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Keane (official page / MySpace / Live'04)

Somewhere Only We Know  (2004)

★★★★
本国ではブライテストホープの呼び声も高いKeaneの3曲入りシングル。キラキラ感や音の密度に違いはありますが、端正なメロディとアレンジ、透明感に溢れるサウンドプロダクションは、Mewを初めて聴いたときのタイムスリップ感覚に似ています。エモーショナルな面とクールな面を持つことで嫌みなく感情表現を行い、優しく甘さを感じさせる面とシャキッと切れ味を感じさせる面を持つことで、楽曲が単独で持ち得る以上のダイナミズムを生み出すクレバーさはチームKeaneとしての勝利。どこかで聴いたことがあるような"Snowed Under"の物憂げなキラキラ感、打ち込みっぽいリズムとエレピをバック歌う"Walnut Tree"のユラユラ感は印象的で、不安定であることの心地良さがあります。これといった特徴や名曲がある訳ではないのですが、楽曲とサウンドプロダクションのコンビネーションの良さによる全体最適化の成功例です。(2004/4/7)

Hopes And Fears (2004)                                                 Keane - Hopes And Fears

★★★★
BBCのベストニューカマーに選ばれたサセックス出身のギターレスのスリーピースバンドのデビューアルバム。シーンの中で自らを差別化するために必死に独自性を付加するバンドを尻目に、あらゆるシーンから距離を置いて独自性を封印することによって、その独自性が鮮やかに浮き彫りになるという状況。最初聴いたときにはMewっぽい気もしましたが、Keaneの場合は、彼らのように80年代を強く意識せず、ひたすら良いメロディを紡いでいくという最もプリミティブかつ本質的な戦略で立ち回り。そして、この戦略が天然のものでなく、緻密なマーケティング戦略であったりしても、それはそれで気持ちよく騙されていたいと思えるような音を出しています。人工的な音が散らされている割には、ボーカルの感情表現の起伏が抑え気味のためか、満腹感も少なめ。また、美しい中にも手垢が付いていて、達観とか仙人的なエバーグリーンさというよりも、現在進行形の音楽として成立。インナースリーブの写真で、ドラムスの兄ちゃんが"OSAKA"と書いたTシャツを着ていたり、メンバーが音のように端正なルックスをしていないのも、Tom、Tim、Richardというヒネリのない名前なのも何気なくポイント高し。後は、こちら側が既成概念を捨てて、この無防備な音と自然体で対峙出来るかどうかが一番のポイントでしょう。あと、欲を言えばファイナルブローを決められる曲が何曲か欲しいところです。(2004/6/5)

Under The Iron Sea (2006)                                             Keane - Under The Iron Sea

★★★★
約2年ぶりの2ndアルバムは、前作同様にピアノ主体のバラードバンド的な面影も残っていますが、表面的な美しさよりもサウンドのスケール感と深みを増した内容に仕上がっています。"Atlantic"では強めのエフェクトをかけたリズムとストリングスが壮大さを感じさせつつ、終盤の美しいコーラスでKeane節が炸裂し、続く先行シングル"Is It Any Wonder?"ではピアノをワウギターのように歪ませたイントロとホンキートンク気味のピアノを使ってロック的なサウンドアプローチ。さらに、"Leaving So Soon?"では低音でザラッとしたボーカルを聴かせるなど意欲的なサウンドも目立ちますが、言葉を失いそうになる程の圧倒的純度の"Hamburg Song"や全身がその叙情性に包み込まれるような感覚を覚える"Try Again"などの美しさはサスガのひと言。前作は最大の武器であるピュアネスによって「完全無欠の綺麗さ」を印象づけていましたが、今作は敢えてロックバンド然とした下世話な要素を混入することによって、その欠落部分が楽曲間でシナジー効果を生み出し、「流れの中での美」を描き出しています。アルバムとしてのダイナミズムも充分で、ライブで得たものをアルバムに昇華し、確実にプラスのスパイラルが回っているようです。この際、Tomの腹回りやパフォーマンスのダサさは忘れ、サウンドのみに集中して聴いてみて下さい。(2006/6/23)

Perfect Symmetry (2008)                                                               

★★★
新たにJon BrionとStuart Priceを共同プロデューサに迎えた2年ぶりの3rdアルバムは、これまでのピアノポップ〜ロック路線と決別し、これまで使わなかったギターを導入したり、直球的にシンセサイザーを使ったりと、今さらながらの80年代ニューウェーブを感じさせる内容。Kaiser Chiefsを彷彿とさせるサビの「フゥー」のコーラスに呆然とさせられる"Spiralling"で始まると、作り付けの透明感でナチュラルさが失われた"The Lovers Are Losing"、五線譜上での運動量が大きいメロディとスレ気味のアレンジが何だかムズ痒い"Better Than This"など、そのサウンドの変化には戸惑うばかり。但し、タイトルトラックの"Perfect Symmetry"やラストの"Love Is The End"ではシッカリとピュアな面を見せたり、"Black Burning Heart"のサビでは胸を打つ美しいメロディを聴かせていたりと、かつての面影もチラリ。屈託のない笑顔と透明な瞳を持つ少女のような1st、無垢な表情に意志の強さが表れた大人びた少女のような2ndに恋した人にとって、化粧コテコテのオンナを感じさせる内容は正に踏み絵的。但し、基本的なメロディの仕様やポップさ自体は一貫して変わってないだけに、単に前作を原点としたデビューアルバムに対しての"Perfect Symmetry"なのかも知れません。そう前向きに考えてみると、まだ見ぬ次作を聴くまで完全に失恋するのは早いのかも。(2008/11/16)