Mus!c For The Masses
Home > Art!sts > N > Nine Inch Nails
Nine Inch Nails (official page / MySpace)

The Fragile (1999)                                                             Nine Inch Nails - The Fragile

★★★☆
とにかく、オープニングから音の重さに驚かされます。それは、音楽的に音が分厚いという次元に留まらず、音の持つ圧倒的、絶対的なエネルギーの大きさを最初から見せつけられます。まるで、自分の内面を外化させるときに通常媒介するべきフィルターをすべて取り払って、自分の内面を直接外に出したような危うさと渇望感、あるいは自己解放への要求といった第三者の理解ギリギリの尖った音の連続のように感じます。緊張感、切迫感などが脅迫的に耳と身体に突き刺さり、全体を通して聴くとかなりヘヴィな作品といえるでしょう。といっても、現段階では完全に作品を咀嚼し切れておらず、この作品をうまく言葉で表すことはできません。軽い気持ちで聴くことはできないアルバムです。

With Teeth (2005)                                                             Nine Inch Nails - With Teeth

★★★★☆
前作"The Fragile"は個々の曲に巨大なエネルギーが詰め込まれ、さらにボリュームも半端ではなかったので、いつも最後まで辿り着く前にあまりの息苦しさにリタイヤ。ところが、色々なところで「ポップになった」という噂を見て、「それならば」と背中を押されて購入。もちろん、一般用語としての「ポップ」と同義でないことは理解していましたが、やはり他に類のないインパクトの大きな楽曲は、「ながら作業」に楽々と侵入して来て、その作業を完全に停止させてしまう強烈さで、とても「ポップ」のひと言で表せすことはできません。控え目な音の隙間で響く窒息しそうな密度の無音からジワジワと音の濃度が増えていく"All The Love in The World"、ユッタリした前曲から一転して倍速再生のようなリズムトラックが刺激的な"You Know Who You Are?"あたりで前作の苦手意識は消滅し、気がつけば"The Hand That Feeds"のヘヴィなビートに身体は完全降伏。表現者サイドの自己表現に終始した音楽は好みの波長が合うかどうかが評価の絶対尺度で、リスナーサイドへの妥協や諂いは一切排除。そんな一貫してストイックに表現者としての立場を貫いた音は研ぎ澄まされ、シーンという短期間の非本質的な変動要素で鈍った感覚をも激しく刺激。全体的にやや軽めになったところが賛否両論のようですが、個人的には6年越しでNine Inch Nailsの凄さに気付くことができた貴重な作品。(2005/5/17)