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Franz Ferdinand (official page / MySpace / live'04 / live'06 / live'09)

Franz Ferdinand (2004)                                                                  

★★★★
本国イギリスではドエライ騒ぎになっているFranz Ferdinandのデビューアルバム。マクロ的には最近の新人バンドの既定路線になりつつある二世代ほど前のテイストをベースにしていますが、ミクロ的にはルーツへの泥臭いアプローチよりも、今の空気を取り入れたスマートなセンスの良さが感じられます。一方で、少し意地悪い見方をすると、あらゆる「今のシーンの音」を作っているバンドのベストプラクティスという感じもあります。サウンド的な特徴はアナログ的な微妙な音の揺れ。この揺れがギターやベースの弦が弾かれて減衰して行く様子までを表現し、チープさの中に音の分厚さを作り上げています。"Jacqueline"のザラザラしたギターとシンプルなリズムセクション、吐き捨てるようなボーカルのコンビネーションや"Tell Her Tonight"のスカスカでヘニャヘニャなリズムのように、シンプルな楽曲とヘナチョコ、良く言えばプリミティブなアレンジの取り合わせはバッチリで、かつひねたポップさを併せ持っているところにも懐の深さを感じます。ポップな曲もあれば、フロアでも問題ない曲もあり、ロックンロールリバイバルのコンテキストに登場しそうな曲もあるように、コンサルタント的な方法論っぽいのにシンプルさ故に嫌らしさを感じさせない部分は紛れもない強みですが、欲を言えばスクラップ&ビルド的なハチャメチャさや新しさが欲しい気も。(2004/3/27)

You Could Have It So Much Better (2005)                                    

★★★★☆
一躍シーンの寵児となったデビューアルバム以来、約1年半ぶりの2ndアルバム。前作は歪んだ音楽性をチラ見させながらも、意図的にシーンに迎合したスタイルが目立っていましたが、今作では80年代リバイバル的な残り香の中で、前のめり気味なスピード感と変態性の際立つポップさという本質部分で真っ向勝負を挑んでいます。リードトラックの"The Fallen"では、ドラムスとベースによる厚めの基礎部分にギターを意欲的に絡み付かせて新しいモードへ踏み出したことを宣誓し、旧路線の"Do You Want To"でもボーカルの艶は増し、楽曲はヘヴィになっていて、作り込まれた薄っぺらさは微塵も感じません。来日公演でも演奏した"This Boy"ではスマートさよりもガツガツとした生々しさを強調し、"Walk Away"ではシンプルな甘さとクセのある渋さを共存させ、"I'm Your Villain"ではクルクルと表情を変えながら変態ポップを展開するという彼らの特徴を端的に分かりやすいカタチで主張し、表層的なスタイルではなく、コアの強みでアルバムに横軸を通しています。ライブでデフォルメされていたパワーをアルバムにフィードバックし、恐らく戦略であっただろう前作の意図的な胡散臭ささえも最大限に利用しながら、サウンドを一段階変革させる老獪さは痛快です。もちろん、この姿もフィクションの可能性はありますが、この内容ならばこのまま黙って騙されていたいです。(2005/11/20)

Tonight (2009)                                                                                

★★★★
約3年半ぶりの3rdアルバムはこれまでの全編躁状態のハイテンションさや人を食ったような印象は控えめで、大人っぽいサウンドへとシフト。フェードインするように始まり、臨界状態一歩手前で寸止めする"Ulysses"で幕を開けると、徐々に艶っぽさを増して行く"Turn It On"、シンプルなギターとサビのユニゾンが「いかにも」な感じの"No You Girls"と、基本仕様は不変な一方、どことなく理性が利いた印象。中盤以降は、レイドバックした雰囲気の中、左右にギターを散らすなど凝ったサウンドの"Send Him Away"、やや古い手法によってクールでトライバルなリズムを作り上げた"Live Alone"、夜の危うい香りを巧妙に演出した"Can't Stop Feeling"など、これまで以上にリズムへの拘りを見せた新境地っぽい部分を垣間見せる曲が続くものの、個人的には序盤の軽めのポップスから堅めのリズムを纏ったロック、そして強引にエレクトロへと分刻みで表情を変えて行く"Lucid Dreams"がハイライト。勢いだけで押しまくるのではなく、焦らしを入れつつ、押すときは一気に押し込むテクニックを身に付けた内容は、これまで以上に「タチ」が悪くなった気も。バカ騒ぎだけでない淫靡な「夜」っぽさも新しい魅力で、アルバム単体では多少響き方が弱いものの、ライブでは従来の直感的な曲と相まって、その新しさの部分が輝きそう。(2009/3/01)