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Mew (official page / MySpace)

Frengers (2003)                                                                              

★★★★
今年のサマソニに出演するという以外の情報はないまま1曲だけを試聴。ジャケットのハズし方に嫌な予感がしたもののThe Libertinesのライブの開演時間が迫っていたので購入。ところが、珍しくこの予感は大ハズレで、シンセサイザーを中心に作り上げられた音の壁は、装飾を削ぎ落とした生々しい音に浸っていた耳を柔らかく包み込んで心地良さは抜群。アルバム全体では、情感過多気味ながらも荒涼とした中にほのかな暖かさを感じさせるメロディ/アレンジをユニセックスなボーカルが程よく中和していて、一世代昔の仰々しさの残る楽曲もあるもののイヤラシ度は低め。オープニングからの3曲は手を入れすぎの感じもありますが、メロディがシッカリしているので厚めの音処理と深めの空間処理にも埋もれることなく、輝きを保っています。そうした中でも、Beckey Jarrettをボーカルに迎え、ピアノとボーカルが作るゆったりした流れにコーラス、ストリングス、シンセサイザーを抑え気味に重ねながら、楽曲の素材を生かし切った"Symmetry"は序盤のハイライト。中盤以降にはどこかで聴いた気がするけどどうしても思い出せない曲やフレーズがありますが、これは彼らの作り出すメロディが普遍に迫っているせいなのかも知れません。シンプルさと派手めアレンジが同居する"She Came Home for Christmas"以降のアレンジはエモーショナルかつドラマティックさが強調され、序盤で構築されていた音の壁とは異質。過去の様々なノウハウ注ぎ込みまくったところに多少の胡散臭さも感じますが、こういう古新しい甘めの音は好きです。(2003/4/20)

And The Glass Handed Kites (2005)                                               

★★★☆
約2年ぶりのMewの2ndアルバムは、前作同様にサウンドの肌触りが同時代のバンドとは圧倒的に異なる内容。ロマンティックな音の壁がメロディを包み込むだけではなく、暴力的なノイズを伴ったギターが急に現実に引き戻すように割り込むドラマティックな展開が多用され、その非常に映像的な音作りの徹底さには恐れ入ります。ギターのカッティングで始まる"Circuitry of The Wolf"では次第にピアノやシンセサイザーでサウンドの壁を構築し、再び骨っぽいギターを導入することでバンドの基礎体力増進をアピール。そして、ピアノとコーラスによる眩い光のシャワーが放出されて、この部分が次の"Chinaberry Tree"のイントロとして機能。"Chinaberry Tree"は彼ら得意のメランコリックなメロディを過剰なキラキラサウンドで装飾していますが、曲の尺が短いのでそれ程満腹感はありません。そして、やはりこの曲も次の曲にシームレスに接続。アルバム全体を通して、イントロ、ヴァース、ブリッジ、リフレイン、アウトロという形式的な構成要素を無意味化し、個々のパーツを自由に絡ませながら論理的な意味を持った楽曲を構築するという手法を採り、それによって時間的にも空間的にも壮大な物語を形成しています。但し、そうした多彩なアイデアに驚かされる一方で、メロディの新鮮味やドラマティックな展開への共鳴感は前作と比較すると弱めで、全体的に頭デッカチ気味な息苦しさが否めません。(2005/12/2)

No More Stories Are Told Today I'm Sorry They Washed Away No More Stories The World Is Grey I'm Tired Let's Wash Away (2009)     

★★★★
出世作"Frengers"を手がけたRich Costeyを共同プロデューサに迎えた4年ぶりの5thアルバム。前作と同じくギターが強めにフィーチャーされた曲もあるものの、基本的には以前のような美しいメロディをコアに据えた従来の方法論による楽曲がズラリ。厚めのアレンジながらも不思議とトゥーマッチ感は控えめな"New Terrain"で始まると、ゴツゴツした攻撃的なギターのフレーズが新味を感じさせる"Introducing Palace Players"などを挟みながら、シンセサイザーとギターのバランスを巧みに取った"Beach"とアッサリ感の目立つ展開。中盤以降は、珍しくカオティックな面が見え隠れする"Sometimes Life Isn't Easy"などもあるものの、突き抜けるような開放感と心地良い温度感を持つ"Hawaii"や美しさと力強さを兼ね備えたサウンドスケープを持つ"Vaccine"や"Reprise"など、自分達の音を理路整然と表現。今年ブレイクした新人バンドが80年代的メソッドを活用しながら、サウンドは2009年型最新仕様だったのに比べて、この作品はメンタリティを含めて80年代的なロマンティックを感じさせるサウンドで、結果的にリバイバル的な仕掛け臭さはなく、一風変わったエバーグリーンな感覚が表出。たまたま重なった偶然がプラスに作用している気もするものの、その立ち位置を発見したこと、そしてそこから最初に鳴らしたサウンドのクオリティが高かったことが勝利要因。(2009/10/18)