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My Best 10 Albums in 1998

Kingsize / The Boo Radleys
年末に飛び込んできて一気にはまってしまった一枚です。目立って新しいアプローチはないのですが、このチープでそれでいてデジロック風から歌謡曲風、さらには無機質なハウス風のダンスミュージックとやりたい放題の幅広い楽曲が楽しい一枚です。ジャケットのダサさや、タイトルのどうしようもなさも考え抜かれた上での作戦だろうな、と勘ぐってしまうほどの緻密でしかも親しみやすい曲のオンパレード。彼らの曲を聴いたことのない人にこそ勧めてみたい1枚です。

Mutations / Beck
「旅先から友達に宛てたポストカードみたいなアルバムにしたい。僕は元気だよっていうような」と語っていたように、前作の練りに練られたサウンドの集大成と比較すると、いかにも地味なアルバムですが、良質のローゲージの毛糸でざっくり編まれたハンドニットセーターのような味わいです。近くで見ていると編み目しか見えないのに、離れて見ると凝った模様がたくさん編みこまれているという感覚。新しくない?地味?視点を変えてみましょう。そんなことはないはずです。

This Is My Truth, Tell Me Yours / Manic Street Preachers
前作あたりから従来のハードでソリッドなギターが次第に陰を潜め、ドラマティックなアレンジの曲が増えたのは、Richyのことだけが原因ではないはずです。この作品でも演出過剰なドラマティックな曲が多く含まれていますが、そこでは夢物語ではない現実がリアルに描写されているので嫌味と心地よさの限界で留まっているように思えます。見かけはソフトになっていても、中身は何も変わっていません。やっぱり、心に突き刺さってくる感覚は彼ら独特のものだと思います。

Tin Planet / Space
全体からB級の匂いがプンプンしてきますが、それが楽しくて笑顔全開になってしまう不思議な一枚です。ボーカルも変な声ですし、曲自体もヘンテコリンなものが多いのですが、メチャクチャ完成度は高いです。1曲1曲が戯曲のような雰囲気を持ち、単なるポップアルバムとは一線を画しているように思えます。計算され尽くし、狙い尽くしたB級さですが、彼らのキャラクターがその嫌らしさを緩和しています。The Boo Radleysのネジを数本緩めたような感じです。

Version 2.0 / Garbage
フジロックで地面を揺らしたGarbageの2ndアルバムは、完璧に計算された緻密な音で埋め尽くされています。マジメにコツコツと作り上げたスタジオワークの賜物のようですが、これがライブでShirleyがカッコ良く歌うととてつもないグルーヴを生み出します。このサウンドを平均年齢40歳のバンドが叩き出してると思うと、自分も頑張らなきゃって思えてきます。とにかく、スキのないカッコ良さを感じられる一枚です。Shirleyのセクシーさとキュートさも文句なし。

Palm Tree / Superstar
全体としては"The Bends"の頃のRadiohead風ですが、彼らよりも音の密度が薄く、ややポップな感じの曲の多いこのアルバムは、今年の上半期に最高にはまった一枚です。特に、後半のオフトーンの曲は、歌詞を読まなくても心が揺さぶられるような名曲揃いです。サウンドが映像を浮かばせるタイプの音楽といえるかもしれません。デカイ音だけが心を鷲掴みにできるわけではないというお手本みたいなアルバムです。

This Is Hardcore / Pulp
"Different Class"の喧騒の後にリリースされたこのアルバムは、老いへの恐怖や空虚な暮らしなど日常的なテーマが描かれていて、若干暗めです。音のほうも、スローな曲が多く、Jarvisのボーカルを最大限に生かすようなアレンジになっています。「ちょっぴり変わり者だけど、きっとこの人は素敵な人なんだろうな」と思わせてくれる曲が揃っています。シングルとして聞くとインパクトが少ないですが、アルバムを通して聞くと迫ってくるものがあるはずです。

White Magic for Lovers / Drugstore
Thom Yorkeがゲスト参加していることが話題になったアルバムですが、それを除外して内容だけでも良くできたアルバムです。特に、前半部の"El President"から"Sober"へと繋がるあたりは聞いていてゾクッとするほどのカッコ良さでした。初めて聞いた時には今年のベストかもと思えるほどの即効性があったのですが、やや持続性に欠けたような気もします。他に良いアルバムが出てきただけかもしれませんが。色んな要素が満載の楽しいポップアルバムです。

Long Shot for Your Love / The Pale Fountains
「なぜ今ごろ?」という想いは隠せないものの、リアルタイムで名前は知っていたのに通りすぎてきた僕にとっては絶好のタイミングでのリリースでした。ネオアコースティックの最後の良心ともいうべき「青さ」が潔くて清いです。今の音楽と並列に並べられると、音の密度の点では圧倒的に不利ですが、そこは楽曲の良さとトータルのピュアさが補っています。当時を思い出させてくれる80年代からの思いもよらない贈り物に心は完全に「あの頃」に戻ってしまいました。

Quench / The Beautiful South
The Beautiful Southといえば、爽やかなアコースティックサウンドに強烈に風刺の利いた曲を作るバンドと決まっていたはずですが、このアルバムでは華麗に変身を遂げました。やや軟弱な感もあったサウンドは元同僚のNorman Cookがリズムコンサルタントとして参加することによってリズムセクションがタイトになり、アルバム全体もグッとしまった印象を与えます。特に先行シングル"Perfect 10"はこれまでになく力強い曲でカッコ良いです。