Live At Leeds


The Who

01.Heaven And Hell
02.I Can't Explain
03.Fortune Teller
04.Tattoo
05.Young Man Blues
06.Substitute
07.Happy Jack
08.I'm A Boy
09.A Quick One, While He's Away
10.Amazing Journey/Sparks
11.Summertime Blues
12.Shakin' All Over
13.My Generation
14.Magic Bus

TOTAL TIME 77'06"

★原盤は70年、トラック。
私の所持しているCDは、95年にポリドールから「25周年エディション」として発売されたリマスター盤。オリジナルよりも8曲多い。
新たに収録されたのは01、02、03、04、07、08、09、10で、音質も旧盤とは比較にならないほど向上している。
全て70年2/14のリーズ大学に於ける実況録音だが、さらに実際は10の位置でアルバム「トミー」の全曲を演奏したというのだからこの時期のフーは凄まじかった。
当日の「トミー」完全版は、後に91年の「ライブ・アット・リーズ/デラックス・エディション」のディスク2に収められることとなる。
★フーに似たところのあるバンドは星の数ほど存在する(例えばパンク以降に出現した英国バンドの多くには程度の差こそあれフーからの影響を見て取れるし、初期のイエスやクイーンが彼らをお手本にしていたことは明白だ)が、フー自身は彼ら以前の誰にも似ていなかった。
それは、メンバーの資質やピート・タウンジェンドの作曲能力に「黒人音楽への憧憬」が(当時の英国ミュージシャンとしては)希薄だったから、ということもあるだろう。目指すべき対象が彼らの前にはなかったのである。最初からオリジナル曲中心、という点だけでも珍しいバンドだったのだ。
が、このライブ盤には(ギターのアドリブやロジャー・ダルトリーの歌い回しに)ブルース的なニュアンスも時折見られるのみならず、数多くの秀逸なカヴァー曲(03、05、11、12)が含まれていた。ここから11がシングルカットされ彼らの代表曲(のひとつ)となったことは象徴的だ。
そして、骨格を露わにした02がキンクス、14がボ・ディドリーを、それぞれ意識した作風であることは疑いようもない。ルーツの一部を披露することによって彼らの独自性を逆説的にアピールすることもできたのだから、このライブ盤の持つ意味は大きかった。
スタジオ盤では抑えられていたフーの本質がリアルに伝わるわけで、このアルバムが熱狂的に受け入れられた理由はそこら辺にもあったのだろう。ロック・バンドとしての魅力全開、である。
★09や10の複雑な構成に象徴されるような、ひとつ間違えば「知的で小難しいロック」になってもおかしくない要素を、強引にねじ伏せるキース・ムーンの肉体的なドラムスは驚異的。やたらゴリゴリした音で縦横無尽に駆けめぐるジョン・エントウィッスルのベースも含め、まるでリード楽器の如きリズム隊がここでの主役。やたら長い13の展開も頭脳的と言うより本能的、に感じられる。
コンセプト優先だった「トミー」と「フーズ・ネクスト」の間に生々しいライブ盤を発表できたことがフーの伝説に一役買ったことは間違いないだろう。
★圧倒的でありながらキレが良いのだ。「ロックンロール・サーカス」に彼らを出演させておきながら、その迫力にビビってフーの場面をカットしてしまったストーンズの気持ちは良くわかる。
海賊盤を模したジャケ、圧倒的なパフォーマンス、何もかもがロック史における先駆者であった。70年初頭の実況録音がこれだけのクォリティーで残されていたことにも驚きである。
ハード・ロック・ファン、ポップス愛好家、プログレ・マニア、誰もが必携の名盤。
★おすすめ度/97★キャッチーな三声のコーラスも素晴らしい度/97★このテンションに2時間も耐えられるとは思えないので「デラックス・エディション」には未だ手が出せないでいる度/97

2004/01/28