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Bright Eyes (official page / MySpace)

Lifted or The Story Is in The Soil, Keep Your Ear to The Ground (2002)
                                                                                           Bright Eyes - Lifted or The Story Is in The Soil, Keep Your Ear to The Ground

★★★★

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街角で突然歌い始めた様子を一発録りしたかのようなラフでインプロビゼーショナルなオープニングチューンには「これがずっと続いたらどうしよう」と思いっきり不安にさせられましたが、その後はエラく普通っぽい作りで逆にちょっぴり不安。前作で随所に見られた直接的な感情の暴発は、所々で抑え切れなくなることはあっても、その頻度は控えめ。サウンド的にも、生々しい感情を剥き出しにしてパーソナルな部分を強く感じさせた前作からすると驚くほどトラディショナルな方向へシフトしていて、さらにそれが彼の世界にフィットしていて二度ビックリ。ボーカルによって感情の起伏を押し出した"Method Acting"よりも、スローながらもアンサンブルで感情を表現する"False Advertising"や"Lover I Don't Have to Love"の方が聴き応えがあります。また、優しくキュートなメロディに字余りの歌詞が絡みつく"Bowl of Oranges"が余りに直接耳に飛び込んでくるだけに、その後の彼の得意パターンの壮大な"Don't Know When But A Day Is Gonna Come"が不発なのは残念。その一方で、切ないメロディに低音のボーカルと柔らかいコーラスが組み合わさってホロリとさせた後に、突然心を鷲掴みにするリフを繰り出す"Nothing Gets Crossed Out"やカントリー&フォーキーな"Make War"など、メジャーバージョンアップを感じさせる楽曲も満載。外向きのエネルギーがプンプンするラスト3曲の流れも大賛成。これ、いいっすよ。(2002/9/7)

I'm Wide Awake It's Morning (2005)                               Bright Eyes - I'm Wide Awake It's Morning

★★★★☆
2枚同時にリリースされたBright Eyesの新作の中の1枚は、基本こそシンプルなフォーク/カントリー路線ですが、内容は実に充実した作品。これまでのように、プライベートを削り取るソングライティングや、突発的に感情のコントロール不全を起こす表現スタイルなどの重苦しさはなく、私的なデリケートさを残しつつも開放的な雰囲気に溢れています。長い語りで始まる"At The Bottom of Everything"は途中からギターの伴奏と乾いた緩めのボーカルが微妙な軽妙さを見せ、"We Are Nowhere And It's Now"では管楽器やピアノを加えてサウンドに厚みを持たせながら、初春の日差しのような柔らかで初々しいサウンドスケープを展開。"Old Soul Song (For The New World Order"でも驚くほど楽しみながら音が鳴らされていて、曲後半の感情過多の部分さえ息苦しさを感じません。消え入りそうなギターとボーカルが重ねられて行く"Lua"は全米No.1ソングの威光はありませんが、大切に作られたことが伝わる楽曲で、その他にも日常を飾らず切り出したような"First Day of My Life"や"Poison Oak"、カントリー風味を強めにした"Another Travelin' Song"など魅力ある曲が続きます。クセのなさが評価の分かれ目になりそうですが、Conor Oberstの才能の高さが歪曲されることなく表現されたこのアルバムは、ファンはもちろん、これまで彼を敬遠していた人が触れる作品としても最適な一枚です。(2005/2/5)

Digital Ash in A Digital Urn (2005)                                   Bright Eyes - Digital Ash in A Digital Urn

★★★★☆
フォーク/カントリーをベースとした"I'm Wide Awake It's Morning"と同時リリースのもう一枚のニューアルバムはループや打ち込みを多用しつつも、より多彩な生楽器群を取り入れたバンドサウンドを展開。長めのディレイをかけたドラムスが耳に残る"Gold Mine Gutted"では様々な楽器が顔を覗かせる割にゴチャゴチャした感じもなく、何とも言えない物寂しさを表現したかと思えば、打ち込みで歯切れの良いアレンジを施した"Arc of Time (Time Code)"は穏やかながらもポジティブさを強調。と思えば、生ストリングスを導入した陰鬱で重厚なアレンジの"Down in A Rabbit Hole"では再び逆サイドの世界観を表現しています。それ以降も、スペイシーなギターとストリングスがスムーズで不連続なサウンドスケープの遷移を見せる"I Believe in Symmetry"、"Digital Ash in A Digital Urn"流にフォークソングをリストラクチャリングした"Theme to Pinata"、スケール感とパーソナル感を共存させた"Easy/Lucky/Free"などトリッキーな聴き所を量産。サウンドの緻密な構成の一方で、表現方法が多少まどろっこしいためにメロディの輝きが散乱している気もしますが、元来の輝度が高いので全く問題はありません。新作2枚は独立してはいますが補完関係にあるようで、ライブでは互いが相手の持ち味を引き出しながら強力なツートップとして機能する予感がします。こちらも間違いなくオススメの作品。(2005/2/12)

Cassadaga (2007)                                                            Bright Eyes - Cassadaga

★★★★
約2年ぶりとなる5thアルバムは同時リリースされた前2作よりも更にアクの強さを控えながら、Bright Eyesの音楽をバランス良くパッケージングした最小公倍数的な内容に仕上がっています。過去と未来のバンド像を緩やかに繋ぐような役割を果たす"Clairaudients (Kill Or Be Killed)"で始まると、ストリートパフォーマンスのように軽快に絡むストリングスとギターが楽しい"Four Winds"、微妙な感情の揺らぎを繰り返して、楽曲全体で感情を表現する"If The Brakeman Turns My Way"、オーケストラをバックに、マイペースで言葉を繋いでいく"Make A Plan to Love Me"など、以前の痛々しさは表面的にはなくなり、サウンド面での幅と深みが大幅に増大。オーソドックスな楽曲が多く、終盤で息切れ気味になるものの、所々で感情が溢れ出しそうになる"I Must Belong Somewhere"で再び息を吹き返すと、少ない音で生々しい世界を構築する"Lime Tree"でフィニッシュ。ギリギリに張りつめたテンションの中での直接的な感情の吐露から、全体最適を施したサウンドの中での間接的な感情の示唆へのスタイルの変化は、現状のバランスシートでは若干マイナスですが、新メソッドの会得は長期的にはプラスで、後はそれを新しいコアに育てられるかどうかが課題になりそう。そういった意味で、 平均レベルこそ軽く上回っているものの、Bright Eyesの作品という点ではやや不完全燃焼さが残る内容。(2007/5/5)