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Teenage Fanclub (official page)

Bandwagonesque (1991)

★★★☆
ちょうど音楽をあまり聴かなくなっていた時期に登場したTeenage Fanclubのデビューアルバム、名前は知っていたけど聞いたことのないバンドの一つでした。新作とCreationレーベルのコンピレーションを聴いて買ってみたのですが、今更ながらハマリました。最近のソフトな路線とはちょっと違い、曲の表面のざらつき感が妙に耳に引っ掛かって残る感じがします。"Automatic"の頃のThe Jesus & Mary Chainをさらにポップにしたような曲や、西海岸ポップス路線の曲、"The Concept"のようにディストーションをうまく使いながらもコテコテのポップスという絶妙の外し方をした曲もあって、ソングライティング能力には脱帽です。ディストーションギターのスクリーンの透け方も絶妙だと思います。同時代で聴いたら、きっと今の何倍も身体に飛び込んできたと思うと残念です。それでも、心のどこかにあるノスタルジックのツボをぎゅーっとつく一枚であることには違いありません。

Thirteen (1993)

★★★
 

Grand Prix (1995)

★★★☆
ナイーブさの防衛のために張られていたような感のあるディストーションギターが取り払われた音は、予想通り甘酸っぱくキュート。ファーストのように、アルバム全体からわき上がるような青さが目立つノスタルジックさではないものの、やっぱり聴いているうちに30代前半のオヤジの胸をキュンとさせる魅力は十分です。最近の作品ほど落ち着きすぎず、デビュー時ほど反発しすぎず、ちょうどいいバランスの上で展開されるTeenageワールドは、メロディ、コーラス、アレンジ、どれもがツボにはまってます。この曲のここが好きというのさえ難しいくらい楽曲の粒が揃ってるのはソングライターを多く持ったバンドの強みでしょうか。青すぎず、洗練されすぎず、どこか垢抜けないところを持った愛すべき音満載です。"Verisimilitude"や"Neil Jung"のコーラス部分の数フレーズで完璧にノックアウトしてしまい、リアルタイムで体験しているわけでもないのに、リリース当時の出来事がフラッシュバックしてくるほどです。

Songs from Northern Britain (1997)

★★★☆
なぜ今Teenage Fanclubなのか?話は単純で、Summer Sonic 2000でのアクトを見て、その曲のピュアさがジワジワと染みこんできてじっくり聞いてみたかったからです。で、あふれるほどの期待感を持って聞いてみたら、「ん、こんなんだったっけ?」と思ってしまいました。確かに曲は透き通るようで、コーラスも美しく、ジャケットにあるような風景そのままのメロディは抜群、時折感じさせる少しノスタルジックなフレーズなんかも悪くない。ただ、「あの場」で感じた印象とはちょっと違うかな、ライブならではの高揚感がプラスされるともっと良く感じるんでしょうか。僕の持っているステレオタイプなスコットランドへの牧歌的なイメージをくっきり浮かび上がらせてくれるようなエバーグリーンな曲多し。ただ、似通った感じの曲が多いからちょっと金太郎飴的構成で、平板的な印象を持ってしまいます。嫌いじゃないだけに、10月発売のアルバムではさらなる進化を臨みます。芝生で寝ころんで聞いたら気持ちよさそうだなあ。

Howdy! (2000)

★★★★
最初から最後まで顔が緩みっぱなしになりそうなキュートでポップなな世界は前作同様路線ですが、前作よりも曲をコーティングしたドリーミー層が少しだけ薄くなり、その分元曲の良さがクッキリと浮かび上がってます。下手をすると金太郎飴的着地点にたどり着いてしまうわけですが、このアルバムでは不思議とそれぞれの曲のアイデンティティがしっかりしていて、その上アルバムとしての統一感も取れているという奇跡に近いことが起こってるように思います。誰もが持っているノスタルジックな部分に直接触れてきそうな、スローからミディアムテンポの甘酸っぱいメロディと長音を生かしたアレンジやコーラスには30過ぎの男でさえ胸がキュンとしてしまいました。時代性やアグレッシブなアプローチのような新しさは皆無ですが、良い意味での普遍性を持っていて、しかも時代と乖離していないところが驚きで誰にも薦められる傑作です。断然、買いの一枚。

Words of Wisdom And Hope (2002)

