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ベイサイドジェニーに到着したのが大体6時過ぎ、6時開場ということだったが、入り口前には客があふれている。どうも、客入りに手間取っているようだ。結果的にはこの遅れが最終的にライブの開始時間の遅れにつながり、最後まで見ることのできない人が出てしまった結局、中に入れたのは6時20分くらいだっただろうか。その後も、数百人の観客が外で待っていた。予想していたよりも男が多い、しかし若い。
ハイボールを飲みながらミキシングテーブルの前に立っていると、段々客が増えてきた。しばらくすると、オープニングアクトのPealoutがスモークの中から登場した。彼らは日本のバンドだが、歌詞は英語のようだった(イマイチ聞こえなかった)。基本的にはギター、ベース、ドラムスのシンプルなメンバー構成の割には分厚い音を出していて、これまでの日本人のバンドにはない雰囲気の音を出していた。メロディーのヒネリ具合も好みだったので、それほど期待していなかったのだが楽しむことができたし、他の観客のテンションも盛り上がってきて、彼らは充分オープニングアクトとしての役割を果たした。ただ、せっかく日本語というオーディエンスと共通の言語でコミュニケートできるのに、英語で歌うのは勿体ない気がした。英語の方が音としてうまく乗せやすいからだろうか。歌詞ってそんなものなんだろうか?
Pealoutは30分弱くらいやっただろうか。その後はDJが登場した。既にこの辺で観客はAshの登場を待ちかねている。曲が終わって、ステージ上にスモークがたかれるたびに視線がステージに集まる。「えー、まだやるのかよ」という雰囲気の中でのプレイが続き、Pealoutが適度に高揚させた会場の雰囲気を焦らすことでさらに観客の興奮は高まった。焦らすに焦らした後、8時10分頃ようやくAshのパフォーマンスが始まった。
1曲目の"Projects"のイントロが始まった時点でジャンプ&ダイブの嵐。正直言うと、こういったライブは苦手だ。「盛り上がらなきゃ損」という気持ちは分からないでもないのだが、スタートしていきなり感情の高まりをレッドゾーンに持って行くことができない。フロアが盛り上がれば盛り上がるほど、Ashの演奏と観客のダイブを客観的に見つめる自分がいることに気づく。それぞれの曲は、CDよりもスピードアップされて、ノリまくっている観客をさらに煽る。僕はAshの良さはミディアムテンポからスローテンポの少し肩の力を抜いた曲だと信じているので、スピードとノリで突き抜けようとする部分にはちょっと閉口してしまった。ただ、やっぱり"A
Life Less Ordinary"は素晴らしかったし、だからこそ無茶を承知でフロアへも突っ込んでいった。まあ、3分で撃沈されてしまったが。。。
昨年にリリースされた"Nu-Clear
Sounds"でも感じていたことだが、どうも彼らはストレート過ぎる。生真面目なんだろうか、巧くハズすということができていないので、あまりにも一本調子だ。確かに、アルバムでもスローな曲とアップテンポな曲が混在していたし、一聴すると緩急がついているのだが、実は両者がほぼ交互に入っているので、うまく緩急をつけた場合に発揮できる効果を半分ほども生かしていないような気がする。彼らの緩急の付け方は、オーディエンスの予想の範疇に収まった規則的なものを超えることはできていない。もちろん、その期待通りの効果はあるのだろうが、彼らの場合はマイナス面の方が多いような気がする。
ライブもCDと同じような印象で、何曲かアップテンポな曲で煽っておいて、クールダウンさせるような曲をする。これが、驚くほど予想通りに繰り返される。同じストレートさ、真面目さでもStereophonicsはスローでもヘヴィーな内容の曲を持ってきたり、ボーカルコントロールで予想できない緩急の付け方をしていた。Ashにもう少し工夫があれば、もっと効果的に聞こえてくるような気がして残念だった。
中盤あたりからは自分も高揚してきて、表面的には盛り上がってきた。ただ、Manic Street
Preachersのときのように、感情をグラグラ揺さぶられるような盛り上がり方ではなく、大きな音と速いテンポで無理矢理乗せられているような、受け身的な、与えられた感情的高ぶりのような感覚が強かった。これはもう相性としか言いようがないのかもしれないし、彼らのライブが悪いとかそういうことじゃないのだと思う。現実にあれだけ多くの人にあれだけの興奮と、満足感を与えているのだから、問題は僕とAshのパフォーマンスの間にだけあるのだと思う。年のせいだろうか、演奏による盛り上がりとは違う次元で盛り上がっているような光景を見て、ますます冷めていく自分を感じていた。
体も動かしたし、これまでのライブで一番のノリも体験できたし、肉体的な満足感は残った。それでも、どこか出所不明の釈然としない不満足感が残った。付き合ってみた彼女が実は自分の想像していたのとは違ったときのような、満足感と不満感が混ざったような状態。それでも、良いところがたくさんあるのも事実だから、これから先も付き合っていきたいと思う。そんな若干の不満は残ったが、やっぱりシャーロットがキュートで最高に可愛くて、タイプだったのは曲げようもない事実だったりもする。
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