ゴールデンウイークも終盤に入って、体力も尽きかけた中での体力勝負になりそうなライブということで、整理番号20番台にもかかわらず、体力を温存していつも通り直前の会場入り。クアトロ入口での「会場内禁煙でーす」の声に呆気に取られて中に入ると、既に9割程度の客入りだった。飲み物をもらうためにカウンターへ行くと、ビールの他にはポカリスエットとオロナミンCしかない。フロア内禁煙といい、ドリンクといい、健康なイメージでも作ろうとしているんだろうか。何か違うような気がするんだけど…
さすがにオロナミンCを飲みながらライブってのもアレなので、ビールを頼んで後方の定位置へ向かう。さすがにこの場所まで人が詰まっていることはなかったけど、前方はかなりの人口密度で、最近のクアトロのライブでは一番人が入っていた。そんなことを考えてボーッとしていると、19:00ジャストにフロアの照明が落とされ、オープニングアクトのThe
Rakesが登場した。
彼らのサウンドは最近のニューカマーにありがちなポストパンク〜ニューウェーブを基調としながらも、各楽器群が生み出すフレーズはプリミティブで生命力に溢れていた。キャッチーなメロディの曲はそれ程なかったので、強烈に耳に残るということはなかったが、Peterが居たときのThe
Libertinesに匹敵するようなバンドとしてのテンションの高さも手伝って、トータルの曲としてのインパクトは決して小さくはなかった。あまりメロディが分かりやすくなると、「その他大勢」と差別化が難しくなるのかも知れないが、個人的にはもう少し引っかかりの良いメロディが欲しかった。ただ、ライブでメロディが潰されていた可能性もあるので、判断するのはアルバムを聴いてからが懸命だと思う。
The Rakesのパフォーマンスは約30分で終了し、20分くらいのセットチェンジを挟んで、18:50にBloc
Partyのメンバーが登場。ステージ向かって右側に偏ったセットの配置のため、陣取った場所からKeleの姿ほとんど見えなかったが、近くにいた巨漢&スキンヘッド&ヒゲの外人さんはいきなり興奮度がピーク。その特異なキャラと興奮の仕方にビビリながら後退れしていると、1曲目の"Like
Eating Glass"がスタート。曲が始まった瞬間に、フロア前方ではジャンプが自然発生的に沸き起こり、"Positive Tension"、"Banquet"とライブが進むにつれて、アドレナリン流出弁のリミッターは吹き飛ばされ、興奮度は完全に青天井の様相を見せる。
ただ、僕はアルバムを聴いたときに受けた衝撃を感じ取ることができず、そんなフロアの歓喜と狂気の喧噪にシンクロできなかった。正確に言えば、饒舌で屈強なリズムセクションという強みの一つはシッカリと再現されていたが、効果的に音に隙間を作る緻密なアレンジという別の強みが失われていて、片肺飛行の不完全燃焼感が残った。難解なリズムを正確に刻むリズムトラックにボーカルとギターが主観的に絡んでいくことによって、アルバムで表現されていた冷めたグルーヴは見られず、一方で肉感的なグルーヴが台頭したものの、それがBloc
Partyというバンドならではの新しい強みというところまで高められていたとは思えなかった。
そんなモヤモヤした想いはその後も続き、アルバムの曲のスピードとボリュームを単純に拡大したような曲は、アルバムに感じた独特の世界観を分厚いグルーヴの中に落としてしまったような印象があった。もちろん、驚くほどイキイキとしたリズムトラックがあって、1時間弱という短い時間にバンドとしての動のサイドは充分に表現できていただけに、決して悪いライブではなかった。そして、ライブである限りインタラクションの中でバンド側の主観が曲に注ぎ込まれていくのも当然であることは認めた上でも、そこにあるべき筈の
唯一無二の魅力が失われたことは非常に残念だった。
他のバンドが真似できない冷たいグルーヴでフロアを満たして欲しかったっていうのは、やっぱり少数意見なんだろうか。(2005/5/6) |