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Simian Mobile Disco (official page / MySpace )

Attack Decay Sustain Release (2007)                                            

★★★☆
Arctic Monkeysなどのプロデュースを手がけるJames Fordを擁するエレクトロデュオの1stフルアルバム。シンセサイザー用語をアルバムタイトルに持って来ることからも想像できるように、「いかにも」という電子音を組み合わせた楽曲が中心で、ロック的要素も見え隠れするものの、DigitalismやJusticeよりもテクノ寄りの内容。音が左右のチャネルをゆっくりと移動する序盤から、ハードなシンセ音で攻めまくる中盤、再び音を抽出した終盤と構成がシッカリした"Sleep Deprivation"で始まると、ヒップホップ風のテイストで俗っぽさを加えた"I Got This Down"を挟み、The Go! TeamのNinjaをゲストに迎え、テクノっぽさが強調された"It's The Beat"と展開。個人的なハイライトは、似たフレーズを繰り返し突きつけることによって、ジワジワと感覚を麻痺させていく"Tits & Acid"や"Wooden"で、ブーストした音が続く前曲からの流れがクール。最近のメジャーなダンスミュージックが、その音楽的多面性によってコンテキストアウェアなのに対して、このアルバムの楽曲はT.P.O.にセンシティブなものが多く、クラブでのプレイに最適化されている印象。但し、全体で36分強は一気に聴ける長さで、夜の暗い場所で聴くと作品の流れを含めたエミュレーションも充分可能。この辺の仕掛けは、売れっ子プロデューサの面目躍如かな。(2007/7/10)

Temporary Pleasure (2009)                                            Simian Mobile Disco - Temporary Pleasure

★★★☆
Super Furry AnimalsのGruff RhysやGossipのBeth Dittoらをフィーチャーした約2年ぶりの2ndアルバム。基本的には前作のテクノ寄りのエレクトロポップ路線を踏襲していますが、今年大流行のバキバキのエレクトロポップと比較すると格段に整理された内容。そのGruff Rhysをゲストに迎え、甘めのメロディとアレンジの取り合わせがNeon Neonを彷彿とさせるた"Cream Dream"、Beth Dittoをフィーチャーし、クドさを充分に抑制した"Cruel Intentions"、そのまんまHot ChipサウンドのAlex Taylorとのコラボレーション"Bad Blood"などは比較的ポップミュージック的な世界を構築し、座って聴いても楽しめる内容。その一方で、エモーションの振れ幅を極端に抑制した先行シングルの"Audacity of Huge"、軽めながらもエッジをクッキリと立てた"10000 Horses Can't Be Wrong"、淡々と、ストイックに刻み続けるリズムトラックが印象的な"Synthesise"などは、フロアの空気を無添加でパッケージングした雰囲気。どちらのパターンも平均レベルはクリアしていて、フロアで流す分には非常に心地良いことを理解できる一方で、CDというメディアで「聴かせる」場合には中途半端な印象。特に、ド派手な大技を繰り出すタイプでないことも災いして、アルバムを通してメリハリが弱く、フォーカスも甘めなのは残念。ただ、間違いなくライブでは化けそうな曲が多いのは、せめてもの意地。(2009/09/27)