Yuming Singles 1972-1976


荒井由実

01.ベルベット・イースター
02.あの日に帰りたい
03.12月の雨
04.何もきかないで
05.魔法の鏡
06.きっと言える
07.空と海の輝きに向けて
08.やさしさに包まれたなら
09.瞳を閉じて
10.ルージュの伝言
11.少しだけ片想い
12.返事はいらない
13.翳りゆく部屋
14.ひこうき雲

TOTAL TIME 48'12"

★87年、アルファ。
「荒井由実」の全シングル7枚、合計14曲を収めたコンピレーション。
★結婚を期に東芝へ移籍されてしまってから、まるで親のカタキのごとくユーミンの編集盤を次々と乱発したアルファだが、そんなわけでこのアルバムだけは選曲に妥当性がある。恣意的な曲順は気に入らないけどさ。
オリジナル・アルバム未収録曲の02と13は他のベスト盤でも聴くことができるが、シングル・バージョンの05、07、08、12はここにしか収められていない貴重な音源だった。
★発売順に解説。
72年のデビュー・シングル12「返事はいらない」とそのB面07「空と海の輝きにむけて」は、各種鍵盤の演奏はもとより編曲や指揮まで本人がこなしたという手作り感覚の作品で、プロデュースはムッシュかまやつ氏。
まだ試験飛行といった雰囲気が濃厚で、ビブラートのかかり具合と大仰なアレンジに注目したい。
★73年に1stアルバム「ひこうき雲」からのシングル・カット曲としてアルバムと同時に出たのが06「きっと言える」で、転調の多さは尋常ではない。B面は14「ひこうき雲」。これ、自殺したコについての歌なんだよな。
真のデビューはこの時からだろう。バックを勤めるキャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆)との出会いが成功への鍵だった。あきらかに資質の違うプロたちと共同作業することによって、ユーミンの楽曲はようやく幅広い語彙を身につけたと言えるのではないかな。
★3枚目が74年の08「やさしさに包まれたなら」と05「魔法の鏡」で、どちらも2ndアルバム「ミスリム」のテイクとは別。
かなりサウンドに普遍的なテイストが込められるようになってきた。私はスウィートなこっちのヴァージョンが好きだなあ。
★次がアルバム「ミスリム」と同時発売の03「12月の雨」。
山下達郎率いるシュガー・ベイブのコーラスを得て、(それまで内側を向いていた作風に加わった)後のきらびやかなイメージへの萌芽が見てとれる。
B面の09「瞳を閉じて」はナイーヴさに於いて彼女の最高傑作かもしれない。
★75年に初のヒット・シングルとなった10「ルージュの伝言」は完成度の高い和製ポップス。
歌詞の中で彼女は一度も「お風呂場の鏡に口紅で文字を書いた」とは言ってないのをご存知か。具体的に「鏡」という単語は出てこないよ。
B面は04「何もきかないで」。どちらも3rdアルバム「コバルト・アワー」に収録。
★続く02「あの日に帰りたい」はユーミンの人気を決定づけた曲で、深いのに理解しやすい歌詞と日本人離れしたボサノヴァ風のアレンジも秀逸。イントロのコード、しょっぱなが「Bbm9th」で次は「E7b13th」だぜ。そんな和音、それまで知らなかったよ私。女声ファルセットはハイ・ファイ・セットの山本潤子によるもの。
B面「少しだけ片想い」はアルバム「コバルト・アワー」からのカット。
★そして76年、13「翳りゆく部屋」が荒井由実最後のシングルに。パイプオルガンの荘厳な響きは一番低い音がラ、ソ、ファ#、ミと下降して進むオーソドックスな手法で、これが全体を非常に安定させる効果となっている。劇的なドラムスも腰の据わったバックがあってこそ。3小節目のDからB7(どちらもベース音はF#)への変化が絶妙。
B面が1stアルバムからの01「ベルベット・イースター」なのが昔も今も謎。名曲だけど。
★おすすめ度/80★最近、この時期のベスト盤が無事に東芝EMIから出たらしいのでこれは廃盤でしょう度/80★ユーミンのボーカルに山下達郎と大貫妙子と吉田美奈子のコーラスなんて今考えれば凄い曲もいくつかあったのだ度/80

2003/10/26