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My Best 10 Albums in 2005

 1. Takk... / Sigur Ros
美し過ぎるサウンドが現実感を喪失させ、結果的に"Agaetis Byrjun"の魔法が溶けかかった"( )"から3年後、その魔法は再起動。圧倒的な美しさを基軸にしながら、ライブでの激しさを巧妙に取り込み、非現実的世界と現実世界をシームレスに繋ぐメビウスの輪のような展開。美しさを究極に高めると同時に、楽曲のポップ度を増強しているため、前衛的アート感を嫌う人にも余裕でリーチ可能で、孤高でありポップ、激しく美しいというSigur Rosが持つ全ての魅力がパッケージングされた内容。(2005/12/29)

 2. Leaders of The Free World / Elbow
これまで目立っていたアート感やスノッブさを控え目にし、自分達の拘りを捨てることなくオープンマインドへの変貌を感じさせる作品。ミルフィーユのように様々な音を多層化して作り出す微妙な色合いのサウンドは、渋さと繊細さ、ダイナミックさが共存する豪華仕様で、断続的に押し寄せるさざ波のようなサウンドが感情中枢をジワジワと浸食。騒がしいメインストリームから一定の距離を保って自らの音を紡ぐ過程で、必然的そして連鎖反応的に持ち味が増幅し、それがブレイクスルーとして結実した傑作。(2005/12/29)

 3. Digital Ash in A Digital Urn / Bright Eyes
同時リリースのフォーク/カントリーをベースとした"I'm Wide Awake It's Morning"とは異なり、ループや打ち込みなどのテクノロジーを多用しつつ、より多彩な生楽器群を取り入れたバンドサウンドを展開。緻密に練られた構成というコインの裏側である冗長さを持った表現方法がメロディの輝きを多少弱めているものの、元の輝度が高いので深刻な問題はなし。フォーマット上は独立した2枚は補完関係にあり、特にライブで互いの強みを引き出す強力なツートップとして機能する予感。(2005/12/29)

 4. The Great Destroyer / Low
Steve AlbiniやTchad Blakeを起用して独自の世界を独走した近作に対して、Dave Fridmannを迎えて水面下に潜っていた重苦しさや暴発寸前のエネルギーを表面化させ、スロウコアから大きく踏み出したサウンドを提案。序盤では歪んだギターで繊細なボーカルをガードする新生Lowを強烈に印象付け、中盤ではポップサイドの素顔や美しいハーモニーを奏でる従来型世界を展開し、終盤では新旧のサウンドを衝突させながら安定化させるという離れ業を成し遂げた地味ながらもハイレベルな作品。(2005/12/28)

 5. Some Cities / Doves
十八番である哀愁感を漂わせる楽曲に留まらず、ライブで得た力強さや各国の音楽的要素をインストールした内容は、耽美的な陰鬱さの1st、エネルギッシュなメランコリーの2ndと比較するとトータルな世界観はやや脆弱。それでも、ダイナミズムを感じさせるなギターとハイハットの振動音が生々しいドラムスとのコンビネーションがイニシアティブを取る曲が増えていて新味はタップリ。長さの割にはボリューム感も充分で、新しい世界に踏み出したエネルギッシュなオヤジ達の底力に脱帽。(2005/12/28)

 6. Playing The Angel / Depeche Mode
先行シングルのサウンドとアートワークから、90年代前半のスタイルへの再接近をある程度予感したものの、前作で手中に収めた熟成に以前のお家芸のパーカッシブな装飾を施したサウンドは期待以上のデキ。特に、ソロを聴いた限りでは百害あって一利なしと思われたDave Gahanの楽曲が良く、かつてのDepeche ModeのDNA復活に大きく寄与。暗く、耽美的なサウンドはU2やNew Orderのように直感的ではないものの、新旧ファンの望む最小公倍数的サウンドにリーチした重要作品。(2005/12/27)

 7. With Teeth / Nine Inch Nails
様々なところで見る 「ポップになった」という「ポップ」が一般用語ではないことは理解していたものの、他に類を見ない強烈なアイデンティティを放つ楽曲は、ながら作業に楽々と侵入し、その作業を完全に停止させてしまう強靱さ。表現者サイドの自己表現に終始した音楽は、好みの波長が合うかどうかが評価の絶対尺度で、リスナーサイドへの妥協や諂いは一切なし。表現者としての立場をストイック貫いた音は鋭く研ぎ澄まされ、シーンという短期間の非本質的な変動要因に鈍った感覚を激しく刺激。(2005/12/27)

 8. Waiting For The Sirens' Call / New Order
デビューから25年近く経っているのに円熟も深みも感じさせない「凄み」が詰まった4年ぶりの新作。8年の空白を埋めるために多少「頑張った」感を表に出した"GetReady"とは違い、今作はごく自然体で、斬新さはないものの、過去の財産を取り崩しただけの惰性もありません。Peter Savilleのシンプルかつ必要情報が表現されたジャケットと同じく、基本アーキテクチャに恣意的な作為がなく、バンドの年齢を重ねる毎に笑うほど純真無垢さが増幅されていくという強みを存分に発揮。(2005/12/26)

 9. The Understanding / Röyksopp
一心不乱な生真面目を感じさせつつも、パラノイアックな完全性の追求ではなく、現実的な禁欲性と快楽性のバランス維持を実現。さらに、堅さと柔らかさ、クールさと下世話さを同梱させながら、全体的なトーンを抑えて不思議な荒涼感をアルバム全体から輻射。打ち込み主体ながらクラシック的要素を感じさせたり、無機的なリズムから暖かさを得る二面性が特徴で、家で聴くポップミュージックとしても、フロアで踊るダンスミュージックとしても対応可能な2-way仕様の会心作。(2005/12/26)

10. The Last Romance / Arab Strap
近作のリズムボックスを使った客観的なエロティシズムから、生々しいドラムスと楽器群を使った現実感を伴うロマンティシズムへとシフトした内容。重さと軽さと怪しさを絶妙にブレンドした内容はシーンからの独立性が高く、唯一無二の世界を構築。前作でもこの方向を示唆する断片はあったが、今作はそこへ着実にアプローチした印象が強く、決してシーンの表舞台でスポットライトを浴びることはないものの、自らの進む先を自らの照度の明かりで照らし続けられる「確かさ」を持った佳作。(2005/12/25)