| The Art of Noiseは1983年に元The BuglesのTrevor HornとNew
Musical Express誌のライターのPaul Morleyによって設立されたZTTレーベルの第一弾のアーティストである。ファーストアルバムリリース時のメンバーは、Ann
Dudley, JJ Jeczalik, Gary Langan, Trevor Horn, Paul
Morleyの5人である。エミュレーターやフェアライトという当時の最新のシンセサイザーによって日常のあらゆる音素を楽器に変え、それにより音楽を作って行くというアプローチは非常に斬新なものであった。
The Art of Noiseは1983年9月にイギリスで"Into
Battle"という12インチシングルでデビューした。このシングルに収められた"Beatbox"は全米のダンスチャートで大ヒットを記録する。また、"Close(to
The Edit)"や"Moment in
Love"もダンスチャートを中心にしてヒットする。さらに、1984年にこれらのシングルを含むファーストアルバム"(Who's
Afraid of) The Art of Noise"もそのアプローチの目新しさも手伝って、スマッシュヒットを記録する。さらに、ZTTレーベルの得意技ともいうべきリミックスバージョンのリリースも行われるが、Frankie
Goes to Hollywoodほど連発することはなかった。
1986年にThe Art of Noiseはシングル、アルバムをリリースするが、この時点でバンドはZTTレーベルを離れており、Trevor
HornとPaul
Morleyの2人もバンドを去っているようだ(詳しい時期などは不明。アルバムのクレジットなどによる)。この2人のブレーンを失ったことは彼らのとっては相当大きな損失だっただろう。しかも、サンプリングが一般化されていき、テクノロジーのみでは新鮮さや独自性を主張するのが難しくなって来ていた。China
Recordに移籍後のThe Art of Noiseの新作は1985年にリリースされた"Legs"である。この曲は前作を引き継ぐようなサウンドで、強力なデジタルビートを前面に押し出している。新しさとしては人間の声によるボイスヒットを多用するようになったことだろう。しかし、基本的には変わってはいない。
大きく変わったのはセカンドアルバムの先行シングルとしてリリースされた"Peter
Gunn"である。この曲は昔のアメリカのテレビドラマの主題曲のカバーであり、しかもこれまでのようにシーケンサーとシンセサイザーだけではなく、Duann
Eddyが演奏する生のギターを加えている。サンプリングという完璧なデジタル化されたサウンドと人の弾くアナログのギターの取り合わせはアイデアとしては面白く、ソコソコのヒットを記録した。そして、同年セカンドアルバム"In
Visible Silence"がリリースされる。
その後、彼らは様々な試みをする。映画Dragnetのテーマソングを担当したり、Prince & The
Revolutionの大ヒット曲"Kiss"をカバーしたりもする。このカバーでは始めてボーカリストを起用している。それもなんとあのTom
Jonesである。この取り合わせも意外性をついてはいるのだが、結局狙いはDuann
Eddyを起用したときと同じで斬新なアイデアではなかった。1988年に、China Recordから12インチバージョンが収録されたベスト盤"The
Best of The Art of Noise"がリリースされている。 |