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My Best 10 Albums in 2006
※ カッコ内はそのアーティストの通算選出回数(今回を含む)

 1. Whatever People Say I Am, That's What I'm Not / Arctic Monkeys (1)
                                                                                                         
近年シーンを席巻している輪郭をボカした説明的な80年代的サウンドとは一線を画し、ガツガツした攻撃的な楽曲は単純にカッコ良く、シンプルなロジックかつ硬質なサウンドが鈍った耳を強烈に刺激。基本的には倍速再生のようなスピード感溢れるロックで、多少The Libertinesの影を感じさせつつも、レイドバック気味の楽曲なども完全に手の内に入れていて、勢いオンリーではないことを高らかに宣言。ハイプ論争は来年リリースの2ndまで先送りして、空きができた2006年の今、この音をトライすべき。(2006/12/23)

 2. Someone to Drive You Home / The Long Blondes (1)              
ファッショナブルな出で立ちからオシャレ系サウンドかと思いきや、実際は♯や♭を巧みに使い、平均律で奏でられていることを疑いたくなる程に予測不可能なロック/ポップスの連発。アクの強いメロディは低音から高音まで豊かな声量で自然に歌うKate Jacksonのボーカルが巧い具合によって中和され、不快感一歩手前の絶頂感を放出。ポストFranz Ferdinandっぽい雰囲気もあるものの、想定の範囲内と範囲外を絶妙のタイミングと頻度で行き来するポップセンスは本家を大きく飛び越えるデキ。(2006/12/23)

 3. Black Holes And Revelations / Muse (3)                                   
作品毎に表現メソッドをドラスティックに変えてきた彼らにしては珍しく、前作を深化させるアプローチだけに、これまでの様に強烈なインパクトないものの、スケール感は同時代のバンドの中では唯一無二。前作で多少感じられたアルバムトータルの美意識に拘る姿勢のブレを排除し、全ての曲を意図した表現軸上にプロット。その結果、前時代的な仰々しい美しさは更に拡張され、メインストリームとオルタナティブの間で喘いでいるバンドの音を一蹴。途轍もなく大きな自身の音への自信を感じさせる内容。(2006/12/23)

 4. How We Operate / Gomez (2)                                                   
デビュー当初は泥臭さと電子音を正面衝突させたサウンドが異彩を放っていたものの、今作では過去に獲得した多彩な音楽性の軸を活かしたブレイクスルーに成功。全体的に分かりやすさとポップ度を強めながらも、自分達のアイデンティティはキッチリと保守。近作のGomezサウンドの一つの完成型であるフロア指向の渋めソングやクッキリした音の粒を有機的に絡めた新感覚のカントリー、ドリーミーなサウンドなど、集大成的かつ今後のビッグバン的インフレーション的発展も予感させる傑作。(2006/12/23)

 5. Empire / Kasabian (1)                                                               
楽曲の牽引力がリズムに大きく依存していた前作に対して、全パートが高い次元で融合して「伸びしろ」を完璧に体現したフロア対応型ロック2.0。個々の曲のレベルとその完結性の高さに加えて、オリエンタルな味付けや無機的な音、美しいメロディにウエスタンっぽい泥臭さと、多様なサウンドながらもアルバム全体に横軸を通した統一感は見事。地を這うような太いグルーヴはスマートさには欠けるものの、前作の幼さを払拭した筋肉質のサウンドは、即効性と常習性が共存する「一気に化けた」作品。(2006/12/23)

 6. Superbi / The Beautiful South (2)                                             
今作も春風のように爽やかなメロディと辛辣で風刺的な歌詞のコンビネーションで、デビュー15年を経過しても全くブレない驚異のバンドアーキテクチャを継続。一時停滞期はあったものの、盟友Fatboy Slimとのコラボを経た後のメロディ重視への回帰が奏功し、今作も生命線であるメロディのクオリティは抜群。さらに、これまで以上に工夫が凝らされたアレンジにより、アルバムを通してポップミュージックの楽しさを表現。「イマサラ感」の払拭は難しいものの、出会ったのに聞き逃すのは勿体ない作品。(2006/12/23)

 7. Born in The U.K. / Badly Drawn Boy (2)                     Badly Drawn Boy - Born in The U.K.
深めのリバーブで音空間を広めに取ってシンプルなピアノとギターを中心にしたアレンジが甘めのメロディにフィットした楽曲群が、微妙な色合いの変化によってアルバムに秋色をインストールした作品。過度の感傷を排除して仄かな暖かさを感じさせるメロディは、最近燻っていた「あとひと息」の想いを完全に払拭し、寒い冬の朝に毛布にくるまりながらウトウトするような寒さと暖かさと気持ち良さ感じさせる内容。Damon Goughの卓越したソングライティング能力が過不足なく最高のカタチで結実。(2006/12/23)

 8. Dreamt for Light Years in The Belly of A Mountain / Sparklehorse (2)
                                                                                           Sparklehorse - Dreamt for Light Years in The Belly of A Mountain
儚いメロディを基調に、生のストリングスやSEを絡めたセピア色の風景は5年前に止まった時計を自然に再始動。個々の音は繊細で互いの引力も弱いにもかかわらず、何故かバラバラにならずに定常状態を維持。そして、隣の街から漏れて来たような音は作り手にとっての心象風景にもかかわらず、不思議とこちらの心の揺れと共振。無類の無音のデザイン力によって、静寂の激しさを巧妙に表現するサウンド構築力も健在で、Grandaddyなどの優れたバンドの解散が相次ぐ中、最後の砦を死守。(2006/12/23)

 9. The Warning / Hot Chip  (1)                                        Hot Chip - The Warning
比較的ポップなメロディを冷めたダンス指向アレンジとユニセックスなボーカルによって、ヒンヤリした温度に仕上げた不思議な感触の作品。メロディ周りとリズム周りのアレンジの独立性が高く、ポップ度が高くなるとリズムが前面に出て温度感を抑え、リズムが強調され過ぎると美しいコーラスで人肌の温かさを付与する自己制御性を内蔵。様々な排他的な個々の魅力が牽制しあって相乗効果を生み出した内容も非常にユニークで、幅広いリスナーにリーチ可能な音楽性は現在も今後も大きな強み。(2006/12/23)

10. Jarvis / Jarvis Cocker  (1)                                                        
スローからミッドテンポを中心にした楽曲は人肌の温かさと柔らかさを携えた極上のメロディの連続で、『年間ベスト』なんていう言葉が似つかわしくない程に奇を衒わないポップミュージック。"Common People"のように時代とシンクロすることによる爆発的な煌めきはなく、確固たる自信が感じられない一方で、丁寧に練り上げられた内容は非常にハイレベル。セールスが落ち込むに連れて世捨て人的立場になった今、再度巻き返すのは困難の極みながらも、前進への意志を静かに、強く表明した作品。(2006/12/23)