Can't Look Away


Trevor Rabin

01.I Can't Look Away
02.Something To Hold On To
03.Sorrow (Your Heart)
04.Cover Up
05.Promises
06.Etoile Noir
07.Eyes Of Love
08.I Didn't Think It Would Last
09.Hold On To Me
10.Sludge
11.I Miss You Now
12.Cape

TOTAL TIME 55'33"

★89年、エレクトラ。
トレヴァー・ラビン4枚目のソロ・アルバム。イエス加入後では初。
時期的にちょうどABWHの1stと同じ頃だったわけで、コアなファンが両極端なこの2枚のどちらを歓迎したかは言うまでもない。アンダーソンが意識的に同時期を狙ったのだろう。
その結果、イエス復活最大の功労者でありながら外様だ商業主義だというイメージはさらに強調されてしまったのである。
★全体のトーンはイエスのアルバム「ビッグ・ジェネレイター(87年)」を思わせるが、各曲調そのものはむしろ後の「トーク(94年)」に近い。
しかしながらイエスの音よりもはるかにアメリカ寄りであり、一種の産業ロックを目指したであろうことは明白、いわゆるプログレ色は薄い。
ラジオ映えするに違いない例のハードでリリカルなギターと爽快なコーラスが好きな向きには堪らないアルバム。
★プロデューサーはラビンとボブ・エズリン。ドラムス以外は全て本人の演奏によるもの。
01と04の作詞はスラップ・ハッピーのアンソニー・ムーア、ということが興味深い。一体どういう繋がりだろうか。
04及び11のドラムスはアラン・ホワイト。ただし、別のドラマーのプレイがオーバー・ダブされているためにホワイトである必要はさほど感じられない。
★ギタリストのソロというよりも、やはり優秀なコンポーザー兼マルチ・プレイヤーによるポップでアダルトなロック作品であり、その構成力と的確なキーボード・ワークにこそ非凡を汲み取りたい。
不満があるとすれば、あまりにもソツのないアレンジか。特にベース・ラインが理にかない過ぎていて、スリリングな瞬間がないのだ。
良くできたアルバムなのに安い中古盤がゴロゴロある、ということはこれを手放したイエス・ファンが多い、ということだろう。
完璧にコントロールされた音の中には、偶発的な衝突による化学反応は生まれないのだ。
瑕疵のなさが逆に大きな瑕疵になる、というわかりやすい例。
★とは言え、いかにも80年代末らしい(ラビン好みの)シャリシャリしたサウンドとキャッチーなメロ、そしてあの(ルー・グラムやロバート・ペリーにも似ている)声が大好きなのだ。私は。
★おすすめ度/89★ジャケはダサい度/89★過去にイエスのメンバーが発表したソロ作としては最上位に評価されるべき1枚だ度/89

2003/12/14