|

★★★☆
|
真面目に聴くのは"Because"以来、約10年ぶりとなる斉藤和義の12thアルバム。これだけ間が空くと、サウンドや歌詞に大きな変化があるのが普通ですが、男視線、女視線、日常型、抽象型、メッセージ型など、様々なタイプの言葉を、幅広いメロディに乗せながら歌うスタイルは、呆気にとられる程、時間の不連続性は感じられません。パッと聴いたときに耳に飛び込んでくるのは、力強い先行シングルの"虹"かも知れませんが、個人的には誰もが生活で直面する選択肢に都会的な感覚で優先順位を付けて行く滑稽だけど切ない"新宿ララバイ"が最強。それ以外にもギターの小気味良いカッティングにシニカルな歌詞をぶつけた"I
Love
Me"や泥臭いメロディと言葉の相性が良い"男節"、トレモロを効かせたバックトラックの上に不安定なメロディを重ねた"トレモロ"や素朴なセンチメンタルさが心に染みる"かすみ草"など平均レベルを超える曲は多数。確かに、サウンド的に斬新さはありませんが、どこにでも転がっていそうなストーリーを等身大で描き出すセンスは相変わらず素晴らしく、ノンフィクション感が強い分だけ、彼の感覚と共振するとその曲の世界観に引き込まれて行きます。特に、シングルやコマーシャルとのタイアップ曲とは一線を画した「濃い世界」の描写は映像的でさえあり、行間ならぬ、音符間から詳細な物語が垣間見えて来るようです。(2007/11/6) |