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Jet (official page / MySpace)

Get Born (2003)                                                                              

★★★☆
オーストラリア出身のJetのデビューアルバムは、「ロック、以上」で終わりたくなるようなシンプルさが持ち味。迷うことなく、自分達が一番自信を持っているストレートな楽曲をテンポ良く投げ込んでくる気持ち良さは買いますが、他にカウントを取るための球種が圧倒的に不足しているので、繰り返し聴く間の比較的早い時期に好感度はピークに達するものの、その後は次第に物足りなさを露呈してきます。アップテンポの曲が持っているドライブ感やスローテンポの曲が持っているシットリ感は、ダイレクトなメロディとアレンジのため瞬間的に身体に飛び込んで来るものの、耳への引っかかりが極端に弱いので、聴き終わってからの曲のイメージが持続せず、聴き終わってからも土臭さが残るKings of Leon辺りと比べるとインパクトも今ひとつです。もちろん直球以外に変化球も持っていて、全速力での疾走感を瞬時にクールダウンさせる"Look What You've Done"は単独で聴くと佳曲ですが、余りにも予想できる範囲内のためにステレオタイプな流れを生み出す結果に陥ってしまう悪循環。それでも、ここまでキャッチーなメロディを作ることができるというのは絶対的な才能で、現状、工夫を積極的に取り入れていないのであれば、今後の伸び代はまだまだ残っていそうな気がします。中途半端な緩急を排した剛速球のライブを見たい気がしていますが、問題はそれまで興味が持続するかどうか…(2003/10/13)

Shine On (2006)                                                                              

★★★★☆
Dave Sardyプロデュースによる約3年ぶりの2ndアルバムは、基本的には前作路線のヒットアンドアウェイを使い分けるシンプルなロック。但し、ハードな楽曲ではコーナーを丁寧に突く制球力を習得し、スローな楽曲では流れを意識した甘さのインストールにも成功。バンドとしての筋力アップによって、サウンドの重みが増した"Holiday"やファルセットのボーカルがグラマラスな"Put Your Money Where Your Mouth Is"など押しの楽曲の幅は大幅に拡大。そして、Oasisの影が少し強い気はするものの、過度のドラマ性を排除してカラリと仕上げた"Bring It On Back"や意表を突いたワルツのリズムを活かした"Kings Horses"、柔らかなボーカルとメランコリックなメロディがマッチした"Shine On"や"Shiny Magazine"などを始めとして、退きの楽曲のメロディはハイレベル。その結果として、エッジの立ったソリッドな"Rip It Up"や少し抜き気味の"Skin And Bones"なども攻撃性が増幅され、アルバム全体にうねるような ダイナミズムが生まれています。どうしても、"Are You Gonna Be My Girl?"の印象が強烈だったので、このアルバムはある意味で試金石でしたが、そんな懸念は軽く一蹴。そして、フジロックのパフォーマンスで感じた「化けた感」が場の力の助けによるものではなく、バンドとしての大きな成長に起因したものであったことを改めて実感しました。予想を遙かに超える会心作 。(2006/10/15)

Shaka Rock (2009)                                                          Jet - Shaka Rock

★★★☆
過去2作でタッグを組んだDave Sardyから離れ、セルフプロデュースによる約3年ぶりの3rdアルバム。前作はオーバードーズ気味のアレンジによって、背伸びしている印象が強かったものの、今作は全体的に無駄を削ぎ落としたシンプルなロックンロールへと回帰。音の厚みで圧倒するのではなく、アンサンブルで畳みかけてくる"K.I.A (Killed in Action)"で始まると、破壊力は若干足りないものの、喉に引っかけて歌うボーカル、必要十分な性急さを持つリズム、エッジの鋭さを磨き上げたギターの3要素が"Are You Gonna Be My Girl?"を想起させる"She's Genius"など等身大の攻撃性を感じさせる展開。中盤以降はメロウさと力強さを絶妙なバランスでブレンドした"Seventeen"や"Goodbye Hollywood"、リズムギターのフレーズが非常に印象的な"Times Like This"、アルバムのメランコリーを一手に引き受けた"She Hands A Grudge"など、勢いだけではない側面もアピール。たった1曲でアルバム1枚分の閃光を放つ曲がある訳でも、サウンドプロダクションで擬似的なスケール感を表現する訳でもないので、これまでのアルバムに比べて派手さに欠けるのは否定できないものの、この実を伴った正統進化は今後の作品の重要な礎。そして、その礎を軸にして、爆発的なキレ味とうねるようなグルーヴを手に入れたとき、等身大のスケール感を手に入れ、大化けしそうそうな予感。(2009/10/11)