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My Best 10 Albums in 2002

 1. The Last Broadcast / Doves
基本的な骨格は前作と同じですが、意外にも開放的なアレンジと様々な音を丁寧に重ねて曲に表情をつけるアプローチによって、楽曲の拡がり、深み、流れの一貫性が予想を超えるレベルに到達。直接的なメランコリーを排しながらも圧倒的なスケール感を得た楽曲は、アルバムを通してゆっくりと感情の弦を揺り動かし続け、アルバム後半でシッカリと共振させてくれました。前作のデキを維持できるか心配でしたが、アッサリと別次元へとステップアップしていて、次の着地点が想像できないほどです。(2002/12/25)

 2. Resigned to Life / Minuteman
初期衝動爆発型でも大合唱型でもルーツ掘り下げ型でもないギターロック。感情表現にフィルタをかけたグラマラスなMuseのような雰囲気を持ったアルバム は、ナイーヴさと力強さをシナジックに連携させた秀逸な曲の連続で、曲の数だけ存在するギターの表情とアレンジを持つ引き出しの豊かさには恐れ入ります。2002年の本流の音ではないですが、バーチャル化した本流に痛烈なカウンターを浴びせるクオリティがあります。最近店頭でも見かけるようになったので、是非聴いてみてください。(2002/12/25)

 3. Scorpio Rising / Death in Vegas
前作での全ての曲が消失点へと向かう路線を捨て去って、消失点から突然出現したような陽性サイケデリアを突きつけられたときにはちょっとフリーズしかけました。それでも、Paul WellerやLiam Gallagherといったビッグネームをゲストに迎えてあっけらかんとロックを展開しても色褪せないオリジナリティとゲストのパワーを利用した「柔よく剛を制す」的サウンドプロダクションは見事。さらに、Dot AlisonやHope Sandovalを迎えた渾身の直球のキレも抜群で即効性と常習性が共存したアルバムです。(2002/12/23)

 4. The Way I Feel Today / Six. By Seven
新たにキーボードが加わった影響なのか、前作までの息苦しいまでの重さが和らいだ代わりに、開放感を感じさせるポップさをツールに加え、早速それを使った深みあるサイケデリアを展開。特に、オープニングからの数曲は、軽すぎず、重すぎず、これまでの印象を覆す取っつきやすさで、従来のファンにも新しいファンにもインパクトは絶大です。もちろん、彼らにとってポップさはあくまでもツールであって、表現の根底にあるサイケ感覚は維持したままで、そこら辺に転がっている音とは一線を画しています。(2002/12/22)

 5. Yoshimi Battles The Pink Robots / The Flaming Lips
前作と比べると突拍子もないアイデアが散りばめられている、と書くと散漫なイメージもありますが、実際はそれらのアイデアは論理的に配置されていて作品としての統一感を高める方向に働いています。自由奔放に飛び回る音で描き出された世界は、完成するための最後のピースを敢えて埋めないことで不格好ながらリアリティを持った美しさを演出すると同時に、欠けた部分への没入感を感じさせてくれます。彼らの世界と現実世界の間の揺り戻しの頻度とタイミングも文句ナシです。(2002/12/22)

 6. Yankee Hotel Foxtrot / Wilco
オルタナカントリーのコンテキストで鳴らされていた音はミックスにJim O'Rourkeを迎えて音響系へと構造改革。360度から意表を突いた音が飛んでくるものの、これが意外と枯れたボーカルに嵌っていて、「構造改革なくして成長なし」も強ち嘘ではないかなという気にさせます。ノイズとSEにまみれながらも本来の土埃りを感じさせるメロディも健在で、オリジナリティを持っている分、ハッタリの利いた音処理の中にも埋もれず輝きをシッカリと放てる見本のようなアルバムです。(2002/12/21)

 7. About A Boy / Badly Drawn Boy
「今イギリスで一番良いメロディを書く男」と騒がれても、どこか人を食ったような態度が引っ掛かって「そうか?」と思っていたのも今は昔。態度はそんなに変わってないものの、自分名義でもサントラの意識があるためかBadly Drawn Boyであることのアクを抑えた楽曲は、シンプルで優しいメロディがズラリ。自己の世界と映画の世界を共存させるアレンジも秀逸。アルバムに一貫して流れるストーリーを軸にした展開で、散漫さが取り除かれ、長所がグッと分かりやすくなっています。(2002/12/21)

 8. Up The Bracket / The Libertines
もったいぶらずに結論から入る欧米人のロジックと同じく、3分間に表現のエッセンスのみを含ませる手法は果てしなくポップで直球のメロディを伴ってパワー全開。The Strokesあたりと比べると洗練さに欠けた部分や稚拙な面もありますが、弱みを補うよりも強みを強調するアプローチが成功しています。とかコムズカシイことを考えるのもバカらしくなってしまうくらい、若さとスピード感に溢れた楽しいアルバムです。ただ、次作を同じロジックで乗り切れるかどうかが明暗の分かれ目かも。(2002/12/21)

 9. Point / Cornelius
アルバム全般に渡ってクッキリしたエッジの中に静かなグルーヴが脈々と流れ、スマートに、小気味良く様々な表情を見せてくれる部分に完全にヤラれました。音と言葉の全てを抽象化しながらも小難しい袋小路に迷い込むことなく、充分にポップミュージックとして成立している器のデカサはサスガです。フジロックでの映像的なサウンドマジックは「あの場」の力を借りた部分がないとは言わないけど、ヘッドフォンステレオと通勤電車の「日常の場」でもモノの違いを証明しました。(2002/12/19)

10. Human Conditions / Richard Ashcroft
The Verve時代のように、張力と揚力がギリギリで均衡した凧のように切れて飛んで行ってしまいそうな凄みを感じることはありませんが、深くて大きな楽曲が内包しているエネルギーはベクトルこそ違うもののThe Verve時代のエネルギー総量と比べて全く遜色ありません。メインストリームさえオルタナティブになりそうな多様化したシーンの中で、全くブレることなく、今自分自身が作れる音を自信満々に鳴らしている様には感服です。そろそろ呪縛に囚われてる場合じゃないのかも。(2002/12/19)