切なさ度が高めのメロディを薄めのリバーブで覆った楽曲群には、耳に入った途端に過去の大切な瞬間にシンクロする即効性の高さと聴き返すに連れて良さが拡散する浸食性の高さが共存。ギターも、ピアノも、ハープも特別な使い方をしている訳ではないにもかかわらず、瞬時に空気の温度と時間の流れを変えてしまう音楽は、The
Thrillsの晩夏の海のストーリーをDeath Cab for
Cutieのクールなセンスで仕上げたような内容で、全世代にとって悶絶必至のノスタルジー。(2008/12/26)
ブルースやトラディショナルなロックをベースにしたサウンドはThe White
Stripesとベクトルこそ同じものの、そのサウンドはよりリッチかつシンプルで洗練された印象。ドーピングによるお手軽な爆発力増強ではなく、音の繊維一本一本まで鍛え上げた鋼のようなしなやかさがあるため、シンプルなアレンジでも力強さは抜群。その一方で、冗長にならない範囲で遊びの要素を取り込んでストイックになり過ぎることもなく、リアリティに付随する切迫感や息苦しさも皆無。ギミックなしの真剣勝負。(2008/12/26)
9. Viva
La Vida Or Death And All His Friends / Coldplay (2)
近作のオルタナティブへの露わな憧憬は陰を潜め、ポップスに重心を残しながらオルタナティブを俯瞰した内容で、エモーションを外部から注入するのではなく、丁寧に音を紡いだ結果として染み出して来るような感覚が印象的。線の細さが目立つメロディを弱点ではなく、逆に長所として捉えた上で新しいサウンドプロダクションを取り入れた姿勢も建設的。ドラマティックでありながら嫌みな部分は少なく、映像的でスケール感の大きさも好印象。そして、何より"Viva
la Vida"のキラーチューンぶりは見事。(2008/12/26)