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Athlete (official page / MySpace)

Vehicles & Animals (2003)                                               Athlete - Vehicles & Animals

★★★★
2003年にリリースされたAthleteのデビューアルバム。当時、店頭で試聴した"Beautiful"のサビの印象が強かったので、美メロ路線かと思っていたのですが、予想外にバラエティに富んだ内容にまずは驚き。ザラザラした手触りの"El Salvador"はPavement直系のヒネリ具合が良い感じのローファイポップス、ミニマムなアレンジを施した"Westside"ではシャガレたボーカルがポップ路線に傾倒したGomezのような雰囲気、これまたローファイなシンセサイザーのフレーズが印象的な"One Million"はオフトーン気味のメロディが季節外れのリゾートのような寂しさを表現と懐も広そう。中盤の内容も厚く、ノスタルジックなメロディをスッキリ聴かせる"Shake Those Windows"、キレのあるメロディを持つリフと実験的なフレーズを行き交う"Beautiful"、センチメンタルに始まり、激情が溢れ出し、再び正気に戻る"New Product"と様々な手法で飽きさせません。ラストの流れも絶妙で、ライブのエンディングにハマリそうな"You Know"からパーティー後の寂しさを感じさせる"Le Casio"の中ではアルバムの曲が逆流してくるような不思議な感覚に襲われました。残念なのは、多くの曲がハイレベルながらもアルバムの色を決定づける傑作がないこと。それでも、親しみやすいメロディを一癖あるポップスに仕立て上げ、広く受け入れられる形に表現したポップセンスは素晴らしいです。(2005/2/23)

Tourist (2005)                                                                  Athlete - Tourist

★★★
サウスロンドン出身の4ピースAthleteの約2年ぶりの2ndアルバム。前作はチープなシンセサイザーをカウンター気味に取り込むことで、ねじ曲がったローファイなポップ感覚を聴きやすい形で表現していましたが、この作品ではそんな一癖あるポップ路線は激減し、大仰なアレンジのスロー〜ミッドテンポの楽曲が中心になっています。繊細なタッチのピアノの弾き語りによるリードトラックは"Chances"は予想通り厚いストリングスが加わり、叙情性を強調しながら感情移入したリフへ流れ、"Half Light"はピコピコしたシンセサイザーがアクセントになっていますが、途中でドラマティックモードに変わり、それを拠り所にしています。音数を絞った"Trading Air"はアレンジがシンプルなため聴きやすいですが、Coldplayの1stを磨き直したような既聴感に溢れ、続く先行シングル"Wires"はColdplayの2ndから激しさを取り除いたような感じで、この辺で既にお腹一杯。イギリスらしさのある陰鬱なメロディ自体は良質なので個々の曲として聴く分には良いのですが、アルバムとして聴くと、様々なバンドのフォロワー的要素が強く、Athleteサウンドの主張の弱さ が気になります。デビュー作で特徴的だった部分を放棄してまで、このサウンドへステップを切った意図が今ひとつ掴めません。これだけのメロディを書けるのに、繰り返し聴こうと思わせられないというのは勿体ないです。(2005/2/23)

Beyond the Neighbourhood (2007)                                 Athlete - Beyond the Neighbourhood

★★★
約2年ぶりの3rdアルバムは、イギリスの叙情的ギターロックのど真ん中の音。前作のドラマティックなサウンドプロダクションを更に徹底した内容で、残念ながらザラザラした感触がユニークだったデビュー アルバムの面影は皆無。短いながらもアルバムの印象を決定づけるのに充分な"In Between 2 States"で幕を開けると、掠れ気味のボーカルで流麗なアレンジを中和した"Hurricane"、肌寒い初冬の空気感 を演出した"Tokyo"や"Airport Disco"など、メロディの翳りの部分を活用した楽曲は今の季節と見事にマッチ。その後も、エモーショナルさを主張する基本路線は変わらず、"It's Not Your Fault"や"Second Hand Stores"では壮大なアレンジで迫りますが、ガチガチ過ぎて「遊び」がない分、スケール感は今ひとつ。内省的なメロディーを中心に、音の厚みの変化を緻密に計算したをサウンドスケープは、全ての部分がそつなく作り込まれた印象。メロディの良さやメランコリーという切り口では目を見張る部分もあるものの、全編に渡ってインストールされている「感動させてやろう」という意気込み程、胸に迫り来るものはありません。個々の曲自体は悪くないので、やり過ぎ感の受け止め方次第では、高い評価を受ける気はしますが、個人的には中盤で既にお腹いっぱい。元々オリジナリティがあっただけに、他のバンドの成功体験をトレースする必要があったのかというのが率直な疑問です。(2007/10/20)

Black Swan (2009)                                                                          

★★★
Badly Drawn Boyらの作品を手がけたTom Rothrockをプロデューサに迎えた約2年ぶりの4thアルバム。従来路線と決別した前作路線を踏襲したサウンドながら、前作よりもメロディのクオリティが上がったことが奏功し、何とか平均点はクリア。適度なスピード感と小綺麗なラッピングを身に纏ったポップソング"Superhuman Touch"で幕を開けると、イギリスの叙情的ギターロックのど真ん中を行くアレンジを施した"The Gateway"、美しく、メランコリックなメロディをシンプルかつ情感豊かに仕上げた"Black Swan Song"、最初は音を薄めにして、徐々に音に厚みを持たせることで感情の振れ幅を最大限に使った"The Awkward Goodbye"など、この手のサウンドの黄金律を惜しみなく活用。しかし、Athleteにしろ、Snow Patrolにしろ、初期のサウンドにはキラリと光る特徴があったにもかかわらず、流れの速いシーンに揉まれることで角が取れてスッカリ丸くなり、「大勢の人々」をターゲットとした最大公約数的な内容へ変わってしまったのは寂しい限り。元々、良いメロディを書く力をそれなりに持っていただけに、その他の部分が弱くなったのは明らかに退行で、競争率の激しいシングアロング系ギターロックの分野に立つからこそ、オンリーワンの光るモノの準備がいるのではと余計な心配も。好きなタイプの曲は多いけど、別にAthleteが出す必要がある音でもないような気が…(2009/11/21)