★★★
Teenage FanclubとJad Fairによるコラボレーションアルバム。全曲の音楽をTeenage、歌詞をJadが手がけてます。Teenageのここ南沙久賀のアルバムはツルリとしたメロディと爽やかなアレンジで表情の乏しさが気になってましたが、このアルバムではJadの気怠げな声質とボーカルスタイルと微妙にアメリカンテイストが感じられるメロディやコーラスが絡まりながら、曲の表情が豊かになってます。といっても、これはJadの貢献が大きく、彼の領域にTeenageの音楽が持ち込まれての話。コラボレーションといいながらも互いの持ち味が互いの音世界の壁をぶち壊してくれるところまで行かず、結局はそれぞれの領域の中で音を奏でている気がするのはちょっぴり残念です。もちろん、曲の節々に感じられる土臭さやギターの逞しさの復権はコラボレーションの産物。ただ、水平方向の音楽の世界の広がりは充分なので、2つの個性で垂直方向のドラスティックな変化を見てみたかったです。スローテンポのクリアなギターの美しい曲に、語りかけるボーカルをのせた"Cupid"やTeenageとは違う牧歌的な"Vampire's Claw"なんかも良いんですが、あまりにも「いかにも」って感じがちょっと弱い。最後の押しが足りない感じです。

Four Thousand Seven Hundred and Sixty-Six Seconds: A Short Cut to Teenage Fanclub  (2002)

★★★☆
昔のベストアルバムは時間軸の流れでの構成が普通でしたが、最近のManic Street PreachersやU2のものは楽曲を軸にした構成になっているにも拘わらず、長期的スパンでの曲が自然に流れ、楽曲の普遍性と継続したコアコンピタンスへの集中に改めて気づかされます。このベスト盤も手法としては同じで、当初のザラザラした部分が活動を通して少しずつこなれて手触りが良くなったという変化はあるものの、どの年代の曲も前後とシームレスにつながっているのは驚きです。ひっくり返りそうになった邦題「ヒット大全集」も実に的を射ていて、Teenage Fanclubの音と認識していてもいなくても、あるいはそんな曲があってもなかっても、確かにどこかで聴いたことがある、あるいは聴いた気がする曲の連続で、リアルでバーチャル、体験済みで未体験のヒット大全集。彼らはトータルでは音もスタンスも至ってニュートラルなのに、凄まじいのは聴き手の時間感覚をグチャグチャにして、その断片から抽出した要素をノスタルジーという集合にまとめあげてしまうパワー。例えば、"The Concept"を聴いていると、初めて聴いたのが1999年だというのに高校から大学時代の甘酸っぱい思い出ばかりが次々に引き出されてきますし、ほぼリアルタイムで聴いた"Songs from Northern Britain"の曲でも思い出すのは全く関係のない大昔の出来事ばっかり。少し前に読んだ本に「コンセプトとは概念ではなく、本質とか差別的優位性と訳す方がより明確になる」とあったんですが、"The Concept"の持つノイジーで金属的なバックと時間と体験の関係を繋ぎ変える仕組みはまさしく彼らの本質であり差別的優位性だと思います。3曲の新曲もコアは変わらず彼らと自分の過去/現在/未来のどこにもリンクでき、聴き続けると訳が分からなくなってくる感もありますが、彼らのブレることないコンセプトが詰まった21曲はホッコリ暖かい気持ちになれます。(2002/11/24)

Man-Made (2005)

★★★☆
Jad Fairとのコラボアルバム、ベストアルバムを挟んた4年半ぶりの7thアルバム。プロデュースにJohn McEntireを迎えたとはいえ、この期に及んでの大きな路線転換はなく、前作"Howdy!"と比べるとノイズ成分が多めに配合されたりしてはいますが、実験的サウンドまでは行かず、基本は従来通りのギターロック。貫禄を感じさせるメロディと淡々とリズムを刻むギターとトボけた音色で叩き続けられるコミカルなタムの1stバースが印象的なリードトラック"It's All in My Mind"で始まり、ノイズを纏って太めになったギターが流麗なメロディと心地良過ぎるアレンジをザラついたテクスチャに加工した"Time Stops"への流れは、一聴してTeenage Fanclubと分かりますが、マンネリ感もなく新鮮に響いてきます。それ以降も中盤にかけては、金太郎飴的展開になりそうな楽曲に巧い具合にクセと表情を付けるサウンドプロダクションが奏功し、老練ながらも若々しさいポップセンスを巧みに表現。但し、後半は次第に既聴感が増大し、佳曲もあり、聴いているときにはスンナリ身体に飛び込んでくるものの、聴き終わった後のインパクトはやや減少。3人のソングライターの曲が基本的に幸か不幸か同じベクトルを向き、互いのブレの範囲内に収まっているTeenage Fanclubの受け入れざるを得ない宿命かも知れませんが、前半勢いがあっただけに後半粘りきれなかったのが非常に残念。(2005/5/23)