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Longwave (official page / MySpace)

The Strangest Things (2003)                                                          

★★★☆
プロデューサにDave Fridmannを起用したニューヨーク出身の4ピースバンドのアルバム。2003年の今、ニューヨーク出身というと飾りを削ぎ落としたサウンドで一つのムーブメントを起こしたThe Strokes、80年代初頭のアヤシゲなニュアンスを取り入れたInterpolやRadio4などを思い浮かべますが、Longwaveの音はこうした流れには嵌らず、90年代後半から現在までの同時代的ギターロックの影響を強く感じます。多重録音によってアレンジしていくDave Fridmann色は控えめで、原曲の微妙な色彩変化さえ見て取れる程度に音のレイヤ数は抑えられています。ただ、音の方はジャケットの雰囲気から想像できる範囲を踏み超えることができず、バラエティに富んだ楽曲や緻密に作り込んだ音によってサウンド的なスケール感はある一方で、それらが少々キレイにまとまり過ぎで、バンドとしてのスケール感の小ささが気になりました。狙ったかどうかは別にして、"Pools Song"ではザラついた音処理にThe Strokesっぽさ、"I Know It's Coming Someday"ではメロディやギターの使い方にColdplayっぽさ、その他にもコンテンポラリな音が見え隠れし、"class Longwave extends Guitar Rock implements The Strokes, Coldplay, Travis, Doves"的になっているのがどうも引っかかります。翳りを持った雰囲気のメロディやアレンジ自体は嫌いではないだけに、結果的に同時代の音を安易に取り入れたように聴こえてしまうのは残念でなりません。仕事中の耳に飛び込んで来れない押しの弱さももう一息。たまたまシーンと完璧にシンクロしたのなら、次作では是非とも新たな潮流を生み出すスーパークラスになって欲しいです。(2003/3/19)

There's A Fire (2005)                                                                      

★★★☆
The Stone RosesやRadiohead、New Orderなどを手がけたJohn Leckieをプロデュースに迎えた2年ぶりの3rdアルバム。前作はアルバムの雰囲気自体は好みでしたが、同時代のギターロックの上っ面を撫でてテンプレート化したようなサウンドが何とも言えない閉塞感を作り出していました。新作でも「〜っぽい」部分は多分にありますが、ダウナーっぽさの抑制とキラキラした音を多用したアレンジによって、そんな負の面を忘れさせる即効性のある特効薬(開放感)を獲得しています。ドラムロールで始まるリードトラック"There's A Fire"はシンプルなメロディを必要十分なアレンジで装飾したカラリとした下世話さが新しい方向へのステップを感じさせ、アコースティックギターとファルセットで表現する静の世界とノイズで作る動の世界を行き来する"Underworld"は手垢の量は多いもののSigur Rosのような側面もチラリ。さらに、美しいメロディと別世界での出来事のようなエフェクトをかけたボーカルが絶妙なバランスの"The Flood"や繊細でユッタリとした"Heart Attack"、Stephen Duffyを彷彿とさせる"Next Plateau"など曲の粒は揃っています。但し、借り物的に聞こえる部分を丁寧に取り除き、等身大の自分達の音を作ろうとした結果、ゼネラリスト的なポジションに落ち着いてしまったのは気になるところで、色々な意味でアメリカ版Snow Patrolというような雰囲気を持った作品です。(2005/7/24)

Secrets Are Sinister (2008)                                              Longwave - Secrets Are Sinister

★★★★
Dave FridmannとPeter Katisを共同プロデューサに迎えた約3年ぶりの4thアルバム。前作ので手に入れた明るさと力強さは抑えられ、2ndで聴くことができたイギリスのギターロック的叙情性が復活。ディストーションギターによって必要十分な推進力がインストールした"Sirens in The Deep Sea"で始まると、仄かなドリーミーな演出の中でギターが唸りを上げる"No Direction"やノイズギターの壁の向こう側に甘めのメロディを配した"Life Is Wrong"など、まずはDave Fridmannとの相性の良さを発揮。その後も、優しげなメロディを丁寧に仕上げた"It's True"や周囲とは違った時間の流れを作り出す"Shining Hours"など人肌温度の佳曲が並ぶものの、全体的にナイーブな楽曲が多いこともあり、音に真面目に向き合っていないと耳に入り込んで来ない弱点も露呈。これまでは良いメロディを書いているにもかかわらず、どことなくシーンの流れに身を任せたような印象があったものの、インターバルを充分に取って強みを棚卸したことで、今後の方向性は明らかにできた感じ。まだ独自性や唯一性を強く主張できるには至っていないものの、元々基礎体力はあるだけに、伸ばすべき部分を間違えなければ、一気にステージを駆け上がる可能性もありそう。Lowgoldにも通じる陰りのある今作のサウンドスケープは大好きなだけに、このまま「未完の大器」で終わらないことを願うばかり。(2008/12/23)