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Muse (official page / MySpace / Live'04 / Live'07 )

Showbiz (2000)                                                                               

★★★☆
バンド名のMuse、アルバムタイトルの"Showbiz"、B級テイストたっぷりのジャケットの三拍子が揃っているのでアイドルバンドなのかと思ってしまいますが、音の方は真面目にしっかり作られています。Radioheadフォロワーという文脈で語られることも多いようですが、どちらかというと僕はMansunの1stアルバムのウェットな感じに近いような気がしました。確かに1曲目の"Sunburn"や2曲目の"Muscle Museum"のギターのリフなんて、モロにRadioheadが浮かんできますが、その裏側に見えるちょっと下品でレトロっぽいメロディは彼らの持ち味なんでしょう。"Fillip"のイントロから段々ギターを重ねていき、メジャー系のメロディが徐々に変化していくあたりは個人的に好きですし、斬新さは感じさせないものの、期待感を持たせてはくれます。ただ、この高音中心のボーカルが長時間続くのはちょっと辛いです。鼻息を抑えてコンテンポラリーな感じのする"Falling Down"や"Unintended"はどっかで聞いたことあるような感じだなあと思ったら、こりゃやっぱりRadioheadですね。確かに基準は楽々クリアしている気はしますが、どうも一方向だけを見続けいるので、次が見えてしまうような気がしてしまいました。もう少しハッタリをかます余裕があれば、メインがこの音で手放しで楽しめたような気がしました。

Origin of Symmetry (2001)                                                            

★★★★☆
至るところでRadioheadフォロワー的な受け止められ方をされた"Showbiz"から1年少し。ニューアルバムはRadioheadとは違う方法論で大きくステップを進め、Radioheadの影を吹き飛ばしました。僕は"Showbiz"のレビューに、「Radiohead的な部分を感じたのと同時に、Mansunの1stっぽいウェット感も感じる」と書きましたが、このアルバムの前時代的な大袈裟さと複雑な曲構成と緊張感の高さは、さながらMansunの"Six"に相当するような気もします。去年のライブで、狂ったようにギターをかき鳴らしてノイズを発するMatthewに驚きましたが、あのテンションをそのまま取り込んだ曲の力強さはケタ外れです。どことなく湿っぽさの残るメロディに、内省的な部分を振り払うように高いテンションで歌うボーカル、メチャクチャ格好いいベースライン、ギュイギュイ鳴るギター、どれもが格好良く、それぞれが主張しつつも、バラバラにならずまとまってるところもスゴイです。久々にライブで聞いてみたいと思うアルバムでした。"Plug in Baby"では鳥肌立ちそうでした。身体が自然と動く、というか、音に身体を揺さぶられる感じです。ホントお見それしました。

Absolution (2003)                                                                           

★★★★☆
約2年ぶりのMuseの新作はシーンからの雑音を完全にシャットアウトした信念を感じさせる作品に仕上がっています。サウンド面では、1stから2ndへ向かったときのような驚きはなく、1stへの揺り戻しを感じますが、全てのパートが柔軟性と筋力の増強に2ndを経由したことの影響が現れると共に、アルバムを支配する強烈な統一感に基づいた妥協のない美意識の表現に深さ方向の進化が感じられます。タキシードでを着て、バラの花束を抱えて深夜のファミレスでデートするカップルのようなTPO感覚ブチ切れのサウンドは、初期の彼らを単なる"OK Computer"時代のRadioheadフォロワーと見ていた僕のような人を嘲笑う痛快さです。この過剰なまでの重厚なサウンドは、ミクロ的には「今」との乖離が大きいものの、マクロ的には時間の流れに疲弊しないための防衛手段であり、彼らのアイデンティティそのものです。"Sing for Absolution"や"Stockholm Syndrome"の前時代的な仰々しさ、"Endlessly"や"Thoughts of A Dying Atheist"の高速歌謡ハードロックぶりも最強で、もしこの音が緻密なマーケティング戦略だとしてもこのまま騙されていたいと思うくらいです。シーンのコンテキストを完璧に無視した強烈な存在理由の提示は滑稽に見えるときもありますが、現在の自分発の音だけを使うという退路を断った自己表現には圧倒されます。ヘヴィで美しく、超推薦の一枚。(2003/10/11)

Black Holes And Revelations (2006)                                              

★★★★☆
前作"Absolution"と同じくRich Costeyとの共同プロデュースによる約3年ぶりの4thアルバム。作品毎に表現メソッドをドラスティックに変えてきた彼らにしては珍しく前作のサウンドを深めて行くアプローチを採っているためにインパクトこそ大きくありませんが、そのスケール感は同時代のバンドの中では唯一無二。時代錯誤感タップリのアナログシンセサイザーとグラマラスなギターで瞬間的にオレ流ワールドを構築する"Take A Bow"で始まると、カラッと無邪気なメロディで始まりながら、気がつけばドラマティックな世界が全開の"Starlight"、Princeを彷彿とさせるMatthewのファルセットとタイトなリズムとが艶っぽい"Supermassive Black Hole"と「いまオレが出したい音」を連発。その後も基本的なスタイルは変わらず、突如として分厚いアレンジに豹変する"Invincible"、メタル的な要素を強く感じさせる"Assassin"や"Knights of Cydonia"など感情を音と音密度の変化でストレートに表現。アルバムトータルの美意識に拘る姿勢に前作で見られたブレはなくなり、全ての曲が意図した表現軸の上にプロットされ、前作の仰々しい美しさを更に拡張してメインストリームとオルタナティブの間で喘いでいるバンドの音を一蹴。今、これほどまでに自身の音に自信を持って鳴らしているバンドはMuse以外いないような気がします。(2006/7/17)

The Resistance (2009)                                                     Muse - The Resistance

★★★★
約3年ぶりの5thアルバムは"Absolution"以降の重厚な流れを更に押し進め、一つ間違えたらジョークになりそうなオレ流ワールドへと到達。軽めな仕上がりながら、独特の粘り気を持つ"Uprising"で始まると、最近の十八番であるクールなメロディにドラマティックさを注入した"Resistance"、物静かな序盤からオリエンタルな中盤、ショパンのノクターンが挿入された終盤と組曲的展開を見せる"United States of Eurasia"と最初の数曲だけでも聴き応え充分。その後も、タキシードで歌うと似合いそうな神々しいまでに壮大な音世界を構築した"Guiding Light"や彼ら特有の艶やかさを持つ"Unnatural Selection"、中盤に挟まれたオペラの曲よりもオペラに似合いそうな"I Belong to You"、ラストの"Exogenesis"3部作など、時空間とジャンルを股に掛けたシャープなMuse像を構築。大化けを感じさせる"Origin of Symmetry"で始まった壮大な自分探しの旅は前作でほぼ完成し、今作は細部にまで磨きをかけた最終楽章。従来のような音楽的イノベーションはなく、どちらかと言えばメンテナンスリリースに近い内容ながら、短いサイクルの中で様々なタイプの音楽が刹那的に消費される中、聴いた瞬間にMuseと分かる世界を描き、聴き終わってからもイメージを強烈に焼き付けられる才能はトップクラス。完全無欠の自己表現を手中に収めた今、次へ向かう場所がどこなのかも興味津々。(2009/11/08)