Mus!c For The Masses
Home > Best > My Best of '01
My Best 10 Albums in 2001

Let It Come Down / Spiritualized
ブラス、ストリングス、コーラス、ピアノ、ギターを丁寧に重ねて作られた世界は、"Ladies and Gentlemen〜"にあった浮遊感や、ライブ盤のような緊張感溢れるサイケデリアは感じられないものの、メロディアスな楽曲だけでなく、その周りを飾る音の説得力もケタ外れです。全体的に多少緩いのが気になりますが、それでいて常習性は恐ろしいほど高く、今回の楽曲群に関してはヒューマンパワーを中心に据えた方法論は大正解だと思います。壮大な"Stop Your Crying"には素直に感動。

Exciter / Depeche Mode
前作の"Ultra"とその後のシングルを聴いた時点で見切りに近い状態だったので、彼らがここまでのアルバムを引っ提げて戻ってくるとは驚きました。アブストラクトっぽさを抑えて素直に持ち味を生かしたMartinのメロディ、前作とは比べ物にならない程に表現力を取り戻したDaveのボーカル、そしてMark Bellによるところが多いと思われる微妙に今っぽさを感じさせる音づくりと、これまでのモヤモヤを完全に吹き飛ばす大復活劇です。ラストの"Goodnight Lovers"の美しさにも感無量です。

Things We Lost in The Fire / Low
基本的にはアルバムのどこを切り出しても同じようなギター、リズム、ピアノ、ボーカル、コーラスで作り上げられるシンプルな構成の曲なのに、それぞれの曲のアイデンティティが非常にしっかりしていて、全く飽きることがありません。アルバムの雰囲気を演出するのに重要な役割を果たしているのは音の密度の変化、特に密度が小さくなる部分で、まるで無音を発することができる楽器を演奏することで曲を完成させた印象さえあります。今年聴いた中で最も繊細で美しく、正面を向いたアルバムです。

Rock Action / Mogwai
前作とは変わって、キーボードとボーカルの割合を高めることで分かりやすくなったこの作品に、これまでの彼らのファンは複雑な思いを持つかも知れません。ただ、こうしたアプローチが彼らの特徴であるモノクロの映像的音楽に微妙な色をつけ、さらにダイナミックレンジの振れが狭くなっているのに、感情への直接的な訴求力を強くしています。美しさと力強さのバランスも絶妙で、これまでの彼らの音に心底は馴染めなかった人にもオススメできる彼らの魅力を新しい視点から表現した一枚です。

It's A Wonderful Life / Sparklehorse
ほとんどギターのノイズを脱ぎ捨てたDave Fridmannワールドは意外でしたが、色々な音を使いながらも散漫な印象になっておらず、過剰な演出を避けて原曲のメロディラインの良さを生かすアプローチは大成功です。シンプルで完成度の高いバッキングに頼りなさげなボーカルと主張の強いコーラスが絡み合って、そこらの内省ロックと一味違うスケール感とドリーミーさを両立させた世界を描き出しています。多少タッチは違いますが、Lowにも真正面から対抗できる美しさを持ったアルバムです。

Origin of Symmetry / Muse
どことなくウェットなRadioheadフォロワーといった印象のデビューアルバム"Showbiz"のイメージをぶち壊したのが2000年のサマーソニックのアクト。何かに取り憑かれたようにギターをかき鳴らしてノイズを発するライブそのままに力強さが満ちています。前作での評判を振り払おうとするようなダイナミズム溢れるボーカル、タイトでクールなベースライン、個性の強いギターとそれぞれのアイデンティティが高いレベルで結実していて、聴いているうちに鳥肌が立ちそうでした。予想を遙かに超えた大プッシュ盤です。

The Photo Album / Death Cab for Cutie
どちらかというと地味なDIY.感覚の強いギターロックですが、アレンジや効果的なエフェクトによって一つ一つの音の粒の存在感がハッキリ示されて、曲と共にそれぞれの音の芯の強さを感じさせます。ボーカルの表現方法や原曲の持つ体感温度、加えられるアレンジは奇を衒わない常識的なアプローチですが、曲毎の微妙な変化がそれぞれの曲の大きな表情の変化を生み出しています。些細なことがあるだけで大きな変化を感じるような僕らの日常、そんなシーンをキャプチャしたフォトアルバムです。

Here's to Shutting up / Superchunk
メロディが良くてポップ、パンキッシュかと思えばノスタルジック。楽曲の持つバラエティの豊富さを武器にしながら、ギターポップバンドが陥りやすい金太郎飴現象をアッサリと回避。家内制手工業的な素朴さに加えて、キーボードやSEによるコクと深みの付加も大成功で、スピード感も手伝って自然に身体が動いてしまうヴァイヴも感じます。レーダーチャートを作ったら正多角形になりそうなほど個々の要素のバランス感覚も良く、文句のない楽しいポップミュージックが全編に渡って詰まってます。

Get Ready / New Order
ソロプロジェクトや"Beach"のサントラに提供した曲からギター中心の音になる予感はありましたが、ここまで力強いアルバムに仕上がるとは正直思いませんでした。Electronic経由の骨っぽいギターとMonaco経由のノスタルジックなメロディのハーモニーは、7年間の空白を埋めるだけでなく、Joy Divisionからの連続性まで作り上げたようです。Primalのメンバーが参加した今の音よりも、いかにもNew Order的なヘボヘボな音の方がデキがいいのも何となく納得。Billy Corganも楽しそう。

Rings Around The World / Super Furry Animals
前作の"mwng"でも予兆はありましたが、今作は前作よりもさらに楽曲のバラエティが広まっていて、驚異的なペースのリリースによる疲弊感など微塵も感じさせません。ノイズやSEなど様々な音をゴッタ煮感覚で詰め込んでいるのは相変わらずですが、曲自体が分かりやすく整理されてクセのあるアレンジでも輝きを失わない強靱さを手に入れたため、これまでにないほど彼らの魅力がストレートに現れています。自由奔放に動き回りながら常識の枠を壊してながら進んでいく姿勢には共感です。