80年代のイギリスっぽさをプンプンさせるラスベガス出身のThe Killersのデビューアルバム。ここ数年、InterpolやRadio4、The
Raptureなどのアメリカのバンドが80年初頭のポストパンク〜ニューウェーブのテイストを取り込んでいますが、The
Killersはニューロマンティック、つまり80年代の陰の部分として語られることが多い要素を取り込んでいます。"Andy, You're A
Star"のIan Curtisを意識したようなボーカル、"Everything Will Be Alright"のRobert
Smithまんまのボーカルの音処理などニューウェーブ的要素もありますが、リードトラック"Jenny Was A Friend of
Mine"では、Duran
Duranが歌いそうなメロディの裏をシンセサイザーが恥ずかしげなくなぞり、間奏では堂々とシンセブラスが鳴らされるというコテコテ仕様ですし、"Mr.
Brightside"では甘めのメロディをシンセブラスやシンセストリングスが覆い尽くすという暴走ぶりには思わず苦笑。それでも、シーンに同化するためツールやパロディのネタのためではなく、真剣にこのサウンドを作っている
勇気には拍手をしたくなります。ただ、80年代特有のドラマティックさなどのハッタリの利かせ方が弱く、これならDuran DuranやSpandau
Balletのベストを聴いた方が当時の青臭い想い出とリンクする分だけ心に響いて来るという弱点は痛い。サウンドからして、バンド名は30代のオヤジ殺しって意味?(2004/9/21)
プロデューサにFloodを迎えた2年ぶりの2ndアルバム。シンセサイザーを多用したキラキラしたサウンドは前作のニューロマンティックっぽい音が至って真面目だったことを主張しながら、新たに手に入れたアメリカンロック的な骨太さを交えて、不気味なほど自信に満ちた音に仕上がっています。人工現実的なスケール感を持ったイントロの"Sam's
Town"で始まると、音の厚みをダイナミックに変えることでドラマ性を強調する"When You Were
Young"、エモーショナルなボーカルが暑苦しい"Bling (Confession Of A
King)"など人工甘味料的な甘さを充分すぎるほどにトッピング。その後も、手を替え品を変え、味付け過剰気味のアレンジが続きますが、メロディ自身の魅力=アレンジへの耐性が強化されているため、取って付けたようなイヤラシサは感じません。シーンを席巻していた80年代的なクールな音と対になってしか存在できない反物質的バンドと思いきや、Joy
Divisionフォロワー達の多くがJoy
Divisionというダークマターの引力から抜け出せない中、既聴感を感じさせながらも、確固たる存在感を持った音になっているのには感心。もちろん、彼らの曲に直接リンクする体験がない分、リアルタイムで聴いていた80年代の音の方が甘酸っぱさを感じますが、「これはこれでありかも」という不思議な説得力も持っています。何かを究めることは力であることを改めて
実感。(2006/10/22)