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「ありゃー、客少ないなあ」というのが会場に入ったときの第一印象だった。確かに、Fuji
Rockのときにもそれほど多くのオーディエンスを集めたわけではなかったし、チケットの整理番号が20番っていうのも多少気にはなっていたけど、クアトロクラスの会場でさえこれほどの空きスペースができるとは正直驚いた。やはり、こういうオーソドックスなスタイルのロック/ポップスっていうのは、特徴が少ないからなかなか日本で客を集めるのは難しいのだろうか。きっと、The
Beautiful Southあたりが来日しても同じ結果になるのかもしれないなと思った。
ライブは7時少しくらいに始まった。しばらく前から客電は落とされていたものの、メンバーはなかなか出てこずに、焦らした後に登場といったところか。会場からは拍手が起こるものの、もちろん彼らが常に受けている歓声の大きさと比べると小さいものだ。ビール、ミネラルウォーター、ワインのボトルなどを持ちながら、1曲目の"Dead
from The Waste
Down"が演奏される。Cerysはあまり喉の調子が良くないようで、「天使の声」モードのときにもやや声がかすれている。ライブの序盤はスローテンポな曲が中心で、なかなか乗って行きづらかった。叙情的なメロディにCerysの切ないボーカルは美しく響くものの、ライブならではの躍動感やグルーヴはほとんど感じられない。もちろん、選曲が落ち着いた曲中心だったというのもあるだろうが、それ以上にCerysのボーカルが少し力強さが足りないように感じた。個人的には、CatatoniaというバンドはCerysのボーカルの存在感の上でこそ成り立っていると思っているだけに、彼女のボーカルが今ひとつというのは非常に厳しい。ソツのない演奏で何とかセットをこなしては行くものの、Fuji
Rockで見せた圧倒的な歌の力がなかなか伝わってこないため、段々フラストレーションが溜まってきた。ただ、アコースティックセットで歌った"Don't
Need The Sunshine"には満足できた。
中盤を過ぎると、次第にアップテンポな曲が増えてきた。「ウーシャラララララー」のサンプリングと共に始まったニューシングル"Karaoke
Queen"ではCerysのアクションも大きく、声にも張りが戻っていたような気がした。そして、"Road
Rage"でようやくオーディエンスも内に溜まっていたものを吐き出し、身体を動かし始める。本編の最後は"Dead, Beautiful And
Bruised"でしっとりと締めくくった。アンコールは1回で、数曲やるとCerysはさっさと戻っていってしまった。
あの小さいライブハウスで彼らの音楽を再現するのは難しかったんだろうか。野外ならもっとうまくいったのか?それとも、イギリスでの12月のライブを全てキャンセルした理由の「疲れ」みたいなものが残っていたんだろうか。とにかく、今ひとつ彼らの音楽のキレを感じることはできなかった。そこには、美しいメロディーときれいな歌声が残っていただけで、それだけなら充分別のバンドでも取って代われるものだった。"Karaoke
Queen"の前のMCで「カラオケバーに行き過ぎて喉の調子が悪いのよ」って言ってたのは本当なのか曲の前フリなのか。名古屋のライブがメンバーの体調不良でキャンセルされたという話を聞くと、本当に調子が悪かったんだろうか。いずれにせよ、期待が大きかった分、その反動が大きく、納得しかねるライブになってしまった。 |