Let It Be... Naked


The Beatles

01.Get Back
02.Dig A Pony
03.For You Blue
04.The Long And Winding Road
05.Two Of Us
06.I've Got A Feeling
07.One After 909
08.Don't Let Me Down
09.I Me Mine
10.Across The Universe
11.Let It Be

Additional Disc - Fly On The Wall

TOTAL TIME 35'02"/21'56"

★03年、アップル。
70年5月にビートルズ最後のオリジナル・アルバムとして発表(主な録音は69年1月)された「レット・イット・ビー」が、本来のコンセプトだった「作為のない裸のロック」に戻って再お目見え(というふれこみ)。
演奏前後にいくつかインサートされていたセリフ類はカット、曲間も極めて短いです。
なお、国内盤は悪名高きCCCDにつき、もちろん私は輸入盤を買いました。
★曲目だけ見れば「マギー・メイ」と「ディグ・イット」がオミットされ「ドント・レット・ミー・ダウン」が加わっただけにも見えますが。
もちろん幻の「ゲット・バック・セッション」が遂に陽の目を見たわけではないのです(それならタイトルは「ゲット・バック」になるだろうし、「アイ・ミー・マイン」や「アクロス・ザ・ユニバース」は外されるよね)。
要するにこれは「レット・イット・ビー・リミックス」です。裸っぽく装っているだけで、全然ネイキッドではない。
デキの良いトラックだけをつぎはぎして作られた、極めて人工的なアルバムです。
特に収録曲のうち「アイヴ・ガッタ・フィーリング」や「レット・イット・ビー」は、複数のテイクを(コンピュータで)切り貼りしたものであることは間違いなし。
最もネイキッドに近い「アクロス〜」にしても、最後のリピート部分は付け足し加工のはず。
いや、別に編集がいけない、とは言いません。元のテープにろくなもんがないんだから、そのままの形で出せるはずないしね。
音質も素晴らしい。作品としてのクォリティーに文句はございません。
ただ、「ネイキッド」というタイトルは騙しだろ、と。
★本編が約35分と短い上に、20分そこそこのボーナス・ディスク(スタジオでの会話や細切れのリハーサル音源)も欲求不満を募らせるだけのもの。
「これが決定版だっ!」と言われてもねえ。「アンソロジー3」もあったし。
繰り返すけど、音は良い。ドラムスなんか最高。ロック・バンドとしてのノリは世界一でしょう。
当時のトレンドだったスワンプやゴスペルへの憧憬というかルーツ再確認というか、とりあえず「ゲット・バック」という宣言の狙いはこれでより明確になったかも。
今更ながら、ビリー・プレストンの貢献は非常に大きいですね。
マッカートニーがベースを弾いていない曲、やっぱり多いなあ。
★まあ、スペクターによる装飾過多なオリジナル盤(これはこれで寂寞感に満ちた優れモノ)とは全く別のアルバムです。
それぞれに時代的必然性はあった、ということ。
ただし、多くのファンにとってはどちらも不満の残る作品でしょう。
それが「レット・イット・ビー」というアルバムの魔力なんです。「アビイ・ロード」みたいな充足感がないもんね。
完全燃焼できないからこそ、繰り返し聴くしかないのです。
ちょっとあざといけど、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を最後に置いてしまえば、それなりの終結感は醸し出せたと思う。でも、そうはしないんだな。
それは要するに、これで終わりというわけじゃないぞ、という含み。アルバムもビートルズも。
すんなり「ジ・エンド」が彼ら最後の曲にならなかったところが、いつまでも巨大化しつつ一人歩きを続ける「ビートルズという名の怪物」の運命だったのです。
★おすすめ度/88★ネイキッ度/44★ハリスンはこのリイシューに納得していないような気がする度/88

2003/11/20