。
折りしもその前年度から翔太の通う「T小学校」では「総合学習」の一環として
近所の住民によるボランティア授業が開始されたばかりでした。

おじいさんが戦争体験を話す、こまの廻し方を教える、おばあさんが昔話や古い歌を
聴かせる、何か特技を持っているボランティアが「学校だけでなく地域で子供を育む」
ことを目標として学校教育に参加できることになったのです。

私はさっそく翔太の担任の先生にこの記事を見せて言ってみました。
「私は英語の教員の資格も免許もないけど一応、お金をもらって英語でハンバーガーを
販売しているプロです。 こども達に「体験英会話、お店やさんごっこ」をさせても
いいでしょうか?」 T先生は「面白いですね。いつやってくれますか?」「何回やってくれますか?」
と積極的に計画を立ててくれました。

    きっかけ



    つづく





小学6年生向けマクドナルド授業の記録